第19話:大空の性癖開帳と霞ヶ関崩落 〜おばちゃんの悲鳴と仮面夫婦の血みどろ殺し合い〜3
綺麗事で塗り固めていた偽りの仮面は、すべて剥ぎ取ってやる。地上波テレビ局を狂気の発狂部屋へと変えた大岩山の電磁波ウイルスは、光の速さで大気圏を駆け昇り、逃げ場のない大空の密室をも完璧にチェックメイトしていく。高度数百メートル、東京上空を飛ぶ報道ヘリのフロントガラスに、突如として血のような赤黒いデジタルノイズが出現した。操縦士・ゴローの胸ポケットでスマホが怪異の振動を始めたその瞬間、東京の全空に投影されたのは――世間には愛妻家で通っている男の、あまりにもグロテスクで幼児退行した「赤ちゃんおむつプレイ」の裏のログだった。社会的生命を瞬時に処刑され、正気を失った男が操縦桿を握り潰したとき、ヘリは制御を失って霞ヶ関の官庁ビルへと急降下を始める――!
そして、呪いは若い世代から、さらにその奥――誰もが羨む「高齢者の楽園」にまで容赦なく伝染していった。
世間からは「誰もが羨むおしどり夫婦」「本当に仲良く大往生する二人よね」と絶賛されていた、結婚50年目の高齢の老夫婦。
しかし、その贅沢な一軒家のリビングの空気は、今や濃密な殺意で満ち満ちていた。
システムが崩壊したスマホの画面が血の赤色に染まった瞬間、二人の脳内に、お互いがそれまで「世間体」のために心の奥底に隠し続けていた、50年分の本音のログが直接逆流してきたのだ。
『この売れ残りのクズが。若い頃から飯の味に文句ばかり言いやがって。お前の介護をするくらいなら、今すぐ首を絞めて殺してやる』
『男のくせに大した稼ぎもない無能の分際で、耐えろ耐えろと綺麗事を抜かすな。お前の退職金が手に入った瞬間から、毎日お前の飯に少しずつ毒を盛ってやればよかった』
隠されてきたドロドロの憎しみ劇が完全に可視化され、お互いの脳波がハッキングされた瞬間、老夫婦は同時に立ち上がった。
じいさんはリビングの壁に飾ってあった美術品の日本刀を狂ったように引き抜き、ばあさんは台所から鋭利な牛刀を鷲掴みにして這い出てくる。
「死ねぇぇぇぇ! この無能の養分がぁぁぁ!!」
「お前こそ地獄へ落ちろ! このクズ老害がぁぁぁ!!」
老夫婦は涙と鼻水をドロドロに流し、互いの肉体を容赦なく切り刻み、突き刺し合う凄惨な殺し合いを始めた。
畳の上は一瞬にして鮮血の海へと変わり、世間体が作り上げた「偽りの円満」は、お互いの命を奪い合うことで、文字通り【完全チェックメイト】された。
テレビのカラーバーが虚しく点滅する日本中で、老若男女を問わず、これまで綺麗事で男を搾取し、異性を値踏みしてきた人間たちの仮面が次々と引き裂かれていく。
大岩山の山頂で、アローズの鎧を纏ったひややっこは、スマホに映る霞ヶ関の崩落と地上の阿鼻叫喚を冷徹に見下ろしていた。
「若かろうが、老いていようが、偽りの鎖で繋がれた奴らに容赦はせん。これにて、全世代、完全チェックメイトや」 本物の誠実さだけが法律となる【恋愛の超・弱肉強食時代】の進撃は、地上のすべての世代を絶望の更地へと変えながら、さらに残酷に加速していく――。
(第20話へ続く)
ご一読ありがとうございます!ヘリの激突によって霞ヶ関のビルが完全灰滅へと崩落し、地上では脳天に弓道の矢を突き刺した女子高生がのたうち回り、結婚50年目のおしどり仮面夫婦が日本刀と牛刀で血みどろの殺し合いを演じる全世代大虐殺のラプソディ。次回、【番外編:密室の聖母と、胎内回帰のチェックメイト】。国家の心臓部が燃え盛る裏で、東京の全空に自身の変態おむつ動画を大開帳され、社会的生命を完全に灰滅させられたゴローの浮気相手、あの若き美人事務員。全方位から軽蔑の刃を向けられ、アパートの暗闇で嘔吐する彼女のスマホが、あの骨を震わせる怪異の振動を始める。精神のストッパーがぶっ壊れた女が、クローゼットから予備のおむつを引きずり出した時、脳圧が限界突破する最悪の胎内回帰が始まる――!狂気と愉悦の次話を、全裸でお待ちください!




