episode.#5 星たちの死因
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流血などの暴力表現のある話の前書きには→暴⃝
性的描写のある話の前書きには→㊙
を記載します
今回も特筆はありません。
ヴェロニカは数回瞬きをした。
「本当に変わってる人ね。」
不思議な形で崩れた空気は掴みどころを失ったが、同時になにか心地良さを感じさせる雰囲気もあった。
エストリア側は頭を抱え、ウェルメリアは「またお嬢様口説かれてるよ。」といった顔をした。
ただ1人、アステルだけが満足そうにしている。
「アステル殿、お嬢様への口説き文句を伺った訳ではありません。」
ウェルメリアのひとりが咳払いした。
「失礼、それではそろそろ本題に入りましょうか。」
各官が資料に手を伸ばした時、再び空気は温度を下げた。ここからが本題。アステルが鋭く切り出す。
「さて、我々は約1か月前、私とヴェロニカ様という将を立て戦果を交えた訳ですが、、、結果は我がエストリアの惨敗。騎士国である我が国はメンツを重んじる風潮にあります。故にこの敗戦が応えました。今や国内では私の率いる軍の人気は2番手に落ちつつある。」
苦虫を噛み潰したような顔であくまで冷静に続ける。
「そのカバーのために同盟を提案したのですか?」
ウェルメリアの高官が尋ねる。
「そうです。そこで、この同盟をご提案したい。」
「誰に提案しているのか理解してらっしゃるのか?敗戦の相手に頼むとは、プライドとは名ばかりでしたかな。」
「ええ、ですから''提案''と言っているのです。あなたがたの言う通り私は敗戦の将。あくまでも、両国が生き残るための提案です。」
「生き残る」というワードがひっかかる。
「ひとついいかしら。」
ヴェロニカが静かに声をあげた。
「両国が生き残る提案というのはどういう意味?まるでウェルメリアが滅ぶような言い草だわ。」
会議室の視線がアステルへ集まる。彼は少しだけ考えるように目を伏せた。
「滅びます。」
その言葉を反芻するように。
「ええ。いずれは。」
―ざわり
空気が揺れた。
「何を根拠に。」
ウェルメリア側の高官が鋭く問い詰めた。エストリア側でさえ厳しい視線を送る。アステルは机上の資料を一枚取り出した。
「こちらをご覧下さい。」
配られた資料を開いた者たちが眉をひそめる。
「星光濃度……?」
「ルーメリア全土の観測記録です。」
彼は淡々と続けた。
「過去百年間で、世界を満たす星光は約二割減少しています。」
誰も言葉を発しない。それはあまりにも静かな異変だった。
「星光は魔法の源。」
アステルは言う。
「つまりミスティカそのものの生命線です。」
「偶然では?」
「私もそう考えていました。」
彼は首を横に振った。
「ですが減少率は年々加速している。」
その言葉に、ヴェロニカだけが微かに目を細めた。
『星』
その言葉に何故か胸の奥がざわつく。理由は分からない。ただ、嫌な予感がした。
「このまま何もしなければ数百年後、あるいはもっと早く。ルーメリアから魔法が失われる可能性があります。」
沈黙。誰も笑わなかった。アステルは冗談を言う人間ではない。そして何より、ヴェロニカが妙に納得した顔をしていたから。
「だから私は統一したい。」
黒曜石のような瞳がまっすぐ前を向く。
「争いに使う力を、世界を維持するために使うべきだ。」
その瞬間だった。
「……変ね。」
ぽつりと呟いたのはヴェロニカだった。全員の視線が彼女へ向く。彼女は窓の向こうの空を見て、まるで誰かの声を聞くように。
「星はそんな死に方をしないはずよ。」
その言葉に。アステルの瞳が初めて大きく揺れた。
何度目ましてこんにちは、ヨスガです。
書くのが楽しくなってきました。
伏線って考えるの楽しいですね!
ひとりでワクワクしながら書いてます。
エピソード5、読んでいただきありがとうございます。
リアクション・コメント凄く嬉しいです!
良ければぽちっていただければヨスガが喜びます。
次のお話でお会いしましょう!




