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大岩山から絶望を配信する〜男は耐えろと抜かす世界を、低級霊のウイルスで完全チェックメイトしてやった〜  作者: ひややっこ万次郎
第5章:『市場価値ゼロの黙示録 〜泥濘のサバイバーと、世界崩壊前夜(ラストナイト)の利他コード〜
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番外編:眼高手低の残光、そして東京全空の処刑場3

一瞬にして、美紀は凍りつくような冷徹な現実へと引き戻された。冗談じゃない。

これは、本物のテロか大災害だ。窓の下を見下ろすと、さっきまでマニュアル通りの澄ました顔で歩いていたオフィス街の群衆が、髪をかきむしり、涙と鼻水を流しながら、蜘蛛の子を散らすようにわーわーと大パニック状態で逃げ惑っている。

「何が起こってるの……? 一体、世界はどうなっちゃったの……っ!?」

美紀がガタガタと震えながら冷え切った自室のような恐怖に包まれた、その刹那。ガラス張りのカフェの奥、オフィス内の背後から、鼓膜を突き破るような引きつった女性社員の悲鳴が響き渡った。

「キャァァァァァァッーーーーー!!! 嫌! 見ないで! 誰かそのパソコンの電源を切ってぇぇぇッ!!」

一体何事か。美紀が驚愕して振り返ると、オフィス内に並んだデスクのパソコンモニターが一斉に血のような赤黒い色彩に明滅していた。そして、そこに強制配信(デリバリー)されていたのは、さっきの大空のおむつプレイなんかとは比較にならない、人間の尊厳の最後の1滴までを徹底的にすり潰し、社会的・精神的に完全抹殺(ロスカット)する「最も恥ずべきリアルな生態暴露ログ」だった。

それは、悲鳴を上げている20代の美人受付嬢の、マッチングアプリの裏の隠しフォルダからハッキングされた動画データだった。

画面の中で、彼女は『自分を高スペックな処女に見せかけて年収1000万以上のエリート男を釣るための、血の滲むようなあざとい嘘の方程式』を、全裸で鏡の前に立って熱心に自主練習していたのだ。

『はじめましてぇ、私、実家がすごく厳しくて、まだ男の人の手も握ったことなくて……嘘よ(笑)!これでハイスペのバカ男は一発で釣れるわ。デート代全額奢らせて、婚姻届に判を押すまで絶対に股は開かない。結婚した瞬間に財布の紐を握り締めて、非モテの養分は一生私の奴隷(ATM)にすればいいのよ、ギャハハハハハハ!』

それだけではない。動画の後半では、彼女がこれまでネットの恋愛アドバイザーに金を払い、男をハメるために実行してきた、おぞましい『性の不潔な生体データ』が音声付きで完全開帳されていた。

それは、婚活市場で選り好みをして売れ残っているストレスを晴らすため、裏のアカウントで知り合った「ホームレスの浮浪者の男」や「不潔な老人のモブ男」を自宅に連れ込み、自尊心をノーリスクで満たすために、ただ動物のように避妊なしで狂ったように貪り合っている最悪の肉体関係の隠し撮り映像だった。

普段の仮面が剥ぎ取られ、隠していた醜い欲や秘密が周囲の同僚や上司の目前で完全に暴露された女性社員は、絶望のあまり取り乱してその場に崩れ落ちる。

美紀もまた、血の赤色に染まるスマートフォンを見つめながら、首都・東京が狂気のパンデミックへと突入していく事態に直面することになる。

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