第10話 それは仮面だよ、そっちも仮面だ。本体はねどこにいるんだろうね? 見つけてごらん
ピエロト・ダザック。
ピロルム・ダザックの息子。
父親はエルレイム王国、七代将軍が一人。
母親はミュン・ダザック。
両親は光の道化師と呼ばれている。
ピエロト・ダザックは生れた瞬間。
この世界に降り立つことは無かった。
母親のお腹から生れた彼が誕生したのは光の世界。
そこは第四の異世界。
彼を育てたのは光の神々。
突如現れた謎の赤子に神々は絶句する。
だが神々の中に1人の女神がいる。
ヒカリ。
ヒカリは人間の男性との間に子供を持ち育てたかった。
だが子供は生れたが光の世界に連れていく事が出来なかった。
ただそれだけの記憶。
だがそれだけで十分な記憶。
ヒカリはピエロトを育てる。
食事は光りの粒子。
赤子のピエロトには道化の仮面。
そして知恵がある。
生れた時から話せて、考える事が出来る。
普通の赤子ではない事をヒカリは言っていたそうだ。
光りの世界の神々は仮面を拾い続ける子供を訝しむ事なく皆で育てた。
ありとあらゆる光の世界の魔法を授けた。
赤子は少年になっていくが、肉体に筋肉は付く事がない。
それは光の世界に重力がないからだとヒカリは気づいていた。
亀裂が生まれたのはその時だ。
光りの世界に大きな穴が出来て。
ピエロトは後ろを振り返った。
「さぁ行きなさい」
「でも、ヒカリ」
「良いのよ、どこか青い髪の毛の少年、いやいいの、もし私の息子と出会ったら、仲良くしてあげて、きっと寂しい思いしてるから」
「うん、わかったよ」
ピエロト・ダザック、大地に降り立つ。
だがそこに待っていたのは地獄そのもの。
飢えで死んでいく村。
人々はピエロトを見つける。
歩けない少年。
そこにチャニーがやってくる。
チャニーは大きな虎を使って、ピエロトを助け出す。
そして2人は出会い。
ひたすら山を登り。
そして落下して。
ジョド村長と出会った訳だけど。
「さてと、ここからはワタクシの戦いと言う事ですかな」
ピエロト・ダザックは廃墟の真上に浮遊している。
まるで道化のように。
道化の仮面を身に着けて。
暗闇で包まれた宙を見上げて。
次に森に囲まれた大地を見つめて。
無数のモンスターの気配。
空気の息遣い。
その中に1498体の仮面分身達が走り回る。
森の中をまるで虫のように走り回る。
彼等に与えられたのは光りの魔法。
光の神々から授けられた魔法。
ぱちりと宙が真っ赤な光に包まれる。
「さぁてと、サーカスの始まりです」
道化。
それはサーカスをやる事。
仮面をかぶって芸を見せる。
その為に生きる。
それが、道化の役割。
ぱあっとまた光る。
次は青い光。
光が次から次へと宙を覆う。
モンスターの息遣いが変わる。
モンスター達がどのような顔をしているのか。
ピエロトは仮面を切り替える。
意識を1体の仮面分身へと変える。
走っている。
ピエロトの肉体は衰えているが走っている。
それが肉体ではなく仮面分身であるからだ。
仮面分身の1体がモンスターに殴られる。
木々に衝突する。
動かなくなるが、道化はむくりと死霊のように動き出す。
「それは仮面だよ、そっちも仮面だ。本体はどこにいるんだろうね、見つけてごらん」
モンスターに向かって、光の魔法を炸裂させる。
ただの眩しい光かもしれない。
物凄い光は、モンスターの意識を失い。
理性を奪う。
大きな遠吠えをあげて、訳の分からない声を上げながら。
モンスター同士が混乱を始める。
間違って同族を殴り倒してしまい。
勝手に戦いが広がっていく。
道化は戦場の中をただあざ笑うかのように走り回る。
仮面分身達のあ手の平から、至る所から光の神々に与え荒れた光の魔法が炸裂する。
だがその魔法で相手を消滅させる事はしない。
光魔法で相手を消し飛ばす事は簡単だ。
それをすると、ロイフルが悲しむから。
ただそれだけの理由で、ピエロトは、光の魔法を。
ただのサーカスの道具のように。
宙へと打ち上げるのだ。




