第16話:異界のハッキングログ 〜電磁波翻訳(プログラム)と、霊たちの本音リーディング〜2
前回のあらすじ:真美さんを奪った理不尽な神様の死刑宣告。その死後、オカルトを科学的に実証すべく新月の夜の大岩山へと足を踏み入れたひややっこ。恐怖に逃げ出す凡夫を尻目に、47年の孤独の質量を前へと爆発させ、青白い人魂の残光を網膜に焼き付けた。だが、一度の目撃で満足するほど俺のリアリズムは甘くない。なけなしの金を叩いてデジタル怪異ガジェットを完全武装した俺の、泥臭い5年間の追跡劇がここからさらに加速する――。
俺はトリフィールドメーターが弾き出す、その怪異たちが出現する瞬間の「強力な電磁波の電圧変動の数値」を、自作のプログラムコードへと片っ端から打ち込み、徹底的にプログラムデータ化していった 。
霊たちが笑う時、泣く時、怒る時、空間の電磁波はどのような周期で波形を描くのか。
5年間、何百回もの映像と音声をアーカイブし、その電磁波の数値をロジカルに解析・プログラミングし続けた結果、俺はついに、人類史上誰も到達できなかった【異界のハッキング言語化(翻訳システム)】を完成させた。
モニターの画面に、専用のプログラムを起動する。
トリフィールドメーターが拾った低級霊たちの電磁波の波形が、デジタルコードに変換され、画面上で次々と「日本語のテキスト(文字)」として言語化されていく――。
『お腹すいたな』
『あいつ、俺を騙して利用しやがった』
『誰も私を見てくれない。寂しい、寂しい』
「読める……! 霊たちの喋っている言葉、心の裏にある本当の本音が、画面上で完璧に『文字』としてリーディング(解読)できるぞ……!」
低級霊とは、世間の綺麗事や新興宗教が言うようなおめでたい存在ではない 。
生前、他人に嘘をつかれ、スペックで値踏みされ、都合よく搾取されて行き場を失った人間たちの「剥き出しの怨念と本音のログ」だったのだ 。




