表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第7章 群羊の空

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/105

第7章 第4節 石塔の主(第2項)

(せん)(だい)(りょう)(しゅ)(ちち)(おや)のエドバードが()に、

 エルテル(りょう)をワシが()ぐことになった。


 (びょう)()していたのだから、

 (さい)(あく)()(たい)(よう)()(そう)(ぞう)できたはずだ。


 いずれ()ぐだろうとは(おも)っていたが、

 ()(ぶん)()()(のぞ)んだことではなく、

 (しゅ)(たい)(せい)()けていた。


 その(とき)はまだ(かく)()がなかった。


 ただ、(おそ)ろしい(そう)(ぞう)が、

 (じつ)(げん)してしまったんだ。」



「エルテル風邪(かぜ)、ですか?」



(りょう)(ない)ではメルセ(びょう)()んでいた。


 20(ねん)()(じょう)(むかし)(やまい)だ。

 ()らないのも()()はない。」



わたしが(へん)(とう)()まると、

エリクはそのまま(はなし)(つづ)けた。



()(めい)()()(まえ)は、

 ただの(せき)(にん)(なす)()()いだ。


 そう()われ、サンサに(ひど)(しか)られたよ。」



――(りょう)(しゅ)(しか)るなんて…。



(かれ)(わら)ったものの、

(とう)()(じょう)(だん)にわたしは(こん)(わく)させられる。



(りょう)(しゅ)などという()()があったところで、

 (やまい)(げん)(いん)()からなければ、

 (たい)(さく)(ほどこ)しようもない。


 ひとからひとに(つた)わる(やまい)は、

 (りょう)()()(もん)して(でん)()する()(けん)があった。


 (びょう)(にん)()()ることもできん。」



(くる)しみを(こら)え、(ふか)()(いき)()く。



(かく)()(あな)()らせては、

 (いく)(にん)もの()(たい)(やす)みなく()めさせた。


 (はか)()(りょう)(しゅ)とまで(そし)られたが、

 ただの(あな)()ぎん。


 (ほん)(らい)(はか)であればよかった。


 (やまい)()んだ(りょう)(みん)()(ひょう)()く、

 ()(にん)(かず)()()()(かさ)なって、

 ()くにも(ねん)(りょう)()りない。


 ()(よう)(ぶつ)(おな)(あつか)いしかできん。


 (かみ)には()んだ(りょう)(みん)()(まえ)ではなく、

 (すう)()だけが(しる)されていった。


 そんな(とき)に、

 オーブの(りょう)(しゅ)であったグレイ(ろう)が、

 ワシに使()(しゃ)(おく)ってきた。」



つらい()()でも(かれ)(なつ)かしみ、

(こま)(がお)ではなく()(かい)(はな)すので、

わたしはそれを()()()()ていた。



「オーブ…、サンサがなにか

 やらかしたんですか?」



「やらかした?

 ここではそんな()(まわ)しをするのか。」



「いえ、(しつ)(げん)でした。」



サンサの(こう)(どう)を、

(じょう)(ひん)(こと)()(けい)(よう)するのは(むずか)しい。



(よう)(じょ)(たい)する()(けい)(はつ)(げん)()いても、

エリクは(くち)()()げて(よろこ)んでいる。



「だが、やらかした

 という()(けん)()(とう)だ。


 (とう)()のオーブの(りょう)(しゅ)は、

 グレイ(ろう)息子(むすこ)のグラスか。


 (あやつ)(にん)(ぎょう)とまで(さげす)まれていたな。


 ()いだ息子(むすこ)()まってそう()ばれる。


 (かれ)(ちち)(おや)のグレイ(ろう)が、

 ワシと(たが)いの(りょう)()(ため)(うそぶ)いて、

 (やまい)退(しりぞ)ける(すべ)()(おんな)(おく)ってきた。


 サンサはあろうことか、

 (りょう)(ない)(ねこ)(ともな)ってな。」



(ねこ)…アルですか?」



()()()ていたアルが()(まえ)()ばれると、

(みみ)(はら)ってミャオと()いて欠伸(あくび)をする。



エリクも(うなず)く。



「メルセ(びょう)(ゆう)(いん)した(げん)(いん)は、

 (ぜん)()ワシにあった。


 それによって(せん)(だい)のエドバードが、

 (やまい)(ひろ)める(した)()(つく)ってしまった。」



「…どういうことでしょうか?」



メルセ(びょう)――、

エルテル風邪(かぜ)()(ろく)されたのは(きん)(ねん)でも、

(れき)()(しょ)やメノーから()りた()(がく)(しょ)には、

(るい)()(しょう)(じょう)がいくつか()(さい)されていた。



()(だい)には()()()(がい)()()れて、

(みず)()(せん)(こう)(ふく)(うなが)すなどの(せん)(りゃく)がある。



エリクが(こく)(はく)したような、

エルテルが(びょう)()(ねら)って

(でん)()させた()(ろく)(そん)(ざい)しない。



(さかのぼ)れば、()ずべき()()だ。


 エドバードは(なに)(ごと)にも(しょう)(きょく)(てき)でいて、

 (とき)()(げき)で、(きょく)(たん)(おとこ)だった。


 エルテルの(しゅう)()には、

 (いぬ)()いているだろう?


 これは(そう)()()(だい)から、

 (けい)(しょう)された(つえ)だ。」



「はい。」



(かれ)(つえ)(にぎ)りを()せる。

()()られた(いぬ)(あたま)



「エドバードは(ねこ)(きら)いでな。


 (りょう)(しゅ)である()(ぶん)(したが)わない(ねこ)が、

 ()()わなかったのだろう。


 (りょう)(ない)()えた()(ねこ)を、

 ()(じょ)しろと()(こく)したのだ。」



「まさか(ねこ)(のろ)いとでも()うんですか?」



スーが(しい)()(とき)

()(はなし)をしたのを(おぼ)えている。



(かれ)()(おく)()らし()わせ、(まゆ)(くも)らせた。



「いや、ただそれだけの()(ゆう)だ。


 サンサもその(たぐい)(はなし)(しん)じはしない。


 (かみ)(おそ)れるオーブから()(もの)なのにな。


 (ねこ)()れて()たのは、

 (われ)(われ)への(いや)がらせだろう。」



その(せつ)(めい)にわたしは()ける(こと)()(うしな)った。



(ねこ)()(ころ)()かけなかった(ねずみ)が、

 (さく)(もつ)()(りょう)(そう)()(しょく)(りょう)()らして

 すぐに()えた。


 (ねずみ)(かく)れた(ちい)さな(せい)(ぶつ)が、

 (ほか)(どう)(ぶつ)(うつ)ると(やまい)()んで、

 ひとからひとへと(ひろ)まったと、

 サンサは(せつ)(めい)してくれた。」



「それと()かって、

 (ねずみ)()(じょ)はなさらなかったのですか。」



(ねずみ)(おお)くの()()み、(はん)(しょく)(はや)い。


 ()(ぞく)(なか)には、

 (ねずみ)(かん)(しょう)(よう)()うこともある。


 ()(さん)(はん)(えい)(しょう)(ちょう)としてな。


 (ぜん)(ねん)()(さく)もあって、

 (やく)()けのつもりなのだろう。


 ()(ぞく)()(ぶん)(たち)()やした(ねずみ)を、

 使()(よう)(にん)(ほう)()として(ぶん)(ぱい)もした。


 (ねずみ)はなんでも()うので(えさ)には(こま)らん。


 ただ、(のう)(みん)にとっては(がい)しかない。


 (のう)()(ぎょう)であれば、

 (こう)()した(とき)()てきた(ねずみ)は、

 ()っている(いぬ)()(じょ)をする。


 だが(そう)()(すき)()や、

 (ちゅう)(ぼう)(つう)()(こう)から(しん)(にゅう)する(ねずみ)にまで、

 (いぬ)(きば)(とど)かん。


 それもワシのせいだな。」



(かれ)()()(いか)りから、

(ちから)(づよ)()うと()()んだ。



(じゅう)(ぎょう)(いん)のキーアが(はこ)んできた(みず)()んで、

()(きゅう)()()かせる。



メグは(おき)()()ってきて、

テーブルの(した)()いてくれた。



挿絵(By みてみん)



(なが)()()()(どう)(あせ)(にじ)()(あし)

(つめ)たくなっていたから(たす)かった。



(のろ)いに()(たい)するだけの()(ゆう)が、

 エルテルにはあったんですね。」



(のろ)い…うむ。


 (こう)(けい)(しゃ)のワシと(つま)のあいだに、

 ()ができなかったのだ。


 (おとうと)のタルヴォはすでに3(にん)()()ち、

 (つま)のベリーを(くる)しめた。


 それがエドバードを(はずかし)めたのかもしれん。


 (やまい)(ひろ)がる(なか)、そんな(せん)(だい)()

 ワシにとっての(のろ)いとなった。」



(つえ)()つその(いぬ)(あたま)(ゆび)()でる。



(ちち)(おや)から()()いだ(もの)を。



(ぜん)()エドバードの(せき)(にん)ではないのだ。

 ワシの――。」



「いえ、それは(せん)(だい)(りょう)(しゅ)(せき)(にん)よ。」



()いるエリクに()(かい)(およ)ばず、

わたしの(はん)(ろん)(くち)()いて()る。



(せん)(だい)(りょう)(しゅ)(あやま)ちを(みと)めず、

 (せき)(にん)()わずに()んだからって

 エリク(きょう)(せき)(にん)()(ひつ)(よう)はないわ。


 (かれ)()(ぶん)尻尾(しっぽ)()らない(ねこ)

 ()()らしに(ころ)しただけよ。


 ()(ねこ)(はん)(しょく)されて(こま)るのなら、

 (きょ)(せい)すれば()んだ(はなし)だわ。」



()(がく)(しょ)(かい)(ぼう)(がく)(ほん)にも

()(ちく)(きょ)(せい)(かん)しては、

(けっ)(さつ)(しゅ)()()()きで()かれている。



それよりも(おや)(せき)(にん)()()う、

エリクの(かんが)えが()(かい)(がた)かった。



――(かん)(じょう)()(かえ)りを(もと)めてはいけない。



サンサが()っていた。



()()(いか)りの(かん)(じょう)(おさ)え、

(なが)(いき)()いた。



わたしはわたしの(こと)()で、

(くび)(たて)()って(つづ)ける。



「あなたが(せき)(にん)(かん)じているのは、

 (つぐな)いの()(ぶん)()たすだけよ。」



――(つぐな)いだわ。



――サンサはいつだか

  (つぐな)いという(こと)()使(つか)ったわ。



――マルフとの(かい)(だん)(とき)だったわね…。



そんな(かんが)えを()ぎらせていると、

エリクは()(まる)くして(おどろ)いていた。



わたしは()(ぶん)(たち)()(わきま)えずに、

(かれ)(ちち)への()(じょく)()()いた(とき)には、

(すこ)()()いてから(こう)(しょう)された。



「はははっ。

 サンサにも()たことを()われたな。


 ()っていたのか? ()らないのか。

 あぁ、()()ったばかりの(ころ)だ。


 ニクス、ニクスか…。

 (よる)()(がみ)だったか、なるほど。


 (ごう)(たん)(むすめ)だ。それでいて(さと)い。


 その(しゃべ)(かた)心地(ここち)()いな。

 サンサにもよく()ている。


 (かの)(じょ)(みぎ)()()くのも(どう)()だ。」



()(こと)()にしては()(ほん)()よ…。」



(けん)(そん)()(まん)()ぜて(はな)った(こと)()が、

さらに(かれ)(よろこ)ばせた。



「そんなに(かしこ)まらずとも()い。


 (しょ)(せん)ワシは(はか)()(りょう)(しゅ)だ。


 オーブの()()(すが)()(がい)

 ()(かい)()()てがなかった。


 ワシがサンサを

 『(うん)(めい)(おんな)』のように(あつか)うと、

 (はか)(あな)(おう)だなどと()(せい)()びたな。」



(うん)(めい)(おんな)っていうのは…?」



(あい)()から(もと)められていない

(しゃべ)(かた)()()(つづ)ける(ひつ)(よう)もなく、

(かれ)(こと)()(しん)()(そっ)(ちょく)(たず)ねた。



(しん)()(とう)(じょう)する(うん)(めい)(おんな)というのは、

サンサのことからしておよそ

()()()ではないのは()かる。



「あぁ、(とう)()(しゃ)(いろ)()(そそのか)し、

 (くに)(ほろ)ぼす(げん)(きょう)(ざい)(にん)()()する。


 そんな(べっ)(しょう)(かの)(じょ)(よろこ)んでいたよ。」



――やっぱり…。



「オーブに()()(ぜん)から、

 サンサのことは()っていたの?」



「あぁ。

 オーブでは(べつ)()()があったがな。」



(もり)(けん)(じょ)ね。」



ボナのお(きゃく)さんのソフィが、

サンサをそう()んでいた。



(もり)(けん)(じょ)とオーブの(りょう)(みん)(うやま)われ、

 (しん)()からはグレイ(ろう)(らく)(いん)だとか

 (うわさ)されていたな。」



(もり)(けん)(じょ)より(うん)(めい)(おんな)(ほう)が、

(かの)(じょ)()()っていて()(てい)はできない。



(かの)(じょ)をエルテルの(しろ)()ぶと、

 (りょう)(ない)への()()みを(きん)()していた

 (ねこ)(かか)えてやってきたのだ。


 すぐに(こう)(かい)したよ。」



――()てつけなのかしら…。



「でも(りょう)()(ねこ)(きょ)()しても、

 (えき)(びょう)(しゅう)(そく)しなかったのよね。」



「そんなのは()(まつ)なことだ。


 あの()はグレイと(いっ)(しょ)に、ワシの(りょう)()

 あってはならない(えき)(びょう)(ひろ)めてくれた。


 いま(おも)()しても(おぞ)ましい。」



(かれ)はまた(こえ)(はず)ませて()うので

すぐに()(そう)はついた。



(こう)()()(ぞう)して(りゅう)(つう)させてたこと?」



(しん)じられるか? (しん)じられん(はなし)だ。

 (たい)(りく)(こう)()(かん)()するワシに()(はく)したんだ。


 (りゅう)(つう)させた(こう)()()(あく)しきれず、

 (ほし)(かず)ほどに達していた。」



(きょう)(はん)(かん)(けい)にさせられたのね。」



サンサのやりそうな(こう)(どう)に、

エリクはお(なか)(かか)えて(わら)(くる)しむ。



「『(きん)()()()(はか)(ため)の、

  (てん)(びん)(おもり)()ぎない。』


 サンサはワシに()(はな)った。


 オーブの田舎(いなか)から()()(むすめ)が、

 (りょう)(しゅ)になって()もないワシを(ため)すのだ。


 いまでも()(いた)める。」



(かれ)(わら)(つか)れて()(いき)()いた。



「サンサはそのことを、

 ()(うん)(じょう)じたと()ってたわ。


 (たい)(りく)から(はい)(こう)()(かず)()りないから。」



エリクは(うなず)く。



()(りょう)では()(まね)(やまい)(でん)()(おそ)れて、

 (りょう)()(せい)(さん)(ひん)(りゅう)(つう)しなくなった。


 (たい)(りく)から(きん)()()()れるメーニェ(ほん)(ごく)も、

 (かい)(きん)(ほう)(こう)(じつ)にして、(えき)(びょう)(くる)しむ

 (われ)(われ)との貿(ぼう)(えき)(ひか)えた。


 そんな(とき)に、オーブの()(ぞう)(こう)()

 (かん)()(あみ)()けていった。」



()(もの)でもないのに、

 (こう)()(りゅう)(つう)しただけで

 (やまい)(でん)()するものなの?」



「いや、しない。と、

 サンサは()っていた。


 (こん)(らん)した(りょう)(みん)にとっては、

 ()()みのない(こう)()(やまい)(たい)()()い。


 (まよ)える(ひつじ)(たち)が、

 (ぼく)(よう)(けん)()(けん)()れを、

 ()(べつ)できるだろうか。


 (たい)(りく)(こう)()(かん)()する()(ぞく)か、

 まともな(しょう)(にん)()(きん)(せき)使(つか)う。


 (ほん)(もの)(こう)()ならば、()めば(かん)(かく)

 (たい)(りゃく)(じゅん)()()かったはずだ。


 ()(ぞく)やは()(にゅう)(りょう)(げん)(しょう)で、

 (こう)()()()()るがす(きょう)(こう)と、

 (やまい)(おそ)れて(しん)(がん)(たし)かめなくなった。


 (だれ)もがオーブで(せい)(さん)された()()を、

 (だま)って(みと)め、()()れたのだ。」



「サンサ(たち)はそれを(ねら)って(ひろ)めたのね。」



エリクは()(しょう)(とも)に、(ふか)(うなず)いた。





 ▶

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ