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第4話 零落した神

5話まで毎日午前6時に投稿します。

第1章、全10話の予定です。

短い間ですが、お付き合いください。


第4話の語り手は、奴隷のケレスです。


新しい生活に戸惑っています。

毎日が楽しくて悔しい。

お祭りが毎日続いているみたいな高揚を感じる。


アーザムは毎日騒ぎを起こすし、綺麗なショールと可愛い櫛を買ってくれた。


ウルスラは毎日犬か何かのように可愛がる。アーザムのショールと櫛を見せたら、いい櫛だねって、アーザムに櫛を要求してた。


メイドのエラッタおばあちゃんはやさしくて、作るごはんはとても美味しい。

おかわりをすると大盛にしてくれる。

アーザムが「居候三杯目にはそっと出しって言ってな……」と言ってる。

『イソウロウ』って何だろう?

「おかわり!」四杯目をおかわりした。


カラカルも訓練だって言って毎日殺しに掛かるし、必死に逃げてるのにアーザムは「頑丈だから大丈夫、大丈夫」って言ってゲラゲラ笑ってる。

もう守ってくれない。

許せない。


だから夢を見るのが怖い。


たゆたゆと漂っていた。

何かから見つけられた。

見つけられたとき私になった。

何かは人だと知った。

人はいつも泣いてた。

だから聞いてみた。

お腹が空いた?

食べ物をあげた。

寒い?

服をあげた。

怖くて寝れない?

家をあげた。

それでもいつも泣いてた。

泣きながら私を呼んだ。

数多の名で呼んだ。


大地の豊穣のアルヴェルティオ

生命の癒しのエルンディル

魂の安らぎのモルディア

風の導きのアエリオン

炎の工匠のヴォルカニス

富の守護のサギドール

  ・

  ・

  ・


私は与えた。

人は満ちた、満ち満ちた。

強欲は美徳だ

すべてを平らげんとした。


私は泣き笑いする人と暮らしていった。

それでも人は欲した。

私を掴んだ。

私を引き千切った。

私は細切れになった。


気が付くと森の小さい村にいた。

人は泣き求め私は与えた。

やがて願いにより人の現し身を得た。

私はハーヴェスタと呼ばれた。


人は求めた。

ハーヴェスタは小さくなった。

与えるほど小さくなった。


森を切る、畑を耕す。

私はかつてほどの力はない。

人は泣き求め私は与えられなかった。


森を切りすぎるな、畑を休めよ。

私は与えられない。

森も畑も、もう人のものだったから。


人は祭りを催した。

人に近くなったハーヴェスタは勧められるがまま酒を飲んだ。

人がハーヴェスタの祭りを催すのは久しくなかったのだ。


気が付くと首輪をはめられ、馬車の中にいた。

信仰を失い神威が失われていく。

このまま消えようと思った。

この身は人を模しただけの物だ。

神威がなければただの肉塊だ。

消えていこうとした。

だがそれはできなかった。

身体が生きたがっていた。

最後の神威を使い現し身を人に変えた。

目はただのたまっころから眼球に変わり、口は神託ではなく言葉を発し、内臓が生まれ呼吸をし心臓が動いた。

そして人の身に入りきらないものは、こぼれ落ちどこかにいった。


死にたくなかった。

生きたくなかった。

隠れ潜めば誰も気が付かなかった。

ただ生き死ぬだろうと思った。


男と目が合った。

潜んでいた藪は打ち払われ、顕わになった。


目が覚めた。

心臓が跳ね呼吸が荒い。

身体は冷え切っていた。

自分はなんだろう?

神?

かつて神であったもの?

人?

俺のケレス?


アーザムのケレス。

なんかしっくりきた。

少し暖かい感じがする。

よく眠れる気がする。

ベッドの中で丸くなった途端眠りに落ちた。



ケレスの秘密が垣間見れました。


次回、第5話 冒険者になろう

主人公のアーザムが語り手です。


11月6日午前6時に投稿します。


アーザムはケレスを冒険者にするようです。

うまくいくのでしょうか?

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