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推しのフィギュアが尊すぎて、推し活できません!  作者: 夜月黎


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27/59

22.推しの解説付き番組・続

番組は進んでいく。


最近の話。

十周年記念イヤーの企画。

ライブに向けての、意気込み。


奏は真剣な表情で画面をみていた。


そして一言。


「よく続いたよなぁ」


独り言のように。


私は無言で奏を見ていた。


私からすれば、当たり前に見えてたバンド活動も、本人達からすれば必死の十年だったんだろうなぁ。


「頑張ってくれて、ありがとう」


私は思わずそう言っていた。


奏は、びっくりした表情でこちらを見た。


それから、ふっと視線を落として。


「……頑張って、っていうか、必死だっただけ」


少し自信なさそうに。

それは、私が見たことのない奏の表情だった。


何とも言えない、切なさがこみ上げる。


奏はまた画面を注視する。


画面の中で、奏が喋ってる。


「これさ、なんか俺、偉そうなこと言ってるけど、全部朔の台本なんだ」


「え"っ」


奏の衝撃の告白に、私は絶句した。


「……それ、私聞いていいヤツ?」


ははっと奏は笑った。


「だって夕莉、俺の不利になるようなことは、広めないだろ?」


にっと笑った奏に、私は翻弄される。


いや、そりゃあ、言わないけど。

というか、言えるかっ。


「奏って、ホント、ずるいよね」


そう言うと、奏はおかしそうに笑う。


「いや、ホントにズルいのはさ、凪みたいなヤツの事だよ」


凪の天然は、ファンでも有名。

MCもだし、インタビューや会報の凪のコーナー、TVでの発言もしかり。


でも、ズルい?

どういうことだろ?


「凪がズルいって?」


意味深に笑った奏は指を一本たてて、口元に持っていく。


「それは、秘密」


それから、画面を指差す。

ちょうど、凪が喋っている。


インタビュー中だ。


『俺は皆が喜んでくれるから、頑張れてます』


にこっと満面の笑みで答える凪は、本当にきらきらして輝いて見える。

この笑顔に、悶え死ぬファンはどれだけいるだろう……。


「な、ズルいだろ?この顔」


いたずらっぽく、奏は凪を指差す。


私は、ぼーっとして凪の笑顔を見ていた。

でも。


「私は奏の笑顔の方が好きだよ」


そう言うと、奏は目を丸くして私を見返した。

それから、息を飲み込むようにして。


「……夕莉もなかなか、ズルいな?」


そう言った。

その顔がまた、可愛くて。

私は内心、転げ回る勢いだった。


もう少しだけ、番組は続く。




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