第21話:終焉のエピローグ ~焦土と化す首都(東京)、そして因習の古都(京都)へ繋ぐ絶望の狂詩曲~1
脱線衝突事故によって生じた炎と黒煙が渦巻く、駅ホーム。鉄塊と化した満員電車から命からがら這い出した生存者たちを待っていたのは、手を取り合う救助劇などでは決してなかった。
キィィィィィィィィィィィン!!
なおもスマートフォンの画面を赤黒く明滅させ、大岩山から放たれる電磁波ウイルスの怨念。
社会的生命の処刑宣告に留まらず、人間の「脳内の一番汚い本音」を実名・高画質付きでリアルタイムに開帳し続ける悪魔の端末を前に、生き残った人間たちは年齢も性別も問わず、完全に理性を剥ぎ取られた獣へと退化した。
「触るな変態! 脳みその中身ごと消えちまえッ!!」
男性たちの脳内に渦巻く、歪んだ性的加害衝動や異常な支配欲のデータを突きつけられた女性たちは、根源的な嫌悪感から狂暴化した。
清楚なスーツを引き裂かれた女性会社員が、落ちていた列車の鋭利な金属破片を武器に、襲いかかる男たちの目を突き、下半身を文字通り「徹底的に破壊」して嬲り殺しにする。
「どうせお前らも裏では俺たちをバカにして、金と男のことしか考えてないんだろッ!」
対する男たちもまた、社会的地位もモラルもすべてドロドロの泥水に投げ捨てた。
画面に暴かれた、女性たちの「男を都合の良い財布としか見なしていない本音データ」を見て激昂し、力任せに女性たちを組み伏せ、引きずり回し、物理的な暴力で蹂躙し始める。
中年男性が若い女子高生に、男子学生が年上の女性に、ただ「性」と「暴力」のパニックをぶつけ合う地獄の総力戦。
そこには高齢者も子供も関係なかった。老人が生き残るために子供を炎の中に突き飛ばし、子供は泣き叫びながら大人の足に噛み付いて線路の火の海へと道連れにする。
一切の弁明も綺麗事も通用しない、逃げ場なき精神的・肉体的チェックメイト。互いが互いを全滅させるまで終わらない凄惨な殺し合いの果てに、死臭と煙に包まれた東京という首都は、精神的にも物理的にも完全に崩壊し、静かに終わりを迎えた。




