第8話 これ、無理じゃね?
大剣から映し出される謎のヴィジョン。
その光景を見せられながら、ロイフルは息を飲んだ。
「これ無理じゃね?」
ロイフルの呟きに。
その場の一同も頷く。
「そうじゃのう、名前をクロウガー。第一の世界と因縁があってな、何度も第一の世界を滅ぼしている」
「そうですか」
ロイフルは息をごくりと飲み込む。
本当に移動スピードが速すぎる。
空から落下して、大地に降り立った瞬間、近くに合った村。
合計10個以上だろうか。
民だけで2000人以上は一瞬で殺されて食われている。
しかもあいつは殺して食らってを高速スピードで終わらせている。
なぜかロイフルの目で追う事が出来たのだが、問題なのはそのスピードにロイフルの体が追い付けないという事。
「つまり、クロウガーと当たったら即死と言う事ですね」
「そうじゃのう、今のお前等では倒せんし、わしとてクロウガーと戦いたくない、まぁ互角くらいじゃがな」
ジョド村長の凄さがなんとなく伝わってきた。
「クロウガーはゲームが好きでな、のんびりと攻略したいという感じじゃから、自らは動かず、配下を使って、国を盤の上のゲームのように攻略していくじゃろう」
「それが救いです」
ルーボック・ギャシーが呟く。
彼の両眼は包帯で包まれている。
どうやって映像を見たのかが謎だが。
「そうじゃ、セドン国はじんわりと攻略されていくじゃろう、まぁあそこは人を人と思っていないクズばかりじゃからな、良い奴はロイの養父ガイくらいじゃがな」
【親父を探してるんだが、なかなか見つからなくてな】
「ロイ、君はクロウガーの光景を見ていたようだけど、よく無事だったな」
【ああ、大剣で光景をヴィジョンを記録していたが、距離にして山二つ分離れている。山1つ分近かったら。あのバタクラスにばれて死んでたな】
ロイフルは沈黙し続けていた。
ロイはセドン国にいるとされるガイという養父の将軍を探しているらしい。
「こちらがどのように動くか、ロイはセドン国にそのままガイ将軍を探し、セドン国を内側から解放」
【御意】
「シェイバーとカルナは空よりザム国に参れ」
「承知」
「はいですわ」
「その他はこの修行とする」
「え、何もしないのか?」
「今のお前等では何も出来ん、眼を奪われたルーボックでは戦えんし、ドリームはまだ夢の図書館を完成させておらん、ドーマスは獣化が上手くいっておらんし、ピエロトはまだ肉体に栄養が行き届いていない、この中でまともに戦えて死なない奴はロイとシェイバーとドラゴン族のカルナだけじゃ」
ロイフルは沈黙してしまう。
自分も結構戦える方だと思えていたのだが。
まだ駄目らしい。
「まぁ、教える事はないのじゃが、後は実践訓練じゃな、はてさて、大きな国は無理でも、小国くらいは統一して見ろ」
「は?」
「ロイフル、ドーマス、ドリーム、ピエロト、チャニー、ルボック、ルーボック、ダンジョンの王よ今宵、大陸の果てへと飛ばそう。そのまま椅子に座っておれ」
「は? 聞いてねーぞ爺」
ドーマスが叫ぶと。
「異議申し立ては受けん」
ジョド村長が最初にあった時のように「はいいいいいいいいいいいい」と叫び声を上げると。
一瞬にして何かの亀裂の隙間に椅子事放り込まれる感覚があり。
でも椅子に座ったままだった。
だがそこには先程まで座っていたシェイバーとカルナの姿はなく。
ジョド村長の姿もない。
家ではなく椅子はそのままだが、どこかの廃墟の建物の中に切替わっている事に気付いた。
「あの、爺」
「ふわああああ、面倒臭い事になったね」
「ドリーム、これは面倒臭い事だらけですよ」
ドーマス、ドリーム、ルーボックが呟く。
「最悪だわ」
チャニーが呟き。
ピエロトがゆっくりと立ち上がるのだが、ふわりと空中に浮いている。
「囲まれてるね」
「え、何に?」
ルボックが小さな体をふわりと浮かしながら小さく笑う。
「ちょっとみてくるー」
廃墟から出る。
そして、戻ってくる。
「いかついおっさん達が武器を構えてじりじりとこっちに来てるよー、ざっと200人くらい」
「はぁめんどいなー」
ドリームが立ち上がる。
「私の動物達がいないから私は戦えない」
チャニーが呟く。
確かにビーストマスターにとって配下のビーストがいないのは痛手だろう。
「だから、私はピエロトの支えになる」
ただそう呟いて、ピエロトを支える。
「さて、リーダーを決めようか」
ドーマスが腕組みしながら。
「うちはそこの王様が良いと思うがな」
ルーボックが腰を伸ばしながら、短髪の黒い髪の毛をさっと払う。
「俺ですか」
「君が八角の保持者だ。キミが指示しろ、まさか殺すなとは言うなよ」
ルーボックが冷たい声で呟くのだが。
「そうだな、殺すなとまではいわないけどなるべく頼む」
「王はそれで良いのですか」
呟いたのは、肩の乗っているツゲルドンだ。
「うん」
「さてと、俺は勝手に暴れさせてもらうぜ」
ドーマスは立ち上がり。
「まず、この廃墟を守るように戦おう、本拠地になるかもしれない」
「そうだな、その方が良いと思うなー」
ドリームがけらけらと笑いながらゆっくりと歩き出す。
その時だった。廃墟の窓から矢が飛来する。
その瞬間、どこからともなく盾が出現する。
その数数百盾。
「あ、これ僕の夢の世界で作った魔法の盾だから心配しないでね」
その時、鬨の声を上げながら、ドアを蹴破って大勢の男達が踊り込んでくる。
ドーマスが一瞬にしてオオカミ人間化すると。
拳1つで1人の男性を壁に弾き飛ばす。
血反吐を吐きながら、男が気絶すると。
「ば、化物だああああああ」
男が叫ぶ。剣を抜く。
「はぁ、めんどくさいですねー」
ドリームが体を軽く回転させながら、四方に剣を出現させる。
「殺すなですよね」
その剣はすべて木製だった。
その数数千。
数千の木剣が男達に飛来する。
「ルボック!」
ロイフルが叫ぶと。
ルボックの見えない巨大な手が男達を叩き潰す。
だが実際には優しくなので死んだわけではない。
ポケットに手を突っ込みながら悠々自適に微笑む青年ルーボックは戦えないのだろう。
包帯が巻かれた視線で何かを見つめながら。
「来るぞ」
ただ呟いた。
巨漢。
その男は巨漢だった。
大地を踏みしめながら、ゆっくりと廃墟に入ってくる。
大勢の男たちは倒れている中で。
その巨漢はドーマスよりもでかい。
「ふー」
「ゴムザ様」
「お前等、なぜ子供と青年と精霊に手をあげようとしている?」
「で、ですが、この廃墟は聖域でして」
「違う、なぜ子供を殺そうとしている?」
「え、敵じゃないのか?」
ロイフルが呟くと。
「事情は知らぬが、少年少女、青年よ、後精霊と何かの魔物よ。こちらの不敵際を許して欲しい」
それが、ゴムザ・バーレットとの出会いだった。




