23.推しの解説付き番組・終
番組は最後の締めパートに入る。
スタジオでのメンバートーク。
これまでの活動、これからの予定、今現在の心境。
次々と語られていく。
急に奏が、ははっと笑い出す。
「どうしたの?」
私が聞くと、奏は画面の自分を指さした。
「なんか、俺、偉そうなことばっか言ってる」
その顔は、本気で笑ってるようには見えなかった。
自嘲混じり。
私には、それが許せなかった。
「ねぇ、奏」
自分でも驚くほどの、低い声。
奏は真顔になって私に目線を向けた。
「それ、本気で言ってる……?」
たぶん、私の顔は今、めちゃくちゃ情けない。
怒りなのか、悲しみなのか、自分でもよくわからない。
奏は、息をのんで、言葉も飲み込む。
それから、目線を落として。
「……悪い」
とだけ言った。
私はちょっとだけ、居心地悪くなって、曖昧に笑う。
「奏はさ、あんまり考えてること口にしないじゃん?」
そう言うと、奏は口を真一文字に結ぶ。
「だからさ、私には奏が何考えてるのかなんてわからないけど」
画面の中の奏を見て、私はふっと口角をあげる。
「奏の口から出る言葉を、私たちは全部信じてるよ」
画面の中の奏は、にこやかに笑っている。
それが、嘘だとしても、作り笑いだとしても、私にはそれが奏だ。
奏は、ふっと顔を緩ませ、少し困ったように私を見た。
「……夕莉は……最強だな」
「でしょ?」
いつもとは逆転して、私はニヤッと笑って奏を見下ろした。
番組はエンディングに差し掛かり、メンバーが挨拶をしている。
そして、次回のライブ告知。
『ライブ会場で待ってます』
画面の中で、奏は言った。
「うん、絶対行きます!」
私は画面に向かって言う。
後では、奏が思わず吹き出していた。




