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夜天のセラフィア─ Passio Angeli ─  作者: Mysti
第1章 望まぬ婚姻
5/6

episode.#4 ヴェロニカという少女

この作品を選んでいただきありがとうございます(ˊᵕˋ)︎︎︎︎

作者のヨスガです。下の注意書きを読んでいただいてからの閲覧をおすすめいたします。


【作品について】

・本作は完全なフィクションです。実在の人物、団体、事件等とは一切関係ありません。

・無断転載、自作発言、生成AIへの学習利用は固くお断りいたします。

・作品のスクリーンショット、および二次配布(SNSや他サイトへの掲載)はご遠慮ください。


【コンテンツ警告】※必要な場合のみ記載

・本作には一部[流血、暴力、死ネタ、性描写]などの表現が含まれる可能性があります。

・苦手な方は閲覧をご遠慮いただくか、自己責任での閲覧をお願いいたします。


流血などの暴力表現のある話の前書きには→暴⃝

性的描写のある話の前書きには→㊙

を記載します


今回も特筆はありません。

 彼女の登場で空気は少し緩んでいたものの、冷たい雰囲気は変わらなかった。

 要因はふたつ。ひとつは彼女の魔力が未知数であること。もうひとつはアステルの、この同盟の目的が依然掴めないということ。ウェルメリア側はもちろん、申し込んだエストリア側も理解しがたかった。


「ええ、それでは始めてもいいでしょうか。」


 空気に少しづつ踏み込むようにエストリアの高官が声を上げた。


「どうぞ始めて、とても興味深いもの。」


 年相応の声色がひとつ音域を落とした。輝いていた目は少し細められ、警戒と、少しの興味を写していた。


「まず、この同盟協議のきっかけ、先月の『降天式』はお見事でした。」


「初戦のこと?そんな風に呼ばれてるのね。」


「失礼ですが軍妃殿、ご存知ないのですか?」


「知らなかったわ。」


 知らないうちにあだ名をつけられていたような感覚で手をひらひらと振る彼女。


「そもそも地位や力なんて興味もないし、軍妃って称号も重たいくらい。戦う理由なんて国民と両親のためだし、、、大層な大義なんてないわよ。」


「らしいですね、『ヴェロニカ』様。」


「え?」


 名で呼ばれたことよりも''らしい''と言われたことに興味を示した様子。


「噂通りの平和主義だと思いまして。軍のトップにそのご年齢で就かれたにも関わらず、夢や野望などはないのですか?」


「ないわ。夢や野望で幸せになれるの?」


「叶えば幸福でしょう?」


「そんなの幸せじゃないわ。」


 会議室が静まる。


「では、あなたは何を持って幸せとおっしゃるのですか?」


 ヴェロニカは少しだけ考え、少し笑った。


「みんなが笑ってる事ね。老若男女関係なく、朝も昼も夜も。友達も、家族も、私の知らない人も。皆が。」


 エストリア側は呆れたような顔をした。ただアステルだけが興味深そうに、値踏みをするように彼女の瞳を見つめた。


「難しい願いですね。」


「そうかしら。」


彼は頷く。


「誰かが幸福になるためには、誰かが損をする。戦争だけではありません。」


静かな声だった。


「国も、政治も、歴史も、全てがそうです。」


 ヴェロニカは黙って聞いている。アステルは続けた。


「だから私はルーメリアを統一したい。」


その一言に空気が変わった。


 エストリア側も、ウェルメリア側も。誰もが彼を見る。


「統一?」


 ウェルメリアの高官が警戒を隠さず尋ねた。アステルは頷く。


「ルーメリアは長く均衡を保ってきました。ですが均衡は停滞でもある。いつまで経っても戦は終わりませんし国は互いを牽制し続ける。人は疑い続けます。」


 彼の声は低く、冷静だった。だがその奥には確かな決意がある。


「私はそれを終わらせたい。」


 会議室が静まり返る。誰もが彼の真意を探ろうとしていた。


「それが同盟の理由?」


 ヴェロニカが尋ねる。


「半分は。」


「もう半分は?」


 彼は初めて少しだけ笑った。何か熱を持った目で。


「貴方を知りたい。」


 誰も言葉を失った。アステルは構わず続ける。


「『天使』


『降天のセラフィア』


 猛々しい異名の割に、受け答えする姿は


『ヴェロニカ・ノックス・セラフィア』


という1人の少女だ。戦争で見た貴方と私の目の前にいる貴方はまるで別人。だから興味があるのです。」


 ヴェロニカはぱちりと瞬きをした。まるで珍しい生き物でも見るような顔で。


「変な人ね。そんなこと、初めて言われた。」


 その言葉に。アステルはなぜか少しだけ嬉しそうだった。


「貴方の初めてをいただくのは二回目ですね。」


「2回目?」


「降天式、そしてご尊名です。」

今回も読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m

さて、アステルは何を考えて同盟に乗り切ったのでしょうか。侮れない男です。

そういえばヴェロニカの名前が出てきましたね。

フルネームは『ヴェロニカ・ノックス・セラフィア』です。察しのいい方ならタイトルの意味にお気づきでしょうか?そのうち作品の中で出てきます!(多分)


コメント、リアクション、もちろん呼んでいただくだけで励みになります!今後もよろしくお願いします。


午後6時27分 ヨスガ

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