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金貨の娘  作者: 之#u4e4b
第2章 白亜の館

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第2章 第2節 最初の客(第1項)

挿絵(By みてみん)



(やかた)(みなみ)(げん)(かん)から(きた)()(ぐち)まで、

(なん)(ぼく)(つな)がるコンクリート(ゆか)(ろう)()



その(ろう)()(きょう)(かい)に、

(てい)(ぼく)(みどり)()かれた(にわ)

(ひがし)西(にし)(ふた)つある。



トレイを()()けられたわたしは、

スーに(したが)ってテーブルの()かれた

西(にし)(がわ)(にわ)にやってきた。



(おぼ)える(ひつ)(よう)のないことを(おし)えてあげる。」



スーの(こと)()()()()からず(かお)()ると、

(かの)(じょ)()(せん)(ひがし)()ける。



(ふん)(すい)のあるあっちが『(かん)()(にわ)』、

 こっちは『()(かげ)(にわ)』って

 ()(まえ)があるんだよ。


 でもあっちはみんな、

 (ふん)(すい)(てい)(えん)って()んでるの。」



(にわ)()(まえ)があるんだ。」



(たて)(もの)にもあるよ。


 (みなみ)(げん)(かん)(まち)(あい)(しつ)が『(くれ)(あい)(くち)』、

 (きた)()(ぐち)(がわ)が『(れい)(めい)(そく)(せき)』ね。」



()(ぐち)(ゆう)(こく)で、()(ぐち)(あさ)?」



「ここは(よる)(やかた)だからね。


 でも(てい)(ちゃく)してるのは『()(かげ)(にわ)』と、

 『()()(じょう)』くらいかな。」



この(やかた)では()(あら)(じょ)()()(じょう)()ぶ。



「もしかして、まだ(ほか)にも

 (べつ)()(まえ)があるの?」



スーが西(にし)(がわ)()た。



(しょく)(どう)(よく)(じょう)(とう)は『()(せき)(つい)』だって。

 (ひがし)のドレイプ(とう)は『(せい)()(しん)(じょ)』。


 フランジで()ってる()(すく)なくて

 (つた)わらないし、(だれ)()ばないんだよ。


 (しょく)(どう)なら(しょく)(どう)って()ぶし、

 部屋(へや)ならだいたいは(ばん)(ごう)()ぶから、

 (とう)(ぜん)(たい)()ぶことはないもんね。


 『()(こう)(その)』なんて()ぶより、

 フランジ(とう)って()んだ(ほう)(つた)わるよね。


 でもドレイプになると(みんな)

 ()(だい)(づく)りに(おぼ)(なお)したりするよ。」



(しょく)(どう)(よく)(じょう)がある西(にし)(がわ)(たて)(もの)は、

()(よう)(けん)(こう)(かか)わる()(ぼね)(けい)(よう)できる。



挿絵(By みてみん)



(おごそ)かな()(まえ)()けても、

(かの)(じょ)(たち)(せい)(かつ)()(よう)するものが

()(まえ)(とお)りに()ぶとは(かぎ)らない。



そんな(なか)でも()(あら)(じょ)()()(じょう)()ばれ、

(てい)(ちゃく)したのは(きょう)()(ぶか)い。



――『()(かげ)(にわ)』…。



(しょう)()になるつもりもないのに、

わたしは(むね)(うち)(つぶや)いた。



(にわ)のテーブルは(きた)(がわ)(はい)()している(ため)に、

(たて)(もの)(えい)(きょう)で、いまも(かげ)()ちている。



テーブルの(あし)(もと)()かれた

(くろ)(いろ)(たま)(いし)(かげ)(きょう)調(ちょう)する。



スーは()ってきたトレイを

(えん)(けい)のテーブルの(うえ)()いた。



ただし、(うら)(がえ)しだった。



()(かく)のトレイに()(はい)された

テーブルの(てん)(ばん)は、()える()(ぶん)

(わず)かな(すき)()だけになった。



二人(ふたり)(とも)、ご()(ろう)さま。」



()(あら)(じょ)(つな)がる(きた)(かい)(だん)から、

サンサが()(かげ)(にわ)にやってきた。



アルが(かの)(じょ)(まえ)(ある)き、

西(にし)(がわ)()()()()った。



サンサは(くら)()(こん)(かざ)(ぬの)(かた)()け、

チュニックの(むな)(もと)(ぎん)()(しょく)(しょ)

(わた)らせている。



それから(かの)(じょ)は、(かがや)きのある

(あざ)やかな(あか)(いろ)(ぬの)()にしていた。



今日(きょう)(かぜ)もないし、

 (おき)()(ひつ)(よう)なさそうね。」



(かの)(じょ)はテーブルの(きた)(がわ)()()(すわ)り、

()にしていた(あか)(ぬの)

()(かさ)ねたまま(ひざ)()けた。



「おい! (きゃく)だぞ。」



ハンドベルが()らされて、

(おとこ)(にご)った(こえ)(にわ)(ひび)く。



()(しん)(しゃ)よ。」



()ってないハーフガンだよ。」



スーが()った。



「それは(あい)(はん)してるわね。


 ハーフガンは()(ぱら)いの

 (だい)(めい)()なのに。」



(べっ)(しょう)にしたのはサンサだよね。」



サンサとスーが(わら)う。



(けん)()いた(くろ)(かみ)(ひげ)(ちゅう)(ねん)(おとこ)



今日(きょう)(ひげ)だけではなくて、

 (かみ)(がた)()(だん)()(じょう)におかしいわね。」



()(だん)(あぶら)まみれの()(ぐせ)(あたま)だもんね。」



(かみ)()(ゆう)()(きん)(とう)()けた(ちゅう)(ねん)(おとこ)は、

(うし)ろに(しょ)(ろう)(おとこ)一人(ひとり)()れていた。



「どうして(やかた)(はい)ってきたの?

 ()(だん)こんな()(ごと)しないでしょ?」



「おまえが(やかた)(そと)(ぶっ)(そう)だと()って、

 メノーのやつが()れてったんだよ。


 (おれ)(やかた)()(えい)じゃねえぞ。」



「あなたに()(えい)(まか)せようにも、

 ()(ども)()いかけられない(うえ)

 (あし)(もと)(おぼ)(つか)ないのだから。


 ()(ある)くだけで(ひん)()(そこ)ねるわ。」



「くっ!」



()いも(どう)(ぜん)(しん)(よう)は、

 これからの(こう)(どう)(しめ)せばいいわよ。」



ハーフガンと()ばれた(おとこ)



挿絵(By みてみん)



(さく)()(やかた)(だっ)(そう)()()って(そと)()ていた

()(ろう)(しゃ)のような(ちゅう)(ねん)(おとこ)が、(ふく)(あたら)しくし

姿()(せい)(ただ)して(かみ)()(そろ)えていた。



「せめて()(ども)くらいは(まも)りなさい。」



サンサになにも()(かえ)せず、

(かれ)はわたしを(にら)みつける。



(かれ)(うし)ろに()(しょ)(ろう)(おとこ)(せき)(ばら)いをした。



(いわ)のような(かお)つきに(ほそ)()



(かっ)(しょく)(はだ)()()()けをした()(おとこ)



挿絵(By みてみん)



(はく)(よう)(もう)(なが)いコートを(かた)()け、

(すそ)(みじか)いチュニックと(くろ)(いろ)(おび)(ぬの)()く。



(りょう)()(くび)には(ごう)(しゃ)(おう)(ごん)(うで)()をしていた。



(むな)(もと)(しょく)(しょ)(なが)く4つに()(たば)ねられ、

ひと()(たか)()()()(ぬし)()かる。



(かお)には()(ろう)(とも)(しわ)(ふか)(きざ)まれ、

(すく)ない(はく)(はつ)()やした(こう)(りょう)とした(あたま)

()(ごと)半球形(ドーム)で、(よう)(こう)(はん)(しゃ)する。



(おとこ)()ってきた()(あつ)(ほん)をテーブルの(あし)(もと)

(たま)(いし)(うえ)()()く。



「ごきげんよう。マルフ(そう)(とく)


 ()(がみ)(ひと)つで(とつ)(ぜん)()()して(わる)いわね。

 ()ってたのよ。」



――(そう)(とく)



(かれ)(かた)()きにわたしは(しず)かに(おどろ)いた。



――それって(えら)いひとよね?



サンサは『たいしたお(きゃく)さんではない』と

()っていた、()(まえ)()(そう)(とく)とは、

()()(たか)()()()(やく)(しょく)()(ぞく)だった。



(こん)(かい)も、(こま)った(もん)(だい)()()こして

 くれたものだな。」



マルフという(おとこ)(いか)りを()せている。



「あれでは(ねずみ)(ども)がまた()(はな)つだろう。」



(こん)(かい)のはただの(のこ)()よ。


 これで()(さい)にでもなれば

 エイワズの()(けん)()(もう)かるわね。


 スーに()()()かせましょうか?」



「その(ひつ)(よう)はない。


 (そう)(とく)なら(そう)(おう)(かく)()をせねばならん。」



テーブルを(はさ)み、

()(まえ)()()(あら)(あら)しく(すわ)るマルフ。



サンサはハーフガンを(よこ)()にする。



(かの)(じょ)はなにも()わずに(あご)(まえ)()し、

ハーフガンに()るように(うなが)した。



(かれ)()(ぎわ)までわたしを(にら)みつける。



――(きら)われたのね…。



わたしは(かれ)()(めい)()(あた)え、

(うら)まれてしまった。



ハーフガンが()ったのを()て、

サンサは(ひざ)()けていた(あか)(ぬの)

(うら)(がえ)しのトレイの(うえ)()いた。



「スー。

 これを(たの)めるかしら。」



「ニクス。そっちを(ひろ)げて。」



スーに()われて()()()(かい)し、

わたしはアルの(うし)ろに()った。



マルフが()()がちに

スーを()ているのが()になる。



わたしは(ぬの)(りょう)(たん)()って(うで)(ひろ)げ、

トレイをテーブルの(てん)(ばん)ごと

(ぬの)(おお)(かぶ)せた。



(ひか)って()えるね。」スーが()う。



「どう?

 (しょく)(しょ)使(つか)われるシルクを、

 ()って()めたものよ。」



マルフは()()()()がって(ぬの)()た。



(たて)(もの)()(かげ)(なか)でも

(わず)かな(ひかり)(なみ)()()()(こう)(たく)(つく)り、

わたしもその(うつく)しさに()()()った。



(よう)(えん)(だい)より(むかし)

 ()(だい)から()られていたのだけれど、

 エルテル(りょう)で10(ねん)かけてようやく

 (せい)(さん)()(じゅつ)(かく)(りつ)ができたのよ。


 ()(かた)工夫(くふう)してるのよ。」



「エルテル風邪(かぜ)のせいだろう。

 しかし…むぅ…()(ごと)なもんだ。」



(いか)りを()せていたマルフも(ぬの)()れ、

(すべ)(ゆび)(さき)(かん)(かく)(くち)(もと)(ゆる)ませる。



(りょう)(さん)(ととの)ったからと()って、

 (よう)()のベリーが(やかた)

 (おく)りつけてくるのよ。」



サンサは、(ひがし)にあるエルテル(りょう)(よう)(じょ)



スーや(ほん)(にん)から(せつ)(めい)()けても

わたしは(しん)じられずにいる。



「これは(うつく)しいな…。」



(ほう)(せき)(くだ)いて()りばめたかのような

この(うつく)しい()()()にして、

マルフは(しず)かに(いき)()み、(かん)(たん)する。



(たい)(りく)でもこの(ぬの)(めぐ)って、

 (せん)(そう)()きるほどよ。


 (かえ)りにでも()()げるわ。


 アイリアも()()るはずよ。」



「あぁ。(たし)かにこういう(もの)()きそうだ。


 それにサンサを(あい)()

 (ねた)まれても(こま)る。」



(ひど)()いようだこと。」



サンサは(くち)(もと)()(かく)し、

()(しょう)()かべるのを()て、

わたしは(かの)(じょ)へさらに()(しん)(かん)(いだ)く。



(かの)(じょ)はテーブルの(てん)(ばん)(した)(あみ)(だな)から、

(ふた)つの()(ばこ)()()した。



「ここまで()たのなら、

 (ふだ)(あそ)びに()()って(もら)うわよ。


 スー。(わた)して。」



「はい。」



サンサの(ひだり)(よこ)()っていたスーが、

()()った(はこ)をマルフの(まえ)()く。



()(ばこ)(なか)から、

()のひらほどの(かわ)(たば)()てきた。



(あそ)びに()たわけではないぞ。」



「わたしからの(さそ)いを(ことわ)るなんて、

 (はじ)()かせたいわけね。


 (しょう)()()ける(まえ)に。」



その(ひと)(こと)(しょう)()()(じょく)されると、

マルフも(つよ)くは(ことわ)れずにいた。



スーが()(しょう)している。



「サンサ(あい)()とはいえ、

 わしは()()(げん)せんぞ。


 …これは(ひつじ)か?」



()(つう)(よう)()()よ。

 ()かし(ぼう)()(にく)(めん)()めているの。」



(にく)(めん)を? (おもて)(めん)でもなく?」



(はこ)から()()した(ふだ)()て、

マルフは()られた(にく)(めん)(あお)(ぞら)(かざ)す。



サンサも(ふだ)()()し、

わたしは西(にし)(がわ)(せき)()ってそれを()ていた。



(ふだ)()かれた(すう)()()(ごう)(はん)(たい)(がわ)(めん)は、

(すべ)(のう)(こん)(いろ)()められていて、

(あい)()から()かし()られる(しん)(ぱい)はない。



(じゅう)(らい)(よう)()()(せい)(ほう)だと、

 どうしても(たい)(ひょう)(がわ)(めく)れてしまって、

 (ふだ)として使(つか)いものにならないの。


 これはソーマが(つく)ったとされる()(ほう)よ。」



(よう)()()(つう)(じょう)(たい)(もう)()える(めん)

(おもて)(めん)にしてインクを()せる。



マルフは(せい)(ほう)(せつ)(めい)には(きょう)()(しめ)さず、

(ふだ)(なが)めてさらに()(ほそ)めて(うなず)く。



()ってる()がせん。


 なるほどな。


 (かた)()()てれば、

 いつもの(ふだ)()ても()らんか。


 (おとこ)()(のう)(じゅう)()し、

 (おんな)(かる)(ちい)さなものを

 (つね)(もと)めるようだな。」



「なんでも(だん)(じょ)()けたがるなんて、

 マルフはいまでも(おとこ)らしさを

 ()()したいのかしら?」



(しつ)(れい)()(もん)(いだ)くサンサに(たい)し、

(よこ)のスーが(しず)かに()った。



「サンサ、()(ひん)(きん)()だよ。」



「まだ()ってないわよ。」



サンサは()って(わら)っている。



「マルフはまだ(わか)いつもりね。


 そんなお(とし)(ごろ)でもないでしょ。」



「ふんっ。

 サンサの(まえ)では

 いつでも(わか)いつもりでいるさ。」



「それならもっと(せい)(れい)して(もら)わないと。


 (そう)(とく)としてね。」



サンサは()にした(ふだ)

(だい)となっている(うら)(がえ)したトレイの()(まえ)

テーブルの(すき)()(すう)()(じゅん)(なら)べていく。



(よう)()()には(すう)()()(がら)()かれた(ふだ)と、

()(ごう)()かれた(ふだ)(しゅ)(るい)がある。



「わしの(ふだ)紋標(スート)(けん)(たて)か…。

 (せん)(じょう)()んわしには()()わん(ふだ)だ。」



「マルフにお()()いの(おとこ)紋標(スート)よ。


 この(おんな)(ふだ)(こう)(かん)しましょうか?」



「いや、よい。


 ()()(わる)なサンサからの(おく)(もの)だ。」



()(きび)しい(こと)()ね。」



サンサは(くち)(もと)(かく)してまた(わら)った。




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