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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第6章 暗晦の道(前)

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第6章 第1節 館の落実(第3項)

挿絵(By みてみん)



(てい)(たく)()()がると(とお)りから(しょう)(ろう)()え、

そこには(よる)(やかた)のオーナー、

ルービィ(たち)()(やかた)がある。



「おかえりなさい。お(じょう)(さま)(がた)。」



「ただいまぁ、ドロシア。」



「ジュースを(よう)()してるから

 (あと)()って()くわね。」



「ありがとうございます。」



ルービィの(いもうと)、ドロシアに(むか)えられて

わたし(たち)(げん)(かん)から(やかた)(はい)る。



挿絵(By みてみん)



「ドロシアが(しょ)(るい)()(ごと)をしてくれて

 (たす)かったわ。」



ドロシアはいまこの(やかた)で、

使()(よう)(にん)のような()(ごと)(しゅ)()にしている。



ドレイプの(ぎん)(こう)(こう)()(かん)()(きゅう)(きん)

(のう)(ぜい)()(ぶん)(しょう)(とう)(ろく)なども(おこな)っている。



(かの)(じょ)(そん)(ざい)()ければ、

わたしや、(よる)(やかた)さえ(せい)(りつ)しない、

とまでサンサは()っていた。



「ところで(ほん)(しょく)()いの?


 (さい)(きん)あなたの(かつ)(やく)(みみ)にしないけれど。」



と、サンサが(たず)ねる。



「そっちは(わか)()(たち)(まか)せてるわ。


 マルフみたいに

 (わか)()から()(ごと)(うば)ったら、

 (せい)(ちょう)しないものね?」



「それはいい(こころ)()けね。


 (うし)ろの()(えい)二人(ふたり)(めん)(どう)も、

 ついでに()()しいわ。」



ドロシアとサンサが(わら)()っていると、

ハーフガンとウントは(だま)って(にわ)(わか)れた。




 ◆




「はぁ、(つか)れたぁ。」



(おう)(せつ)(しつ)()くと、

メノーはさっそく(かわ)のソファに()(ころ)がる。



(はや)かったわねぇ。」



部屋(へや)(おく)から果物(くだもの)(はい)った

ガラスの(うつわ)()ってきたルービィは、

わたしを()(ほお)(うつく)しい(しわ)(つく)った。



挿絵(By みてみん)



(ねん)(れい)(かさ)ねたひとにだけ()まれる(ひょう)(じょう)は、

(うご)きのない()には()せない()(りょく)がある。



「ルービィ。

 (ほん)(じつ)はご()(ぼう)(なか)、お(まね)きに(あずか)

 ありがとうございます。」



わたしは(はん)()()がって

(かた)(ひざ)(ゆか)()れるほど(ひく)(こし)()とし、

(やかた)(あるじ)()かって(ふか)(こうべ)()れる。



「やぁーまた()(じん)になってぇ。」



(うつわ)をテーブルに()くと、

ルービィは()()(たか)(こえ)()して

わたしを()()せる。



(かの)(じょ)(はく)(はつ)()じりの(なが)(あか)(がみ)を、

(こう)(とう)()()()げている。



「ルービィ。

 これ()(じょう)レナを(あま)やかさないでよ。」



サンサの()(ぶん)()()して、

(かの)(じょ)はわたしの(かみ)(やさ)しく()でた。



(ずる)いわよ。

 あんた(たち)(まい)(にち)()てるんだから。


 (なが)(たび)()えて(かえ)ってきたわたしを、

 (ねぎら)ってくれるのはこの()だけよ。」



「わたし、ジュース()みたぁい。」



ルービィを()にもせず、

メノーは(おう)()した(じょう)(たい)

(うつわ)果物(くだもの)()()ばす。



(いえ)(かえ)ってきてすぐこれって、

 いかがなものかしら。


 (おや)(かお)()たいわねぇ。」



「あなたよ。あなた。」



と、サンサが()ったから、

ルービィの(うで)(なか)でわたしは(わら)った。



「ほら、(しん)()りのイオスよ。

 (あい)(さつ)なさい。」



サンサは()(わん)

アームカバーごと(らん)(ざつ)(はず)すと、

イオスを()にして(かか)えた。



(ちい)さな()(えい)ね。」



ルービィが(はな)(さき)()()けて(あい)(さつ)すると、

イオスはビャオと(かす)れた(こえ)()いた。



「それで、(ほん)()けたの?」



「えぇ、あるわよ。

 (うし)ろの(たな)に。


 これが(さい)(こう)(けっ)(さく)よ。」



「エルテルに()くまで、

 ずっと()けないって()ってたのに。


 ()(あん)しかないわね。」



(ほん)? (げき)(じょう)の?」



「ルービィは()(きょく)なんて()かないわよ。」



わたしは今日(きょう)

(にん)でルービィの(やかた)()()(ゆう)()らない。



(かの)(じょ)(なが)(りょ)(こう)から(かえ)って()たのを()り、

いつもの(あい)(さつ)のつもりだった。



(おんな)()(ひと)つで(しょう)(かん)(おお)きくしたオーナー、

 ルービィの(さい)(こう)(けっ)(さく)

 (ほん)にして()るのよ。」



「なによ。()(らい)(どお)りに()いたわよ。


 まとまってないけれどね。」



「ふふっ。

 (さき)(さい)(こう)(けっ)(さく)()ったのは

 ルービィ、あなたよ。


 で、そんな(ほん)(せい)(こう)させる(ため)に、

 レナにこれから(はたら)いて(もら)うわよ。」



「わたし? なにができるの?

 (ほう)(りつ)()っかからない?」



「メノーはそこで()いでて。」



「はぁい。」



サンサの()(りゃく)()()でも、

メノーはなにも()(もん)()たずに

キャシュクと(はだ)()()いでソファで(くつろ)ぐ。



「オーブにも()ってきたの?」



(しゅ)(りょう)(ゆう)(めい)なオーブ(りょう)

()鹿(じか)()(がわ)がソファに()かっていたので、

メノーがそれを(りょう)(けん)()ける。



「えぇ。あの()(たち)()たから、

 (にぎ)やかな(りょ)(こう)だったわよ。


 (こと)()()かってなかったけれど。」



(たい)(りく)のひとと(いっ)(しょ)でしたよね?」



「フレヤとレイヤね。」



「あの()(たち)(せい)(りゃく)とはいえ、

 (かん)()までついて(どう)(じょう)するわねぇ。


 あなたやサテュラほどではなくても。」



ルービィが(くち)にしたサテュラは、

スーの(はは)()(まえ)だった。



(くら)べるものではないのよ、ルービィ。


 あなたにも、

 ()(にん)(もの)()しや(てん)(びん)(おもり)(くら)べられない

 (けい)(けん)はあるでしょう。」



サンサの(ちゅう)(こく)に、

ルービィも(うなず)いて(くち)()ざした。



「メノーは(くび)れを(きょう)調(ちょう)して(こし)(ひね)って。


 あなた、(おお)きくなったわね。」



「えぇ。そんなことないよねぇ。」



(おお)きくなったわよ。」とルービィも()う。



モザイク()(ころ)とは(ちが)うメノーの姿(すがた)

わたしも(うなず)く。



(よる)(やかた)(びょう)(いん)との(おう)(ふく)(ひん)()()えると、

()(しゃ)での()(どう)のあいだに(かなら)果物(くだもの)()べる。



()べている()(ちゅう)(かの)(じょ)()て、

()(しゃ)()れに()ったりもして、

()べたものを()くこともあった。



ニクスと(いっ)(しょ)になって()(しょく)まで()べている。



「レナはあのメノーを()(そう)()して()いて。


 アイリアの(へき)()くらいね。

 (とく)()でしょ?」



()()かされるなんて、

 わたし()いてませんっ!」



わたしは(くび)(よこ)()って(こう)()した。



「まだ使(つか)ってない(よう)()()か、

 (しろ)(ぬの)はあるかしら?」



「テーブル()けならあるわよ。

 これに()くの? (おお)きいかしら。」



ルービィは()いた()()(たな)から()()して

テーブルに(ひろ)げた。



「ルービィも、レナが(べん)(きょう)(かい)(とき)

 ずっとお()()きしてるのは

 ()ってるでしょ?」



「えぇ。

 あなた、(ないがし)ろにされてるのよねぇ。


 レナタは()(ごと)(しん)()でも、

 それでは(ほか)のフランジに

 (しめ)しがつかないわねぇ。」



ルービィは(うで)()んでわたしを()()ろす。



(のど)からなにかが()てきそうな、

()(あん)()(ぶん)になる。



するとサンサがわたしの(かみ)()でた。



「レナは(しょう)(らい)

 アイリアみたいな()(こう)になりたいのよ。


 それでベッドの(した)(いろ)(いろ)(かく)してるわ。」



「えっ、なんで()ってるのっ!」



サンサがわたしの()(ごと)(あば)いたので、

(おお)(ごえ)(はな)ってしまった。



「わたしは()ってたよ。」とメノー。



「ほら、ルービィを(だま)らせるくらい、

 (うま)()いてみせたらいいのよ。


 メノー、それ()べたらもっと(ふと)るわよ。」



メノーは(うつわ)()かれた()(いろ)()(じつ)

(こぶし)ほどあるダギラに()()ばした。



挿絵(By みてみん)



メノーの()(しゃく)(おん)(みみ)(くすぐ)り、

イオスがソファに(まえ)(あし)()ばし、

(なん)()()いてダギラを(よう)(きゅう)している。



アルまで(となり)(すわ)って()っていた。



サンサがわたしのチュニックから

(もく)(たん)()()して()()ける。



「…()いの?」



「わたしがレナのやっていること、

 ()(てい)したことあったかしら?」



(かの)(じょ)から(もく)(たん)()()って、

すぐに(おも)()かんだことを()った。



()(じゅ)(えん)からクァンを()った(とき)に…。」



「あったねぇ。」



メノーがダギラを(ほお)()って(なつ)かしむ。



「なにしたの?

 それ、おばあにも(おし)えて。


 サンサはどうしてそんな(だい)()なこと、

 わたしに(ほう)(こく)しないのかしらぁ。」



(せん)(じつ)のことを(なつ)かしむメノーと、

わたしを()()めるルービィ。



わたしはそれで()(けい)()ずかしくて、

(だま)って(ぬの)()()()った。



ダギラを(もら)えずにイオスが()んでいる。



()(ぱら)いはどうしてるの?」



(にわ)()たせてるわよ。


 (そと)(さわ)がしいから、

 (しん)()りのウントを(きょう)(いく)してるのね。」



わたしがメノーを()いているあいだ、

サンサはルービィと(やかた)について(はなし)をする。



(ぼっ)(けん)()()(かわ)いた(おと)(にわ)(ひび)いて

(おう)(せつ)(しつ)にまで()こえてくる。



「ウントに(けん)(わた)したら

 ソーマを(かえ)そう思うわ。」



「あなたの(たくら)(どお)りにいくのかしら。」



(かれ)()(ぶん)()(しん)(しば)ってたのよ。」



「そんな(ふう)には()えなかったわよ。」



()(れい)(とも)()(りょく)(おとろ)えるのよねぇ。」



「メノーは(だま)ってなさい。」



メノーがおかしなことを()ったせいで

ルービィに(しか)られている。



メノーが姿()(せい)()えたから、

わたしは(ぬの)(よこ)()(どう)させて

まだなにも()いていない()(はく)(さが)す。



「あなたはまだなにか(たくら)んでるの?」



(ひと)()きが(わる)いの(わる)(たず)(かた)ね、それ。


 (にん)(げん)一人(ひとり)では()きていけないけれど、

 (だれ)であれ、(とき)には(ひと)りになって、

 ()(ぶん)()()()(かん)(ひつ)(よう)なのよ。」



「…お(いの)りみたいな?」



サンサの(こと)()にわたしは(たず)ねた。



()ているわね。


 (すみ)がついてるわよ。」



サンサは(うなず)いて、

()()くわたしの(あご)(ぬの)(ぬぐ)った。



「あんな(おとこ)でも()なくなると(さび)しい?」



「えぇー…。なんで?」



「わたしは(さび)しいわよ。


 みんな、いつかお(わか)れが()るのよ。

 (とつ)(ぜん)ね。」



「うん…。

 ウラも()なくなりましたからね。」



わたしと(おな)じメノーの部屋(へや)のフランジで、

(はる)(はい)ってきたのがウラだった。



すぐに(びょう)()になってしまって、

(びょう)(いん)(べっ)(かん)(かく)()されると、

(かの)(じょ)はそのまま(かえ)ってこなかった。



()()わりで(よる)(やかた)にニクスが()て、

ウラとは(はな)すことがあったのに

なにも()えずにお(わか)れをしてしまった。



(かの)(じょ)(おも)()すと()(まわ)りが(あつ)くなる。



「ウラの(けん)(ざん)(ねん)だったわねぇ。


 レナタも、(かの)(じょ)(さい)()

 ()()ってくれてありがとう。


 つらかったでしょう。」



わたしは(だま)って(くび)(よこ)()った。



「わたしへの(ねぎら)いの(こと)()はぁ?」



「メノーは(だま)って

 レナタの(ため)(うご)かないでっ。」



「ふぁい。」



ルービィがそんなことを()ったから、

退(たい)(くつ)しているメノーは欠伸(あくび)をする。



(かえ)ってからなにか(もん)(だい)はない?」



(ぶっ)(そう)(れん)(ちゅう)(ある)(まわ)ってるわね。


 今日(きょう)(わす)(もの)があったわよ。

 あなたがこちらに(かえ)ってきてからね。」



「ユヴィルの(よう)(へい)(れん)(ちゅう)ねぇ。」



(しゅう)(ねん)(ぶか)いわねぇ。


 ()()(きん)()(はら)ってあげたのに

 まだ(さい)(そく)()るのかしら。」



(おど)せばお(かね)()れるとでも

 (おも)ってるんでしょう。」



ルービィがお(かね)(はなし)(はじ)めたから、

サンサがわたしに()(あい)()する。



()()(みず)も、()(つづ)ければ

 いつかは()れることを()らないのよ。


 (がく)()(あい)()って(いや)になるわね。


 うちの()(たち)(だい)(じょう)()?」



(しん)(ぱい)いらないわ。


 (べん)(きょう)(かい)もメノーに(まか)せてあるし。


 (たか)(もど)ってきたのだから

 (ねずみ)()けにはなるわよ。」



(たか)?」



挿絵(By みてみん)



(たか)()りを(おこな)(にく)(しょく)(ちょう)(るい)で、

(やま)などの(すず)しい()()(この)み、

(にん)(げん)(つよ)(けい)(かい)するので

(まち)()かけるのは(めずら)しい。



(あか)(つち)(おか)では

今朝(けさ)のように(はね)(ひろ)げた姿(すがた)()た。



でもサンサ(たち)(かい)()

その(とり)(たか)ではなかった。



「ラッガのことよねぇ。」



「どうして(たか)なんですか?」



「オーブでは(ゆう)(しゅう)(おとこ)

 (どう)(ぶつ)()(まえ)(あた)えて、

 (どう)(もう)(たましい)にする(ため)ね。


 (そら)()べるはずはないのにね。」



「ラッガと()えば

 ネルタの()はどうしてるの?


 カヴァまで()って(ひろ)わせたんでしょ?」



(しん)(ぱい)しなくても

 ルービィは(やかた)()らずに()むわよ。」



「そんなお(かね)(きたな)(かん)じの(たず)(かた)

 してないでしょ。


 (だい)(じょう)()なのねぇ。

 フレヤとレイヤがずっと(しん)(ぱい)してたわ。」



今日(きょう)(やかた)(たい)()してるわよ。


 エルテルから()(がみ)()てたのよ。


 ベリーがまた(なつ)(ふく)(とど)けてくるからね。」



「もうそんな()()なのねぇ。


 (へん)(れい)(かんが)えないといけないわ。」



ベリーというひとはエルテル(りょう)(しゅ)()(じん)で、

サンサの(よう)()にあたる。



(なつ)(ふゆ)になると、

(かの)(じょ)(つく)った(ふく)(よる)(やかた)(おく)ってくれる。



(かの)(じょ)(つく)った(ふく)()たドレイプの(えい)(きょう)で、

(よる)(やかた)から(まち)(りゅう)(こう)になることもある。



わたしは(いま)だに()ったことがない。



「あのひとの(たの)しみなのだから

 ()使(つか)(ひつ)(よう)はないわよ。


 ニクスに()(しょう)(しつ)(かぎ)(あず)けたのよ。


 (いそが)しい(とき)はレナも(たの)むといいわよ。」



「ニクスはいつもスーと(いっ)(しょ)ですね。


 (かの)(じょ)()てくれて

 わたしも(たす)かってます。」



「いまごろ(にわ)退(たい)(くつ)しているスーに

 ()()わされていると(おも)うわ。」



今日(きょう)もニクスは

 (むずか)しそうな(ほん)()てましたよ。


 あれもメノーの()(がく)(しょ)ですか?」



()()じているメノーから(へん)()はなく、

(かす)かな()(いき)()こえる。



(かの)(じょ)(てん)(じょう)(あお)いで()(はじ)めた。



「あの()(こう)()(しん)(かたまり)よね。


 『(せい)(とう)()』があったわ。


 ルービィが()しがってた(ほん)を、

 マルフが()ってきてくれたのよ。


 あなたが(しゅう)(ゆう)()()にね。


 ニクスに(あず)けているから

 しばらくは()めないわね。」



「いつでもいいわよ。

 どうせ()らない(ほん)なんだもの。」



()しがっていた(ほん)ではないのですか?」



()らない(ほん)()しがるルービィ。



「わたしの()(もの)でもないし、

 (しょ)(ざい)(かく)(にん)したかっただけだもの。


 どうせ()みはしないわ。


 マルフはわたしに()びる(ため)ではなく、

 サンサへの()しを(かえ)したかっただけよ。


 わたしはあなたみたいに

 ()(ぼう)()(もの)はしないの。」



(よる)(やかた)(しょ)(しつ)をガラクタ()()にした

サンサに()かって()っている。



メノーはダギラを()にしたまま()る。



サンサに()われた(とお)りに、

わたしはメノーを()(そう)()して(えが)く。



アルが(ゆか)()びたまま

果物(くだもの)をまだ(まだ)っていたけれど、

イオスはアルの尻尾(しっぽ)(あそ)んでいた。



「このひとはまだ、

 ノーラとスーのことを

 ()ってるのかしら。」



「もういいのよ、あの二人(ふたり)のことは。


 あぁ、でもスーもいつか、

 ノーラみたいになるのかしらねぇ。」



()(のう)(せい)()(てい)しないわよ。」



「あの()(たか)かったのよ?


 わたしはスーでまた

 (いし)(うす)(まわ)すんだわ…。」



「ルービィ、また()ってますよ。」



(つた)わるように()(いき)()く。



「だってぇ、レナタぁ。」



ルービィは()(ごと)()らして

わたしの(こし)()きつく。



(かの)(じょ)(ふく)(のこ)った

(むし)()けの(かお)りが(はな)()(げき)した。



ルービィはスーの()(せい)(ねん)(こう)(けん)(にん)になり、

(まち)(たか)()(しょう)(きん)()(はら)った。



そんなスーは()(ぶん)()(しょう)(きん)

(ざい)(さん)(しょ)(ゆう)(けん)(とも)(そう)(とく)(ばい)(きゃく)し、

ルービィに()(はら)(かえ)したという。



ルービィはスーの()(けん)()(うしな)ったことを

いまも()いているのに、(とう)のスーは

()にする(よう)()()せたことがない。



「おばあはお(かね)(しん)(ぱい)ばかりし()ぎよ。」



「あなたが『おばあ』って()ばないでっ。


 2(さい)しか(ちが)わないでしょっ!」



ルービィはよく()からない(てん)(おこ)るけれど、

(からか)うサンサはずっと()(ども)っぽい。



(やかた)退(しりぞ)いたのなら

 ルービィもノーラと()()いわよ。


 スーの(しょう)(らい)はどうなるかしらね。」



サンサに()かれたアルが

ミャオと()いて(へん)()をした。



イオスは()ているメノーの()から

(ゆか)()ちたダギラに()びかかり、(かじ)りつく。



アルも(ゆか)()()り、

(まえ)(あし)でイオスの(あたま)()さえつけ、

ダギラを(どく)(せん)した。



「レナも、フランジの(うわさ)

 (みみ)にしてるでしょ?」



(りゅう)(げん)(この)まず。ではありませんか?」



「ここは(よる)(やかた)ではないわよ。」



()まりを(つく)()したオーナーの、

ルービィが()うのだから(ずる)い。



わたしは(もく)(たん)()()めて(かんが)える。



(おう)(せつ)(しつ)(しず)まり、メノーの()(いき)

ダギラを(うば)(きそ)(ねこ)(たち)(こえ)(ひび)く。



「スーは()まれた(とき)からずっと、

 この(まち)(そだ)ってきたんですから。


 (やかた)という(にわ)は、(かの)(じょ)にとっては

 (せま)いのではないのでしょうか?」



こんなわたしの(けん)(かい)に、

サンサは(くち)(もと)(ゆる)めて(ふか)(うなず)く。



今日(きょう)もきっと、

 (しず)かに(たい)()なんてしてないはずよ。」



サンサに()かれたアルは(しず)かになり、

イオスがダギラを(かか)えて

(うな)りながら()(しゃく)をした。



「ノーラと(おな)じで、

 あの()もサンサの(えい)(きょう)()けてるのよ」



「スーはサンサより(ほん)(ぽう)ですからね。」



(くら)べられても

 (うれ)しくないわよ。」



わたしにまで()われると、

サンサは(つよ)()(てい)できずに

(した)(くちびる)(かる)()んで(くや)しがった。




 ▶ 

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