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〜リーゼロッテさんはひきこもりたい! Reboot(異世界で優雅なスローライフを目指すのです!)〜  作者: 柚亜紫翼
1章 りーぜろってさん(Side-12)

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1-10 - こおりのあくま -

1-10 - こおりのあくま -



私とのお茶会の途中、動きが止まってしまったリゼちゃんに声をかけると・・・。


「そんな事ないよ・・・リィンちゃんと出会った頃の事を思い出してたんだぁ・・・」


そう言ってリゼちゃんは新しいケーキに手を付けました。


・・・



はじめまして、私の名前はリィンフェルド・フェリス・ローゼリア 13歳、ローゼリア王国の第一王女です。


私とリゼちゃんが出会った頃の事かぁ、そういえば第一印象は最悪だったなぁ・・・。





王族・・・しかも第一王女として生まれた私の周りには昔から権力に目が眩み欲望に塗れた人間が群がっていました。


顔も知らない大人達が私を持ち上げ影で悪口を言います・・・そんな毎日にうんざりしながら生活をしていたある日、彼女に出会ったのです。



私の両親には親友と呼べるほど信頼している貴族家があって、その家族と久しぶりにお茶会をする事になり私も参加させてもらいました。


お父様とお母様に連れられて家族で使っている娯楽室に入ると既にお客様が待っていて・・・。


随分と凶悪そうな・・・いえ、威圧感のあるお顔をした人達、ご家族でしょうか?、大人の男女2人と女の子が2人・・・片方は男の子かも?。


話を始めると顔に似合わず気さくな方々で、両親とは話が弾み和やかな時間が過ぎていました・・・でもその中で私を睨んでいる女の子が一人。


「・・・」


「・・・」


彼女の鋭い視線は「私、2人くらい殺してるよ」って言われても信じてしまうほど恐ろしく、私はお母様の背後に立ったままで様子を伺っていました。


そうしているうちに女の子はじわり、じわり、と。


「・・・カンタイコレクションノアサシオチャン」


などと意味不明な言葉を呟きながら私の方に近付いて来ます!。


助けを求めようと隣に居る筈のお母様を見ると、いつの間にか私と離れて楽しそうにお話を・・・。


なんという事でしょう!・・・今の私は孤立無援、ただ一人この敵と戦わなければならないのです!。


私は勇気を出して女の子と対峙します、それにに気付いた彼女は目を逸らし私の胸に飾られたアクセサリーへ視線を向けました。


何でしょう?、アクセサリーを寄越せと言っているのでしょうか?・・・これは私の宝物、お母様が私の誕生日に買ってくれたものなのです!、そう簡単に渡せません!。


「・・・あ・・・あのっ!」


私は脅しには屈しないと言いたくて彼女に声をかけました、でも私の心の声を読んでいたかのように彼女が視線を上げて・・・。


「ひぃ・・・」


睨まれてしまいましたぁ!。




お顔が近いですっ!、私に冷たく向けられたその視線には確かな殺気!、とても恐いです!。


挫けそうになってお母様に助けを求めようとすると・・・おばさまと楽しそうにお喋りをしています!、チッ、役に立ちませんね・・・でも王族としてここで私が舐められるわけにはいかないのです!。


また心を読まれてしまいましたぁ!・・・彼女は首を傾け、凶悪な笑顔で私を見ています!。


こ・・・これは私がお忍びで城下へ遊びに行った時、護衛の女性騎士さんと歩いていて「あれは何をしているのです?」って聞いたら教えてくれたやつですね!。


ごろつきが弱者からお金を巻き上げる時の仕草!、「おうおう兄ちゃん痛い目に逢いたくなけりゃ有り金全部出せや!」っていう・・・そう!、恐喝です!。


嫌です、私は痛い目には逢いたくないです!、お父様助けて!・・・と父親に目を向けると男の子を抱き上げて楽しそうにしています、娘が恐喝されているというのに!。


「・・・」


・・・もうおしまいです、悔しいですが私の負けですね、王族には潔く引かなければならない時もあるのです!、私の宝物を彼女の手に渡して・・・。


「・・・・こっ、これで許して・・・・許してくだしゃい!」


噛みました・・・あまりの恐怖で私は恥も外聞も捨て命乞いをしてしまいました!。


私の言葉を聞いた彼女は酷く気持ちの悪い顔をして・・・。


「・・・いいの?(ニタァ)」


と笑うではありませんかぁ!、私は確信しました、この凶悪な笑顔は「私、2人くらい殺したよ」なんて甘いものじゃなく「私、実は10人くらい切り刻んで殺した後その肉を食べたよ」っていう人間がする顔です!。


・・・あぅ、怖くて涙と鼻水が出て来ました、私の完敗です。


「どうぞ・・・お納めくだしゃい!」


・・・また噛んでしまいましたぁ!、追い打ちをかけるように彼女は手を私の頭に伸ばして・・・え、私食べられちゃうの?。


一刻も早くこの悪魔から逃げないと!。


私を見捨てたお父様やお母様の事を心配している暇はないの!、人間というのは本当の恐怖で追い詰められた時、結局は自分が一番可愛いのです!。


「私ぃ!、ちょっと急用を思い出しましたぁ!、お父様!、お母様!少し席をはずしましゅね!、し・・・失礼しましゅ!」


だっ!・・・


淑女の礼儀作法などと言っている余裕はありません、命が何よりも大事です!。


私はお自分のお部屋に逃げ込みお布団を被って泣きました、私の宝物は脅し取られたし!、本当に怖かったのです!。


・・・










次に彼女に会ったのは新年の夜会でした。


私は周りに寄って来る羽虫のような強欲貴族を華麗にかわしながら美味しいお料理を楽しんでいました。


「お料理おいしいなぁ、向こうに綺麗なお菓子があるけど先にお菓子食べちゃうとお料理入らなくなるかも、後でトリエラさんに頼んでお菓子を包んでもらいましょう、お部屋で夜中に食べるのです!、ふふっ、なんて私は悪い子なのっ!」


久しぶりの夜会で私は浮かれていました、向こうに上のお兄様が居るのを見つけたので飲み物を持って近寄ると。


「あ、リィンたん、夜会は楽しんでる?、その飲み物くれるのかい?でも僕色んな人に飲み物をもらってお腹がたぷたぷなんだ、あそこにヴィンスがいるから持って行ってあげなよ」


マナサマーお兄様がそう言って顔を壁際に向けます、確かにあの後ろ姿はヴィンスお兄様ですね!、2人とも私にとても優しくしてくれる自慢のお兄様なのです。


「はーい、ふふふ、ちょっと驚かせちゃおうかなっ」


後ろからお声をかけましょう!、びっくりするかなぁ?。


私はお兄様に駆け寄りました。


おや、誰かとお話ししているようです、ドレスを着ているから女の子ですね、最近好きな子ができたって言ってたからその子かも?。


お兄様の背中越しに銀髪が見えました、お顔も少し見た事があるような・・・。


「ひぃ・・・」


あれは先日の恐喝悪魔!、ダメ!、あれに関わると命がいくつあっても足りないの!、急いで方向転換しようとしたその時。


「あ、足がもつれて・・・」


ガシャーン!


こけましたぁ!。


盛大にヴィンスお兄様と恐喝悪魔を巻き込んで頭からシャンパンタワーに突っ込んだのです!。




大惨事でした。


静まる会場、凶悪な顔に似合わず可愛らしく泣き出した悪魔、呆然とするヴィンスお兄様、シャンパングラスの山の中からざざざーと立ちあがる私、3人ともシャンパンでずぶ濡れです。


「や・・・殺られる」


この後訪れる私の運命を想像して震えました。


あの悪魔を怒らせたのです、泣いてるうちに少しでも点数を稼いでご機嫌を取らないと!。


「こ・・・こっちに来て」


悪魔の手を引いて会場から逃げ出します、自分可愛さに放置してしまったヴィンスお兄様は・・・ごめんなさい後で謝りに行きましょう!。


今日はなんて最悪の日なのでしょう、せっかくの楽しい夜会だったのに。




私は専属護衛の女性騎士・・・トリエラさんにお願いしてメイドの手配と着替えのお洋服2人分、それとお風呂の用意をお願いしました。


トリエラさんがメイド達に指示を出し素早く手配してくれています、それにしてもかっこいいな・・・私に色んな事を教えてくれるし、私もトリエラさんみたいな「できる女性」になりたいなぁ。


彼女は騎士を多く輩出しているガンスリング家の長女、剣の腕を評価されて若くして私の護衛騎士に抜擢された優秀な女の子です。


今は同じ専属騎士で相棒のムッツリーノ・ヒルシャーさんが教育係となって一人前の護衛騎士に鍛えている所なのだそう。


あ、そういえばこの前ムッツリーノさんが好きで告白したいって言ってたよね、何か進展あったかな?。



・・・って、そんな事を考えてる場合じゃないの!、早くこの悪魔をお風呂にドボン!してご機嫌をとらないと!。


今度は何を要求されるのでしょう・・・もしかしてお金?。


ダメよリィン!、私のお小遣いは国民の皆様の血と汗と涙の結晶である税金!、こんな悪魔に渡すわけにはいかないわ!。


それにあのお金は欲しいものも我慢してお小遣いを少しずつ貯めた私の努力の結晶なの!、お忍びで城下へ遊びに行く軍資金!、全部持っていかれたら泣くと思う・・・。


・・・


・・・


てきぱき・・・


「はーい姫様、手をあげて下さいねー」


ぬぎぬぎ・・・


「え?・・・」


私のお部屋の隣には浴槽があってお風呂に入る事が出来るのですが・・・何故私は裸に剥かれて悪魔と一緒に洗われているのでしょう?。


メイドさん達からは「姫様お友達ができてよかったですねー」などと意味の分からない事を言われています、でもそれどころじゃないのです!。


横ではまだ悪魔が洗われながら泣いています、ここでご機嫌をとらないと私は終わりです!。


「リーゼロッテさん、もう泣かないでください、美人さんが台無しです」


「えぐえぐ・・・うっく・・・」


「そんなに泣いてると可愛いお目目が溶けちゃいますよ」


「ぐすっ・・・」


私は自分で言っていて鳥肌が立つようなお世辞を交えて精一杯の接待をします。


洗い終わって服を着替えた後、私は殺さないでと祈りながら改めて謝罪をしました。


「私の不注意でシャンパンをあなたにかけてしまい申し訳ありませんでしたぁ!」


メイドさんや騎士さん達が見守る中、腰を直角に折り曲げて全力精一杯の謝罪です、私のこれからの人生の中でもこれ以上の謝罪は無いだろうってくらいの気持ちを込めてっ!。


チラッ・・・


「・・・」


恐喝悪魔は目を真っ赤に泣き腫らして無表情です。


・・・いや何か言えよ!。


思わずそんな事を考えてしまいます・・・ダメよ!この悪魔は私の心を読むの!、こんな事を考えてるのバレたら今度こそ終わるわ!。


「・・・」


・・・しばらくして悪魔が囁きました。


「・・・あの・・・リィンフェルド王女殿下・・・お願いです、私の話を聞いて下しゃい」


遂に来ました、金銭の要求です!。


「いくら欲しいの?(ぼそっ)」


思わず呟いた言葉は残念ながら悪魔には聞こえなかったようです。




私の・・・動物さんの可愛い貯金箱の中には小金貨が18枚と銀貨が少し、これが今の私の全財産!、どうにかして小金貨10枚で手を打ってもらって・・・。


あぅ、惜しいですっ!・・・。


惜しくて涙が出てきました・・・下唇を噛み、握りしめた手のひらに爪が食い込みます・・・さようなら私の金貨ぁ・・・。


「2人だけで・・・・お話し・・・あるの・・・」


悪魔がとんでもなく恐ろしい要求をしてきましたぁ!。



トリエラさんが難色を示しましたが「陛下の親友で宰相補佐殿の娘さんだから大丈夫だろう」と口を挟むムッツリーノさん・・・。


お部屋を出て行こうとするトリエラさんの腕を悪魔に気付かれないように掴みながら小声で呟きます。


「待ってトリエラしゃん、ここにいて下しゃい(ひそっ)」


震えながら訴えると部屋に残ってくれました!。


「リィンフェルド王女殿下・・・あの・・・」


この後「・・・あの」や「ひうっ・・・」と言いながら非常に話が長くなるので私が翻訳すると・・・。


「私は顔が怖いから皆に怖がられています、人見知りで他人と話をする時うまく言葉が出ないので余計に避けられて悲しい思いをしています、訳あって男性が苦手でヴィンス殿下が迫って来た時何もできずに怯えていました、助けてくれて感謝しています」


なるほど、確かにお顔がとても怖いです、でも人見知りな事や男性が怖いというのは気付きませんでした・・・。


「普段からお家にひきこもっているせいで一人もお友達がいません、でも寂しくてお友達が欲しいのです、嫌ならそう言って欲しいのですができれば殿下とお友達になりたいです」


とても難解だったのですがおおよそこのような内容だったと思います、よく理解できたな、偉いぞ私・・・。



泣きながら私とお友達になりたいと話すリーゼロッテさんを見て私は心から反省しました、外見に惑わされてこんなに気の弱い大人しい子を怖がっていたなんて。


よく観察するとこの子からは普段私にまとわりついて来る欲深い貴族令嬢のあざとさやいやらしさは感じられません。


私もこの子とお友達になりたいな!って思ってしまったのです・・・ふふっ、私の金貨は無傷で初めてのお友達ができましたぁ!。



「いいよ、私からもお願いします、是非私とお友達になってください!、私のことはリィンって呼んでね、リゼちゃん!」


そして・・・私達が親友と言えるくらい仲良くなるのに時間はかかりませんでした!。


・・・


・・・


「リィンちゃん!」


「え?、なぁにリゼちゃん」


「リィンちゃん大丈夫?、急に何も喋らなくなったから・・・」


「あ、ごめん、私もリゼちゃんと初めて会った時の事、思い出してたの!」


・・・


・・・



・・・





・・・
















・・・


・・・


私はベッドで目を覚まし深呼吸をします。


・・・


今は夜かな?、真っ暗で何も見えないよ。


・・・


私の名前は・・・リィンフェルド・フェリス・ローゼリア、96歳・・・。


今日はやけに体調がいいな・・・。


・・・昨日リゼちゃんと初めて会った頃の事を思い出してたからかな?。


あの頃は楽しかったなぁ、2人でいろんな所を旅して、バカな事もいっぱいやって・・・ふふっ。


でも私の人生はもうすぐ終わっちゃう・・・あと何日生きられるかなぁ・・・私が居なくなったらリゼちゃん泣くだろうな。


たくさん迷惑をかけたけど・・・あなたに出会えて私はとっても幸せでしたよ。


ありがとう・・・元気でね。


・・・あ、そうだ、私の他にもお友達を作らなきゃだめだよ・・・。


・・・


・・・


・・・


「母上っ!」


「お祖母様ぁ!」


誰かが呼んでいます・・・。


でも私はとっても眠いの・・・起こさないでくれるかな・・・。

読んでいただきありがとうございます!。

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