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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第7章 群羊の空

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第7章 第1節 黄金の蜜(第1項)

()()えた(ほん)に、わたしは(あたま)(ひね)った。



(ほん)(まつ)()(あか)(いと)()われ、

その(なか)()()めない。



――(ひら)いていいのかしら?



――(いち)(おう)(あず)かりものなのよね。

  オーナーの(ほん)を。



(いと)には()れずに(ほん)()じ、

(かわ)(びょう)()のエンボスに()れる。



――『(せい)(とう)()』。



挿絵(By みてみん)



サンサに()()けられたネルタの(ほん)は、

(たい)(りく)のエンカー()()かれていた。



()めるようになったエンカー()でも、

(ない)(よう)(えん)(きょく)(ひょう)(げん)(おお)くて(どっ)(かい)(こん)(なん)で、

(ほん)(すべ)てを()(かい)することはできなかった。



()けてー。」



「はぁい。」



部屋(へや)(とびら)がサンサに()られる。



(せき)(わん)(かの)(じょ)がまたなにかを()って

部屋(へや)(もど)ってきた。



挿絵(By みてみん)



今日(きょう)(ぬの)(はさ)んだ(どう)(ばん)を、

(なん)(まい)(かさ)ねて(かか)えている。



(いた)から(こす)()った(ひく)(きん)(ぞく)(おん)()る。



「ありがと。

 まだ()てるわね。


 スー。()きなさい。」



()(かた)がないよ。


 (まい)(にち)(いそが)しくしてるし。」



(ちょう)(しょく)()(こく)()ぎてもスーは()ている。



(かの)(じょ)はアイリアの(せい)()になった

レナタを()れて、フルリーンと(とも)

(こう)(ぼう)での()(ぎょう)()()れる。



(かえ)りはいつも(ゆう)(こく)になる。



部屋(へや)(もど)っても()るまでのあいだ、

(ちょう)(こく)(とう)(のこ)りの()(ぎょう)をするスー。



(かの)(じょ)(たち)はルービィの(ほん)(つく)(ため)に、

レナタの()(よう)()()()せようと

()(さく)()(かえ)していた。



「セリーニに()()められたのかしらね。

 アル。」



(くろ)(ねこ)のアルがミャオと()けば、

(たか)(ほう)(たな)()()って

スーの身体(からだ)()()ちた。



挿絵(By みてみん)



「ぶあっ! なに? アル!

 なぁんだ…。びっくりしたぁ。」



ベッドの(うえ)(よう)()()(なん)(まい)()とし、

スーが(あわ)てて()()きた。



今日(きょう)()()けるんでしょ?」



「サンサ。あ、ニクス。おはよう。」



「おはよう…。(だい)(じょう)()? (つか)れてない?」



(しろ)(ねこ)のイオスが()いてアルを真似(まね)し、

ベッドの(うえ)からわたしの(むね)()びついた。




挿絵(By みてみん)



「ちゃんと()たから(だい)(じょう)()。」



「これ。

 (つく)らせたから、(ため)しに使(つか)ってみなさい。」



サンサが(かか)えていた(どう)(ばん)(わた)す。



(おも)ぉい…あ、これ、レナタの()でしょ?

 あれ? ()たことない()だ…。」



()せられた(どう)(ばん)には(なん)(ほん)もの (せん)()かび、

(はだか)のメノーが(えが)かれていた。



「これどうしたの?」スーが()(かがや)かせる。



「レナが(ぬの)のもう(はん)(ぶん)()いてた()を、

 ()()いに(たの)んで(つく)って(もら)ったのよ。」



(つく)らせた、ってさっき()ったよね?」



わたしの()(てき)にサンサは()()らす。



「えぇー…。

 (しょく)(にん)()()いが()るなら

 (さき)(しょう)(かい)してよぉ。


 (わたし)(たち)(なん)(まい)()って

 昨日(きのう)ニスまでしたのに。」



(ほん)(ぎょう)ではないから(しょう)(かい)しないわよ。


 (かれ)(たい)(りく)()()きなだけの

 ただの(どう)(らく)(もの)よ。


 (かん)(せい)するか()からないものを

 ()(たい)しても()(かた)がないでしょ。」



「どんなひと?

 (ほん)(ぎょう)はなにしてるの?

 アイリアは()ってる?

 オーブの()()い?

 カヴァのひとかな?

 ニクスは(だれ)だと(おも)う?」



「わたしに()かれても…。」



「…(まよ)える()(ひつじ)みたいな(おとこ)よ。


 今日(きょう)はフルリーンを

 (いち)()()れて()くんでしょ?


 レナはもう(こう)(ぼう)()ったわよ。」



「あっ! (わす)れてたっ。」



スーの(こう)(ずい)のような(しつ)(もん)

サンサは(かる)(がる)()(なが)してしまう。



()(えい)はディーゴを()れて()きなさい。


 (けん)()たせたばかりのウントでは、

 ()(のう)(てき)にも(たい)(りょく)(てき)にも(むずか)しいでしょ。」



「ウントは(かっ)()(けん)()(はじ)めそう…。」



わたしの(そう)(ぞう)にサンサも(うなず)く。



「ウントがついてきて

 もし(まち)(けん)()にでもなったとしたら、

 ()いていっても(かま)わないわよ。」



()()のハーフガンがエルテルに(かえ)り、

(かれ)()わりに()(えい)になったウントは

(けん)()いて()(まん)していた。



()(えい)になっても(かれ)(げん)(どう)()わらず、

ドレイプはだれも(かれ)(たい)(どう)しない。



()(えい)なのに、(おとり)にするの?」



「それが()(えい)(ほん)(らい)(つと)めよ。」



(けん)()なんて

 ()(えい)がやることではないもんね。」



(けい)(きょ)()(ほろ)ぼすのよ。


 ニクスも(おぼ)えておきなさい。」



()(おぼ)えがあっても

サンサの(こと)()には(しゅ)(こう)できない。



スーはキャシュクを()て、

ベッドの(うえ)でわたしの()ってきた

(ちょう)(しょく)()(はじ)める。



(きん)(ぱつ)(こう)(とう)()()(ぐせ)()ねていたので、

わたしは(くし)(あぶら)()()ってから

(から)まった(かみ)()き、()いていく。



それを()たイオスが(まえ)(あし)

わたしの(ひじ)()いて、

今日(きょう)もブラシ()けを(よう)(きゅう)してきた。



ブラシを()って(ひだり)()(かお)(まえ)()せると、

イオスは()(ぶん)から(かお)(こす)()けて

(ある)いて尻尾(しっぽ)()(もと)まで()てる。



ブラシには(たい)(りょう)()()いていた。



「サンサ。

 ニクスの(かんが)えたスタンプが

 どうしても()(れい)(うつ)らないんだよね。


 インクを()いやすい(かみ)って使(つか)えない?」



スーは(かた)いパンをスープに(ひた)し、

(ほぐ)してお(かゆ)にしている。



(とく)()()かしら?


 (しゃ)(ほん)使(つか)うには(たか)いわね。


 あなた(たち)(つく)ってる(もく)(せい)のスタンプは、

 (たい)(きゅう)(せい)(もん)(だい)があるわよ。


 100(さつ)(つく)(まえ)(こわ)れるでしょ。」



「レナタの()(せん)(ほそ)いから、

 (いた)()()がよくできちゃってさ。」



「それよりインクを()えた(ほう)(はや)いわ。


 ペンを使(つか)って(なめ)らかに

 ()()()(ひつ)(よう)はないから、

 インクが(かみ)()きやすいように、

 ゼラチンや(てっ)(ぷん)()ぜれば

 (ねん)(せい)()すのよ。


 ()(ざい)のことなら(せん)(もん)()()るでしょ。


 ソフィに(たの)んでみたら?」



「あぁ、それだ。(はっ)(そう)(てん)(かん)だね。」



ソフィはアイリアも使(つか)()(ざい)()(けい)(えい)(しゃ)で、

(にん)(しょう)(かん)()をしているボナのお(きゃく)さん。



(かの)(じょ)はサンサを(けい)()して、

オーブのゼラチンを()(もと)めていた。



わたしは(よう)()()()まれたベッドの(うえ)で、

(どう)(ばん)に1(まい)だけ()ざった

(くろ)(いろ)をした()(ざわ)りの(こと)なる(いた)()()いた。



「この(いた)だけ(あつ)いのは…(てつ)?」



ベッドに()いた(てっ)(ぱん)(うえ)に、

イオスが(すわ)ろうとしたので()()げた。



イオスへのブラシ()けを(つづ)けると、

アルが()きもせずに(となり)(すわ)る。



こうなると(ねこ)(なか)での(じょ)(れつ)(まも)(ため)に、

アルを(ゆう)(せん)しなければいけない。



(そう)(てい)(よう)(じゅん)()させたやつね。


 これなら(かわ)使(つか)えるでしょ。」



(そう)(てい)って、(ほん)(ひょう)()の?」



(かわ)(うえ)(てっ)(ぱん)()いて、

 (たた)いて(あつ)をかけて(つく)るんだよ。


 (うす)(どう)(ばん)でやると、

 エンボスが(つぶ)れるもんね。


 ()()()がりが(たの)しみになってきた。」



(てつ)(いた)(あつ)(かわ)(びょう)()()(こう)(よう)で、

(どう)(ばん)のような(せん)(びょう)だけではなく、

(きょく)(めん)(おお)(りっ)(たい)(てき)になっている。



「インクに(てっ)(ぷん)()ぜると

 ()れて(てっ)(ぱん)()びやすくなるから、

 使(つか)()えたら()()れしなさいよ。」



「フルリーンに(まか)せるから(あん)(しん)して。」



「…(けん)(めい)ね。」



サンサは(あきら)めに(ちか)(ひょう)(じょう)()せる。



わたしは(ぬの)(かさ)ねたまま(いた)(しば)って、

フルリーン(とく)(せい)(りょ)(こう)(かばん)()れて

スーが()()ける(じゅん)()()ませる。



「あいがとぉ、ニクスぅ。」



スーは()(ぼく)(くち)にしたまま(れい)()う。



()()えた(しょっ)()をトレイに()せ、

(かの)(じょ)(あわ)ただしく部屋(へや)()()った。



今日(きょう)(らい)(きゃく)()(てい)もないけれど、

 ニクスは(ほん)()んで()ごすつもり?」



「これは()()えたよ。


 ファウナから()りた(ほん)も。」



(かの)(じょ)から()りた『ゼズ(とう)(ぼう)(けん)()』は、

アイリアの『(にゅう)(しょく)(じゅう)()()』を()たので

(はなし)(なが)れを()れて(こと)()()(かい)(ふか)まった。



(はや)いわね。

 (ふゆ)まで()()わらないかと(おも)ってたわ。」



「スーの(しゃ)(ほん)のおかげかも。」



()(しょ)(かん)()ってくれた(しゃ)(ほん)(やく)()った。



「それならいま(ひま)でしょ?」



(ひま)ではないわ…。」



(はん)(しゃ)(てき)()ったもののやることはない。



(やかた)(かん)(さん)()()ぎても、

(だれ)もわたしの手伝(てつだ)いを(ひつ)(よう)とはしない。



()(ぼう)なファウナでさえ。



(ひま)()(あま)した()(もと)は、イオスに(つづ)いて

アルのブラシ()けしかしていない。



()(ぶん)()(しょ)(うば)われたイオスが、

アルの(でん)()()みついて(はん)(こう)した。



アルに(まえ)(あし)(つよ)(たた)かれるイオス。



イオスはわたしの(かた)へと()んで()げると、

尻尾(しっぽ)()ってわたしの()(なか)(こす)った。



(ひま)ならスーに(たの)んで

 (いっ)(しょ)(いち)()()けばよかったのよ。


 あなたはまだ、

 レナを()かせたことを

 ()()っているのかしら。」



「わ、わたしは(ほん)()みたいの。」



(せい)(とう)()』を(ひら)いても、

(ほん)()()(あたま)(はい)ってこない。



()げもしない(ほん)(ゆう)(せん)するものかしら。


 (ほん)はあなたに()(しき)(あた)えるけれど、

 あなたに(ばつ)(あた)えはしないわよ。


 そんな(ほん)よりも今日(きょう)

 わたしに()()ってくれる?」



サンサに()われて(ことわ)()(ゆう)ももうないので、

わたしは(かの)(じょ)について部屋(へや)()た。



(そと)(すこ)(はだ)(ざむ)くて、()ってきた(うわ)()()る。



アルとイオスが(そろ)って(にわ)()け、

(てい)(えん)()こうに姿(すがた)()した。



(てい)(えん)(みどり)には(あか)()(いろ)()えて、

(てい)(ぼく)()(すこ)(いろ)()せてみえる。



今日(きょう)(ひつじ)()れているわね。」



サンサが()(そら)には

(ひつじ)()れが(はし)っている。



(さむ)さを(はだ)(かん)じるようになると、

(たか)()(かさ)なる(なつ)(くも)よりも、

(くも)(ちい)さな(あつ)まりが(ひろ)がった(そら)()かける。



この(こう)(せき)(うん)がさらに(あつ)まると、

(つめ)たい(あめ)()らせる。



(のう)(みん)(しゅう)(かく)(うなが)()()で、

(ひつじ)()れと()()けられた(くも)



わたしの()んでいたネルタでは、

(そら)(おお)(くも)をお(さかな)(うろこ)()()てる。



やがて()(あめ)(みずうみ)()たし、

(ほう)(りょう)(ねが)って(かん)(れん)する()(まえ)()けた

(ほん)には()かれていた。



(ひつじ)()れは()たことがないし、

(さかな)(ぶん)(すい)(がい)ではあまり()べられない。



わたしにはブレズの(こな)(みず)(ふく)ませて、

パン()()()ばした(そら)にも()える。



(みず)(つぶ)(あつ)まりでしかない(くも)が、

()るひとや()()によって()(まえ)()わる。



(くう)()(つめ)たくなったのに、

()()しはまだ(はだ)()くように(つよ)い。



「レナは(むかし)(そら)(ひつじ)()いかけると、

 (ころ)んで()いて(ひつじ)(きら)ったのよ。


 そのあとで

 (はじ)めて()(ひつじ)のお(にく)()べたら、

 (こん)()(ひつじ)()きだなんて()うの。


 あの()(かん)(じょう)(いそが)しいわね。」



(だれ)にだって(おさな)(ころ)であれば

(そう)(ぞう)(かた)くない。



サンサはよく

レナタを()(ども)(あつか)いして(からか)うけれど、

(かの)(じょ)にもそんな(ころ)はあったのかもしれない。



サンサの(よう)(しょう)()(そう)(ぞう)するのは(むずか)しい。



「ニクスは、

 ()(ひつじ)のお(にく)()べたことあるかしら?」



(はなし)()れてるよ。


 ()べたことは()いけれど。」



「あなたからすればレナは()(ども)でも、

 あなたが(おも)ってるほど(おさな)くもないわよ。」



「わたしがサンサに()ったのよ、それ。」



――レナタはわたしが(しょう)()()()したから、

  (しつ)(ぼう)しているはずだわ。



「1(ばん)部屋(べや)()()して(やかた)()()もいれば、

 ()()(いん)での(せい)(かつ)()()(ため)

 (やかた)()()()るのよ。


 ユヴィルの(やかた)(がい)(しょう)になるよりは、

 ここでの(せい)(かつ)(あん)(てい)しているものね。


 (なか)には(こん)(いん)(あい)()(さが)()()るけれど、

 あまりお(すす)めではないわね。


 そんな()(にん)(かんが)えなんて

 (ほん)には()かれていないでしょう。」



()ってるよ。」



(にん)(しょう)(かん)()()()のファウナは、

ドレイプを()()してはいない。



「それなら(つぎ)()(ほん)

 もっと大人(おとな)()けの(ほん)()いわね。」



大人(おとな)()けってなに? また(わい)(ほん)?」



(ちが)うわよ。

 それはあなたが()みたいだけでしょ。


 (ぞく)(ほん)ね。

 ありふれた、()(ひん)で、()にならない(ほん)。」



「そんなものが大人(おとな)()け?」



わたしを()(ども)(あつか)いして(からか)った(かの)(じょ)は、

(まえ)(ある)いて(かた)(わら)っている。




 ▶

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