episode.#2 降天式の後で
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流血などの暴力表現のある話の前書きには→暴⃝
性的描写のある話の前書きには→㊙
を記載します
ルーメリアの中心部、アルカディアにある魔法庁中央棟、「ノクティス・タワー」。
空中都市の中心に建てられたその巨大施設は、ミスティカを統べる象徴であった。
そして、その最上階付近にあるカフェ「アルシエル」。
戦場帰りの魔法使いたちや、研究員、指揮官階級の者たちが利用するそこは、魔法庁の中では珍しく。東西南北関係なく心を休める場であった。
昼下がりの柔らかな光が窓から差し込む。
端から数えて2つ目の、空がよく見える席。そこに静かに座り一息ついている少女がいた。マドレーヌやスパイスケーキを頬張りながら読書をする姿はまさに絵画のようで、完成された景色だった。
その姿もあるが、やはり視線を集める理由は1か月前の戦績だろう。ウェルメリアは約1か月前、正反対に位置する国エストリアと一線を交えたのだが、その戦い方が実に華やかで鮮烈であったと敵が称するほど完璧な勝ち戦だったのだ。もちろん主将は彼女。軍妃の銘を受け継ぎ、後に「降天式」と評される強烈なデビュー戦であった。
頭脳明晰容姿端麗。そんな彼女にも少し悩みがあった。ルーメリア中の名だたる貴族たちが彼女の名を買い、求婚を申し入れたのだ。15歳の彼女は確かに結婚適齢期であったが、軍妃という名を冠した手前、プライベートが乱れると戦績に影響が出るため全てをキッパリと断っていた。
それでも諦めない貴族ももちろんいた。いや、ほぼそうだったので彼女は真剣だった。
「はぁ、」
小さな溜息ですらキラキラと輝きそうである。カフェの皆がその姿にうっとりと癒される。
そろそろ日が傾く時間。彼女が店を出ようとした時、ドアベルが鳴った。入ってきたのは彼女とは違う魅力を持った者。
アステル・エレボス・シグナード・ラングレー
彼もまた若くして頭角を表した魔法騎士。そして彼女の処女戦の敵将だった。
空気がピリつき、少し温度が下がる。が、彼女はお構い無しに道を開けた。
「どうぞ?」
あっけらかんと相手を敬う様は敵同士であったことを認識していよう。その態度にさらに空気が凍る。
ひらひらと久しぶりに会った友のように手を振る彼女。
エストリアは騎士国。故に威厳を重んじる風潮にある。
''自分の敗戦の相手に道を譲られた''
''相手は少女で自分よりも歳が若い''
それだけでアステルのプライドは潰れかけていた。周りは気が気ではなかった。つい一ヶ月前に戦果を交えた同士だ。が、アステルは
「お気遣い感謝いたします。お嬢さん。」
と言い残し店へ入っていった。
彼を案内する店員だけが彼の表情に気づく。
「何か良いことでもございましたでしょうか?」
思わず店員が聞く。
「いや、少し妙案を考えついただけです。」
それ以上は聞くことができなかった。いや、体が動かなくなった。黒い彼の目が紅く、猛っていたから。
2度目まして、ヨスガです。
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そろそろ物語の本筋に入りますね^^
頑張って書き切ります!




