4の世界:生きる力
「そういえば、まだ名前を聞いていなかったな。なんていうんだ?」
「港、鮫島 港」
「そうか少年。私はレオナだ。師匠と呼べよ?」
(名前教えたのに、結局少年かよ)
「いいか、少年。生きる力を身につけるためには3つ、重要な事がある。まず、状況判断力を高めること。そして、常に冷静でいること。最後に.....体を鍛えることだ!」
「け、結局......筋トレかよおおぉぉ!.....あ、あの、魔法とか、剣は?」
「魔法も剣も、最後にモノを言うのは体だ!まずは腕立て100回!」
腕、痛ぇ。今、何回目くらいだ?120回くらいか?
「はい、30!」
まだ30かよ!?
僕はいま、なぜか腕立て伏せをしている。
「腕が、軋むぅ!」
「死の間際に、弱音を吐いてる暇はあるのか?」
くっ.....無駄に正論なのがムカつく
「ほらもっと続ける!はい35!」
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「100ぅ!腕立てはこんくらいでいいな。よし、次はスクワット100回だ!ほぅら、行くぞ!」
「ひぃぃ、」
「はい、いーち!」
──3分後
「あ、足がぁ.....」
「ほら、立て。逃げんと助かるもんも助からんぞ!」
「いいいいやあああぁぁ......」
森に、山に、洞窟に、僕の声がこだました。
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「よぅし、基礎体力はまぁこの程度でいいか。これを毎日続けろ。じきに強くなる」
「キッツぅ......」
「ほら、今もだ。気を抜くな!いつだって死の危険があることを忘れるんじゃない!」
うぅ、この人フィジカルもスピリットもタフネスすぎるだろ.....
「さて、次だな。状況判断力の増強だ。これはそこまで難しくないぞ。」
「本当でしょうね?」
「お前の実力次第だ。」
「......」
「やることは単純。今、目の前で何が起きているかを把握するだけだ。」
「そ、それなら!」
「では実際にやってみるぞ。」
レオナは近くの山へ歩いていった。
数分後。
「おーい!」
そう言いながら、巨大な熊を片手で引きずって戻ってきた。
「は?」
「では、いまからこいつと私が殴り合うから、何が起きたかをちゃんと見ていろよ?」
今、この状況すら把握できていないのだが?
「では、始めよう。ふんっ!」
「グワァァ!」
レオナが拳を天に振り上げた瞬間、熊の体が宙へ投げ出されていた。
「どりゃぁ!」
「グゥゥ」
そのまま、熊の体に大量の拳が叩き込まれる。
「オラァ!」
「ガ.....ウ.....」
さっきまで地面にいたレオナの体は既に空中にあった。そのまま熊の頭にスマッシュを叩き込む。
熊が地面へ落ち、脱力する。
「し、死んでるぅ!?」
「さぁ、なにが起きたか。説明してみろ。」
「......」
「なんだ?わからなかったのか?」
「いや、わかるかああぁ!」
「まぁまぁ、落ち着け。最初は誰でもわからん。どこがわからなかった?」
「いや、全部!」
「そうか.....ちょっと速すぎたな。それと、まずは落ち着いて見ることだ。冷静でいなければ、見えるものも見えん。」
その後も、レオナは山から魔獣を大量に連れてきて、僕の前で戦っていた。
「右クロス......左腕アッパー.......右ストレート.....左足でハイキック.....」
10回目くらいだろうか?少しずつ動きが見えるようになってきた。ただ....目が疲れる
目が疲れてきたので目を閉じる。
「......zzz......zzz...」
「おや、寝てしまったか。でも、最後の方はよく見えていたな。」
──────────────────
「んん....」
「起きたか少年」
「えっ!?寝てた!?すみません!」
レオナは笑ってこう言う
「いい、気にするな。あれだけ目に遭い、一睡もしてないんだ。少しくらい眠るのも当然だ。」
そして、少し真面目な顔に戻る。
「だが、今日の訓練はまだ終わっていないぞ?」
嫌な予感....
「ま、まさか....」
「少年、今日はお前が戦う番だ。」
「え、えええええぇぇぇ!」
「い、嫌です!すぐ死にますよぉ!」
「大丈夫だ。私が見ている。」
「嫌でも、あんなクソデカい熊と戦うなんてぇ....」
「ん?何を言っている。お前が戦うのは熊じゃない。スライムだ。」
「スラ....イム?」
「ほら、そこにいるだろう?」
眼の前にはぷよぷよとした、水色の物体がいる。
「え、こいつですか?」
「ああ、そうだ。」
「こいつなら、よy...ぶっ....!」
「余裕ぶっこいてると....死ぬぞ?」
「僕の....知ってる....スライムじゃ....なあああい!」
「敵だけを見るんじゃないぞ。地形、距離、風、逃げ道、全部見ろ。それが状況判断だ。」
なんだこのスライム。普通、スライムって酸とかじゃないの?
ゴリッゴリの物理じゃん。しかも結構痛いし。
「ほら、速く戦え。」
「わかってますよ!おらっ!」
ぽよん
「ふぇ...?ぽよん?」
「あぁ、いい忘れていた。スライムには物理攻撃はほぼ効かんぞ。」
「はぁ?じゃあ、どう倒せば....」
「ほぼだからな。物理でも倒せないことはない。」
「なるほd....ぶへっ!」
あぁ、マジでこいつ.....いいぜ、ぶっ飛ばす!
「へぁっ!」
僕はスライムに向かって全力で右ストレートを繰り出した。
しかし、また衝撃を吸収されてしまった。
しかし、一つ大きな事を発見した。おそらくだが、スライムには「核」がある。
さっき殴った時に、なにか硬いものを感じた。それが....たぶん「核」だ。
よく見ろ....感じ取れ、核はどこに.....っ!あった!スライムの右下あたり
あとはそこに狙いをつけて....
「どりゃあああ!」
本気のアッパーカットがスライムに当たる。
「決まった.....!」
スライムの身体がぐにゃりと歪む。
しかし、次の瞬間には何事もなかったかのように体をもとに戻し、こちらへ跳ねてくる。
僕は勝ったものだと思い、思わず笑みを浮かべた。
「いいパンチだが.....急所は外れているぞ.....」
「へ?ぶほっ.....」
僕は地面に大の字になってK.O.された。
「スライムの核を見つけたまでは良かった。でも、なぜそこで決めにいくんだ。もっと観察をしろ。いいか?スライムはな、核の位置を自分で動かせるんだ。」
「そんなの....知りませんよ。」
「知らないんだったら、知るようにするんだよ。あれほど観察が重要だと言ったのに。」
この世界で生き残るには、まだ覚えることが山ほどあるらしい。
少なくとも、スライム相手に負けるようじゃ先は長そうだ。
4話かぁ。まだまだ先は長いぜ。




