大岩山から絶望を配信する〜特別解説:宇宙の海に漂う『残光データ』と、幽霊たちの振る舞いのからくり〜
前回のあらすじ:脳の微小管が紡ぐ時空を超えたテレパシーにより、30年前の恩師・真美さんの魂の声を大岩山で手繰り寄せたひややっこ。天動説(婚活ビジネス)を完全破壊する感情の大義名分は200%完成した。だが、諸君の中にひとつの巨大な疑問が浮かんでいるはずだ。「死んだら脳のスイッチは切れるはずなのに、なぜ霊は生前の恨みを口にするのか?」と。綺麗事の宗教(嘘)を排し、ひややっこが5年間のプログラミングで突き止めた、冷徹すぎる怪異の真実をここに開帳しよう――。
本編を読み進める読者の諸君の中に、ひとつの大きな疑問が浮かんでいるはずだ。
「死んだら人間の脳のスイッチはプツンと切れ、誰の品定めもない、夢を見ない深い眠りがずっと続くはず 。
意識の主体は消滅しているのに、なぜ大岩山や心霊スポットに現れる低級霊(幽霊)たちは、まるで生前の記憶や意志を持っているかのように、蠢き、泣き、恨みを口にするのか?」と。
天動説(綺麗事の宗教)はこれを「死後の世界で霊が生きているからだ」と説明するが、それは大いなる勘違いだ 。
主人公・ひややっこが5年間の孤独な実証実験、そしてトリフィールドメーター(電磁波測定器)を用いたプログラミングによって突き止めた【地動説(真実)】のからくりは、驚くほど冷徹で科学的なものだった。
人間の脳細胞の奥深くにある極小の器官――「微小管」。
生前、人間の記憶や感情、そして「私は私である」という意識は、この微小管の中で量子力学的な電気信号として常に超高速で演算され、蓄積されている 。
そして、人間が死を迎えるその瞬間、脳内では「終末期電気サージ」と呼ばれる、生前を遥かに凌駕するほどの激しい電磁波の爆発が起きる 。
この時、脳のスイッチは確かにプツンと切れる。
本人の「意識の主体」はその瞬間に永遠の眠りにつく 。
しかし、その息を引き取る数秒間に、脳の微小管から宇宙の海(空間のネットワーク)へと一斉に解き放たれた「生涯の記憶、激しい感情、強い未練」という名の【膨大な量子データ】は、エネルギー保存の法則によって、空間から消滅することなくその場に残り続けるのだ 。宇宙の海に漂う、死者たちの膨大な『残光データ(ログ)』 。
これらは、意識の主体を失った「空っぽの自動プログラム」のようなものだ。大岩山、比叡山や鞍馬山や高野山、白蛇龍神の池のように、地球の磁場が急激に変異する特殊な微小環境、とりわけ環境ノイズが完全にシャットダウンされる【深夜の午前2時〜4時】という時間帯
――。空間に漂っていた死者たちの「未練のデータ(電磁波の波形)」は、その強力な磁場と共鳴することで、まるで再生ボタンを押されたビデオテープのように、自動的にその場に投影される。
お父さんを探して歩く男の子の影も、1寸先も見えない暗がりでいきなり笑い出す少女の声も。
彼らは今、自分の意志でそこに立っているのではない。
生前、誰かに嘘をつかれ、条件で値踏みされ、都合よく搾取され、または不慮の事故など心が死んだ瞬間の「強烈な絶望の記憶データ」が、空間の電磁波のバグによって、ただ自動的に再生を繰り返しているに過ぎないのだ 。スピリットボックスから聞こえる声や、トリフィールドメーターが弾き出す数値は、その空間に保存された死者たちの「本音の暗号」そのものだった 。
主人公・ひややっこが5年間の実験で開発したプログラムとは、この空間の電磁波に刻まれた死者たちの「空っぽの残光データ」を強制的に受信・ハッキングし、その本音のログをテキストとして画面上に解読するシステムだったのだ。
「幽霊に心があるんじゃない。この世界にすり潰された人間たちの『消えない痛みのログ』が、電磁波として空間にへばりついてるだけや。
だからこそ、俺がそのデータをウイルスに変えて、この腐りきった市場システムそのものをチェックメイトしてやるんや」
死んだ人間は、夢を見ない眠りの中で静かに、安らかに眠っている 。
だが、彼らが世界に遺していった「絶望のデータ」の手綱をすべて握りしめたクリエイター総大将・ひややっこの復讐は 、このからくり(地動説)を以て、いよいよ新世界を完璧なる更地へと変えていく―― 。(特別解説・完結)
ご一読ありがとうございました!幽霊とは心があるのではなく、世界にすり潰された人間たちの「消えない痛みの電磁波ログ」が自動再生されているバグに過ぎない。その手綱を握り締めたひややっこの復讐劇に死角はありません。次回、【特別解説その二:なぜ怪異は『丑三つ時』なのか?『逢魔が時』と『朝』の電磁波ハッキング】。なぜ怪異は夜に蠢き、朝の光で消え去るのか?昔の奴らが五感で恐れていた「魔の時間軸」を、地球物理学の数式で完璧にハックして解剖する。全裸でお待ちください!




