真相には当然、辿り着いているモノ達
見かけは独特ながら、総じて愛らしいぬいぐるみ風と言えるだろう。一時顕現にて得た仮初の三界機構の肉体は強靭さなど一欠片もなく、まるで綿の詰まったまるまるしたものにも見える。
アイと並べたらなんともほっこりしそうな三体なんだけど、さすがにそれは叶わないだろう。彼らがこうして姿を見せられるのはシステム領域だからこそであり、あの子はここには来られないからね。
「あ、あのおっかない三界機構がまたずいぶんとこう……愛らしくなりましたねー……」
『アレよりはマシでしょ? 精霊知能リーベだったかしら、あなたも久しぶりね。あの時はコマンドプロンプトともども世話をかけたわ。それにあの偉大なるおっかないお婆さん、マリアベール・フランソワにもね』
『シェン・フェイリンがこの場にいねえのが残念だ。アイツぁ最後の最後までこの俺の末路に付き合ってくれたろ? ……感謝してるぜ、心底よ』
『それを言うなら我とてベナウィ・コーデリアが気になるな。かの極光にて我が呪縛を解き放ちしあの男を、我は祝福せずにはいられんよ』
リーベが目を丸くするのを、何でもないことのように受け答えする三界機構達の魔天、断獄、そして災海。
揃ってやはり口にするのはあの最終決戦。そしてそれぞれ彼らを解き放った決戦スキル持ち達だ。アドミニストレータを邪悪なる思念の下へと送り届け、その最中には三界機構を解き放ちヤツの戦力を著しく削いでくれた最高の戦友達。
すなわちマリーさん、リンちゃん、ベナウィさんの三人。
俺個人としてもコマンドプロンプトとしても敬意と感謝が尽きないあの人達に、三界機構の三体もまた、大いなるリスペクトを抱いているみたいだった。
『まあ、それもまたいずれ……ミュトスが我らの力や魂と同調深度を高めていけば成就もしよう。それだけの器が、すでにこのモノにはある』
『そうね、まあ気長にやってくれれば良いけど。私らはとっくの昔に敗残したもの、残り滓の力や魂をせめて有効活用してくれるんならそれに越したことはない。ホント、この世界のワールドプロセッサの迂遠さには驚かされるけどね』
『アドミニストレータ計画やらオペレータ計画やら、よくまあ考えるもんだぜそんなプラン。俺も魔天も災海もとにかく力押ししか考えてなかったからな……ここまで策を講じねえとまともに相手もできなかったんだ、そんなのが通じるわけなかったやな』
「天地開闢結界がある限り、そこはどうしてもな……逆に言えばアレをどうにかできるプランさえあれば、そちらの世界でも勝ち目はあったかもしれんが」
それと同時にこの世界のワールドプロセッサの策略というか、対邪悪なる思念に向けての周到さを見て思うところはあったようだ。ミュトスに組み込む際に事情説明を受けたみたいだな。
三界機構の世界はとにかく正面切ってやつと戦ったみたいだけど、それでは絶対に勝てないし実際勝てなかった。天地開闢結界が健在な時点で、邪悪なる思念は事実上倒す手立てが存在しなかったんだから。
だからこの世界では、まずその天地開闢結界をどうにかするところからプランがスタートした。邪悪なる思念のすべての権能を引き剥がした状態での打倒、そこをゴールとして何が必要かを演算し尽くし、それに必要なものを揃えるところから始めたんだ。
決戦スキル、アドミニストレータ、補佐役の精霊知能。レベル、スキル、称号などステータス機能を活かした戦力の増強、育成──オペレータ計画の遂行。
その上でそれらすべてを土台としての一大プラン、アドミニストレータ計画。
たとえどれだけの犠牲を払ってでも行わなければならなかった、そうでなければ喰われて終わっていた反攻作戦。そこまでやってはじめて、邪悪なる思念との戦いがまともに行えたわけだ。
単なる力押しでは無理だったんだよ、どうしたってね。
『そこまでの規模、すべてを利用し尽くした計画を成さしめたのはまさしく、この世界の文明度が私らのそれより進行していたからってのもあるわね。そこは素直に羨ましいわ』
「…………そっか」
『ま、代わりにいろいろ無理しすぎた反動が今、出ちまってるみたいだけどな。ああ、言っとくがこいつは非難とか批判じゃねえ、むしろ称賛だ。この世界は本当にできることすべてやった。その結果として起きているのが今のこの反動なら、そいつぁ恥ずべきもんじゃねえはずだ。そこは履き違えるなよ、この世界のモノ達よ』
「言われるまでもありませんが、お言葉に感謝を。ええ、たしかに今、いいえ厳密にはオペレータ計画の進行中から生じているこの"エラー"は邪悪なる思念への対策を優先したがゆえに起きたもの。委員会……かのモノ達の現時点での発生は決して意図しないものでしたが、さりとて避け得ぬものであったとも今なら理解できています」
『そういうことだ。先ほども述べたが我らもすでに、アレらの正体は勘付いている。決して口にはせぬがな……した時点でシステム領域の干渉の余地がなくなるゆえ』
口々に語る三界機構。やはり口振りからはすでに今、というより100年前から事態の水面下で何が起きていたのかを勘付いている様子が窺える。
そう、委員会。
今なお謎のヴェールに包まれているかの組織の中核について、彼ら三体は……もうすでに、俺やワールドプロセッサが至った答えに辿り着いているのだ。
邪悪なる思念との戦いのなかで発生していた、予期せぬエラーを。
「大ダンジョン時代クロニクル」
https://ncode.syosetu.com/n5478jx/
第二部・第二次モンスターハザード後編─犯した罪に、等しき罰を─
完結しました!第三部は2026の盆から!
よろしくお願いしますー
「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史完結しました!
https://ncode.syosetu.com/n5895io/
よろしくお願いいたしますー
【ご報告】
攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど
書籍版、コミカライズ版併せて発売されております!
書籍
一巻
amzn.asia/d/iNGRWCT
二巻
amzn.asia/d/aL6qh6P
コミック
一巻
amzn.to/3Qeh2tq
二巻
amzn.to/4cn6h17
三巻
amzn.asia/d/cCfQin2
Webサイト
PASH!コミック
https://comicpash.jp/series/d2669e2447a32
ニコニコ漫画
https://sp.seiga.nicovideo.jp/comic/63393
pixivコミック
https://comic.pixiv.net/works/9446
電子版、書籍版、コミカライズともに好評発売中!
よろしくお願いしますー!




