第22話:傲慢な聖女(シンデレラ)の戴冠式 ~京都を嘲笑う美人局(つつもたせ)の灰滅(かいめつ)と、選ばれし女の狂喜~3
一切の弁明も綺麗事も通用しない、逃げ場なき肉体的・精神的チェックメイト!金属破片を武器に男たちを嫐り殺しにする女性会社員。社会的地位もモラルもドロドロの泥水に投げ捨てて暴力をぶつけ合う男たち。じいさんは日本刀を引き抜き、ばあさんは台所から牛刀を鷲掴みにして肉体を切り刻み合う、高齢者の楽園の血みどろの殺し合い。偽りの鎖で繋がれた奴らに、若かろうが老いていようが容赦はせん。死臭と煙に包まれた首都・東京が完全に崩壊したその瞬間、大岩山の電磁波デジタルウイルスは、日本全国の主要都市をドミノ倒しのように脳波逆ハックの餌食にしながら、次なる最高のエグい苗床へと電撃移住を果たす。歴史と因習、そして「建前」と「本音」が何百年も洗練されてきた街――古都「京都」へ――!!
「ごふっ、ごほっ! ぁ、がぁぁぁッ!!」
「金が欲しかったんだろ? 全部くれてやるから、腹が千切れるまで食え」という怨念の合唱と共に、胃袋が物理的に引き裂かれ、破裂するまで硬貨と紙幣を喉の奥へ強制的に詰め込まれていく金銭地獄。
さらに、彼の全身はウイルスによって完全に麻痺し、指一本動かすことすら許されない「薬物レイプのトラウマの完全逆転」状態に陥る。
身動きの取れない筒井の周囲に、彼が絶望に追い込んで自殺させた女たちの「ドロドロとした怨念の影」が実体化して群がり、彼の肉体とプライドを文字通り生きたままバラバラに引き裂いていく。
極め付けは、母親の裏で泣き叫んでいた、何千人もの子供たちの絶叫を凝縮した超高周波ノイズだった。
いくら耳を塞ぎたくても体が動かない筒井の脳髄を、子供たちの「僕たちの人生を、お母さんを返せ!」という鼓膜を引き裂く叫びが直接シェイクする。
「あ、がああああああアアアアッ!!! 脳みそが、脳みそが粉々に弾け飛ぶぅぅぅッ!!!」あまりの音響地獄と恐怖、そして精神的リンチにより、筒井の脳の毛細血管が一瞬ですべて爆発。
眼球と耳からドロドロとした血と脳髄の混ざった液体が噴き出し、彼は幼児のように手足をガタガタと痙攣させながら、文字通り「発狂」して最悪の因果応報の死を遂げた。
その凄惨極まる最期を、画面越しの特等席で見届けた真理子。恐怖のどん底にいたはずの彼女の顔に、次の瞬間、不気味なほど艶やかな、満面の笑みが浮かび上がった。
「あ……あはははははははは! そうよ、そうなのよッ!!」
真理子はベッドから飛び起きると、狂ったように両手を天に突き上げて大喜びした。
「神様は……神様は、この汚れた世界の中で、私を『正しい側の人間』として選んでくださったんだわッ!
私を苦しめる悪党だけを、こうして地獄に叩き落としてくれたのよ!!」
彼女の肥大化したプライドは、この未曾有の災厄を「自分を肯定するための戴冠式」へと脳内変換した 。
日本全土が灰滅していくこの終末の状況下で、自分だけが傷一つつかずに生き残っているという事実。
それが彼女の精神を究極の全能感へと導いていく。
「おーほっほっほ! ざまあ見なさい! 私をナメたバカ男どもの末路よ! これからこの世界は、選ばれし私を中心に回るのよぉぉぉッ!!」
京都の夜空に、真理子の高笑いが響き渡る。
しかし彼女はまだ気づいていなかった。その狂喜の笑声こそが、すでに大岩山のウイルスの手の平の上であり、古都・京都を包み込む「さらに陰湿でグロテスクな二次災害」の幕開けに過ぎないということを。
(第23話へ続く)
ご一読ありがとうございます!自分を財布扱いしてナメくさっていた悪党・筒井が、自らの罪の幻覚に脳を内側から爆発させて路上にぶち倒れる様を、特等席で見届けた音楽教師・真理子。「私は正しい!」という狂気の戴冠式を経て、実家の温室を飛び出した彼女の剥き出しの虚栄心の進軍が、ここから古都をさらに深く侵食していきます。次回、【第23話 古都の心理的決壊 〜傲慢な聖女の進軍と、偽りの熱狂が抱く羨望~】。舞台は新京極通へ! 観客たちが互いの裏ログを暴き合って殺し合う映画館から、這う這うの体で路上へ逃げ出した地下アイドル・ゆき。おしっこを漏らして泣き叫ぶことしかできない惨めな彼女の前に、上品な笑顔のまま阿鼻叫喚を突き進む真理子が現れた瞬間、狂気の一方的羨望が脳髄に突き刺さる――!?陰湿な二次災害が爆発する次話を、どうぞお見逃しなく!
※作中補足
医学・心理学の分野でも、強い不安や恐怖、罪悪感によって、実際には存在しない触覚や痛みを現実のものとして錯覚する「体感幻覚」や、意識が混濁して現実と妄想の区別がつかなくなる「せん妄」という現象があります。
筒井は超常現象で殺されたのではなく、「自分が騙し、貪り尽くした女たちの怨念の記憶」に脳をハッキングされ、
自分自身の思い込み(幻覚)によって自らの肉体を物理的に破壊した――。
過度な錯乱状態がもたらす強力な「体感幻覚」と「激越せん妄」の同時発症であったと解釈できます。




