第23話:古都の心理的決壊 〜傲慢な聖女(シンデレラ)の進軍と、偽りの熱狂(アイドル)が抱く羨望~2
【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の地名、団体、神社、酒蔵、映画館などとは一切関係ありません。また、作中に登場する科学的・医学的描写には一部フィクション(創作)が含まれており、特定の地域や職業を誹謗中傷する意図は一切ございません。あらかじめご了承の上、エンターテインメントとしてお楽しみください。
神は、汚れた世界の中で私を『正しい側の人間』として選んでくださった!大岩山のデジタルウイルスにより、日本全土の主要都市が地獄の業火で焼き尽くされる中、呪いの針はいよいよ歴史と因習の古都・京都の心臓部を抉り抜く。映画館の座席を乗り越えて観客たちが互いの裏ログを暴き合い、血みどろの殺し合いを演じる新京極通の阿鼻叫喚。その地獄の真ん中を、スマホを拡声器代わりに掲げて、上品かつ圧倒的な狂気を孕んだ高笑いとともに堂々と進軍する43歳の音楽教師・真理子。完全に脳波をバグらせ、究極の全能感に酔いしれる大人の女。その姿を、かつてクズ男の前でおしっこを漏らして泣くことしかできなかった地下アイドル・ゆきが涙の目で見つめた瞬間、マニュアルの枷をぶち壊した「本物の強者」への、歪みきった一方的な羨望が脳髄に突き刺さる――!
大岩山の電磁波ウイルスは、伏見の歴史ある酒蔵群のネットワークをもハッキング。
温度管理システムや醸造ラインの制御を完全に逆ハックされた酒蔵では、巨大な酒樽が次々と異常高圧で爆発を始めた。
何百年も守られてきた芳醇な銘酒が、発狂した蔵人たちの血と混ざり合いながらドロドロの濁流となって街へ溢れ出す。
京都の伝統が物理的にも精神的にもメキメキと音を立てて崩壊していく中、四条河原町の映画館内もまた、逃げ場のない密室の処刑場と化していた。
「嫌だ……っ、来ないで……! 誰か、助けてよ……っ!!」
座席の隅で、24歳の地下アイドル・ゆきは、恐怖に全身をガタガタと震わせていた。
彼女は滋賀県出身でありながら、京都のライブハウスを拠点に活動する人気のコスプレアイドルだった。普段はファンの男たちを「生活を維持するための都合の良い家畜(養分)」と見下すプライドを持っていたが、
その裏では生身の自分を見てくれる強者を求め、激しい孤独と「やきもき」に身を焦がす、極めて受け身なリアルを抱えていた。
この日は、現実を忘れられる唯一の癒やしとして、大好きなアニメの映画を観に来ていたのだ。しかし、劇場の巨大スクリーンと観客のスマホが一斉に赤黒く明滅し、周囲の人間たちの醜悪な「性の強欲データ」が飛び交い始めた。




