第24話:古都の心理的決壊 〜因習の神域(しんいき)に流れる血の美酒と、盲信(もうしん)の従者(フォロワー)〜2
【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の地名、団体、神社、酒蔵、映画館などとは一切関係ありません。また、作中に登場する科学的・医学的描写には一部フィクション(創作)が含まれており、特定の地域や職業を誹謗中傷する意図は一切ございません。あらかじめご了承の上、エンターテインメントとしてお楽しみください。
地獄は神域にまで達していた。
由緒正しき神社の境内。表面上は「神職」として人々の救いを説いていた住職や神主たちの脳内から暴かれたのは、賽銭を横領して風俗に通い詰め、純真な信者の女性たちを言葉巧みにハメて肉体関係を強制していたという、神をナメくさった悍ましい生態データだった。
清らかなはずの境内は、裏切られた信者たちの狂暴な報復の場と化し、石畳は血の海へと変わっていく。
この古都の心理的決壊の中心地である四条河原町を、スマートフォンを拡声器代わりに掲げて、上品かつ狂気的な高笑いと共に突き進む音楽教師・真理子(43歳)。
「神は、私を『正しい側の人間』として選んでくださった!」完全に脳の認知システムをバグらせ、究極の全能感に酔いしれる彼女の後ろを、足音もなく付いていく一人の若い女性がいた。
滋賀出身の地下アイドル・ゆき(24歳)である。ゆきは直接声をかけることはしなかった。ただ、恐怖とパニックで身動きが取れなくなっていた自分とは対照的に、世界が灰滅していく極限状態の中で、誰の目も気にせず自らの虚栄心と狂気を100%爆発させて進軍する真理子の後ろ姿に、ますます深く心酔していったのだ。
(うわぁ……やっぱり、あの女の人、本物の『強者』だ。カッコいい……。マニュアルやファンの目なんて気にして怯えていた私がバカみたい。あの人の後ろについて行けば、私も『本物の個性』を手に入れられるかもしれない……っ!)
本当は真理子もまた、おむつを頭に被って発狂して死んだ女(※ゴローの浮気相手)と同レベルの、脳をハッキングされた哀れな怪物の雛形に過ぎない。
しかし、その裏の惨めさを一切知らないゆきは、ただ表面の圧倒的な行動力だけに目を奪われ、盲信の従者として、自ら進んで真理子の撒き散らす狂気の磁界へと足を踏み入れていく。
そして、真理子が次に向かった目的地――そこは、彼女自身の職場であり、実家の生ぬるい温室に守られて肥大化させたプライドの象徴、「学校」であった。
「さあ、私の愛しい生徒たち、そして私をナメていたバカな同僚ども。聖女である私が、神の裁きを届けてあげますわ!」
放課後の夕暮れが差し込む校舎に、真理子のヒールの音がカツカツと不気味に響き渡る。彼女の掲げる悪魔の端末が校内のWi-Fiネットワークと同期した瞬間、最悪の二次災害である「教育現場の精神的灰滅」の引き金が引き絞られた。
(第25話へ続く)




