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閑話 ライブのあと
「ほんっと、今日の席、神っ!!」
だんっとビールの缶をテーブルに置いて、葵さんが叫ぶ。
「奇跡だよねっ!」
私も同意してビールをあおる。
「「モニター越しじゃなく、肉眼で見れるなんてっっ」」
声が重なる。
お互いを見て、爆笑する。
飲み始めてだいぶたち、私たちは盛り上がっていた。
サイドテーブルの端には、奏がティッシュの箱に座り、私達を眺めている。
「……おんなじ話、何回すんだよ……」
少しあきれ気味で。
「奏ってば、わかってないっ!!」
私が奏を指差す。
葵さんも高速で頷く。
「ライブ=モニターで見るもの!!なんだからねっ」
ははっと奏が笑う。
「そんなん、聞いたことねぇな」
「そりゃ、演奏する側は知らないでしょーよ」
私は缶に口をつけながら、奏を見下ろす。
「……席ひとつで、そんな喜ぶんだな」
ぼそっと呟く。
「「席ひとつが最重要事項なのっ」」
また声が重なる。
驚いたような表情で固まってから、奏はふっと笑った。
「りょーかい。理解した」
奏はその後も楽しそうに私たちの会話を聞いていた。




