1-02 - はかせ -
1-02 - はかせ -
からから・・・
ひゅいーん・・・ひゅいーん・・・
こんにちはリーゼロッテ・シェルダン12歳です。
今私とお父様は馬に代わる移動手段として最近普及してきた馬型四足歩行魔道具「アイヴォウ」が牽引する家紋付きの馬車に乗って王城に向かっています。
・・・この世界には魔力を動力源にした魔道具があるのです。
ここまででお察しの通り私が転生したお家は貴族・・・しかも国の筆頭貴族です、こう見えて私は大貴族のお嬢様なのです!。
家族の人相がとても悪いから悪徳貴族に見えますが広大な領地に住む領民の評判は上々、皆からは「顔はとてつもなく恐ろしいが良い領主様」と慕われています。
私の家からお城へと続く道は王都のメインストリート、石畳が敷き詰められている広い道で馬車のサスペンションの良さもあって揺れがほとんど無くとても快適です。
道の中央には線路が通っていて魔導列車が乗客を沢山乗せて走っています。
街はとても賑やかで、道の両脇には魔導灯が等間隔に設置され夜でも明るいのです、石造りの外壁と傾斜が急な屋根のある民家やお店にはこの国の国旗が飾られ、色鮮やかな鉢植えのお花が咲いています。
私が前世で読んでいた異世界小説に出てくるような中世ヨーロッパ的な街並みに魔道具が発達した機械文明、スチームパンク的な要素が混ざったような世界・・・。
これが私の住んでいる街、ローゼリア王国の王都、ローゼリアなのです。
「無駄に文明が進み過ぎてるから異世界転生小説にありがちな現代知識で無双は出来ないし、私なんかが思い付く事はもう他の誰かが考えて作っているのです・・・それにお食事もとても美味しい・・・」
「ん、リゼたん、何か言ったかな?」
考えてる事が言葉に出てましたぁ!・・・しかも日本語で!。
「ううん、お父様、ちょっと独り言」
「リゼたん時々独り言を言うけど、それは前世で使ってた言葉だよね」
「うん、使ってないと忘れそうだから頭の中では向こうの言葉で考えるようにしてるの」
馬車が更に進みもうすぐ王城です、私は窓から行き交う人々や通り過ぎる魔導列車、通りに沢山飾られた風に靡く国旗を眺めています。
私のお家は王城に近い静かな貴族街にあるとはいえ歩くと結構時間がかかるのです、だから馬車を使っているのだけど昨日遅くまで研究していたせいで眠くなってきました。
からから・・・
ひゅいーん・・・
・・・
・・・
「リ・・・たん・・・」
「・・・」
「リゼたん、着いたよ」
「んっ・・・ごめんなさいお父様、ちょっと考え事をしてたの」
「眠そうだけど大丈夫かな?」
お父様には寝ていたのがバレてましたぁ!。
「・・・うん」
馬車に乗って半刻・・・30分程でお城に着きました、ゴシック様式の大聖堂のような見上げると首が痛くなりそうな巨大な白いお城・・・エテルナ大陸最大の国、ローゼリア王国の王城です。
「じゃぁお父様はお仕事に行ってくるからね、お勉強頑張るんだよ」
「はーい」
コンコン・・・
がちゃ・・・
「魔法錠がかかってる・・・」
博士のお部屋に魔法錠がかかっていたので魔力を通して解除します・・・。
がこっ・・・ギィ・・・
「博士ぇ、おはよー・・・あれ、居ないや、書き置き?」
「えーと・・・」
ぱらり・・・
(嬢ちゃんへ、急用ができた、明日までには戻る、今日は自習していてくれ)
「えー、博士居ないのかぁ・・・」
ぽすっ・・・
魔導具があちこち散乱している博士の研究室、その壁際に置いてあるソファに腰掛け大きく伸びをします・・・今日は自習、お父様が迎えに来る夕方まで何をしようかな。
かちかち・・・
テーブルの上で何か音がします、気になるので近付いてみると時計が付いていて裏側に魔法陣が描かれていました。
「また博士は訳の分かんない物を作ってる、何これ?・・・魔法陣は解読できるかな?」
カーン!、カーン!、カーン!
「ぴゃぁぁ!・・・びっくりしたのです、目覚まし時計?にしては大掛かり過ぎるし・・・今のでちょっとだけ漏れちゃったのです」
・・・
「履いてないと無防備で落ち着かないのです・・・」
お漏らしした下着を洗ってお部屋に干した後、私はソファに寝転がって博士の書棚にある本を読んでいます。
ちなみに博士っていうのは私の師匠です、この国の子供達は平民なら無料の学校で読み書きや数学を、貴族やお金持ちは王立の学校に行ってもいいし優秀な家庭教師を雇ってもいいのです。
私の場合は極度の人見知りに加えて身体の大きな男の人に触れられると怖くてお漏らしをしてしまうのでお父様の友人・・・恩師らしいのですが、その人に家庭教師兼魔法の師匠になってもらっています。
博士の名前はドック・フューチャ、王立魔法研究所の所長で推定年齢300歳以上、魔法理論、魔道具研究の権威、薬学や医学の知識も豊富、人体構造にも詳しく医者としての腕も超一流という凄い人なのです!。
くぅ・・・
「お腹が空いたのです・・・お昼前だから今行けば食堂混んでないかも」
王城の敷地の片隅に建っている赤い煉瓦作りの古い建物、魔法研究所の廊下を歩いて所員用の食堂にご飯を食べに行くのです。
「予想通り、まだお昼前だから人が居ないのです」
「あらリゼちゃん、今日は所長と一緒じゃないの?」
「・・・うん、博士は用があって出掛けるって・・・肉挟みパンと野菜スープをお願いします」
「はいよ!、スープの具はちょっと多めにしておくね」
「ありがとう・・・」
・・・
あむあむ・・・
「・・・今日も美味しい」
研究所に来た時の私の定位置、食堂奥のテーブルでいつものようにお食事をしています。
食堂のおばさんとも顔馴染みになりました。
この国の料理はとても美味しいです、幼い頃「もしかして異世界小説みたいに料理知識で無双できるかも」って思ってたのにどこで食べても私の料理より何倍も美味しいのです・・・。
「残るは悪役令嬢のパターンだよね」
そう、チートなスキルで無双、現代知識で無双、料理無双、全部ダメならもう残ったのは悪役令嬢!。
でも学校に行ってないし婚約者も居ないから主人公的な女の子とも出会わない・・・接点が全然無いよね・・・。
・・・
ざわざわ・・・
わいわい・・・
「少し混んできたのです、急いで食べましょう・・・」
「あー、腹減ったぁ、おばちゃん、ミックスランチ1つ」
「俺は鳥のソテーとパンね」
「はいはい、ちょっと待ちな」
「今日もうまそうだな」
「おい、あの眼帯の女の子今日は一人で食ってるぞ」
「ん?、あぁ、所長のお弟子さんか、確か所長は朝から荷物を持って何処かに出掛けてたな」
「何であんな人の弟子になったんだか・・・」
「あぁ、所長は人嫌いの変人だが魔法陣や魔道具の知識は凄いからな、その知識目当てか何かだろう・・・弟子入りしてもう4年くらいになるか、よく続いてるよな」
「転移魔法陣だったか・・・ハハハ、本気であんな物が実現できると思ってるのなら優しい俺がやめておけって忠告してやろうか」
「研究室で変な事されてたりしてな・・・もう所長無しでは生きられない身体になりましたぁ・・・ってな」
「馬鹿、声がでかい、聞こえたらどうするんだよ、彼女は上級貴族、シェルダンの娘で王女殿下の友人だぞ」
「あぁ、そうか、当主にバレたら暗殺されそうだ、あの家を怒らせたら恐ろしいからな」
ガタッ・・・
「・・・」
・・・博士は凄いのです、今は好き勝手言ってればいいのです、そのうちざまぁしてやるから覚えてろ!、なのです・・・。
バタン・・・
「・・・せっかくの美味しい昼食がクソ野郎達のせいで台無しになったのです、みんな馬鹿にしてるけど絶対に転移魔法陣は実現できるのです!」
読んでいただきありがとうございます!。
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