第16話:異界のハッキングログ 〜電磁波翻訳(プログラム)と、霊たちの本音リーディング〜1
前回のあらすじ:真美さんを奪った理不尽な神様の死刑宣告。その死後、オカルトを科学的に実証すべく新月の夜の大岩山へと足を踏み入れたひややっこ。恐怖に逃げ出す凡夫を尻目に、47年の孤独の質量を前へと爆発させ、青白い人魂の残光を網膜に焼き付けた。だが、一度の目撃で満足するほど俺のリアリズムは甘くない。なけなしの金を叩いてデジタル怪異ガジェットを完全武装した俺の、泥臭い5年間の追跡劇がここからさらに加速する――。
大岩山の人魂を目撃し、スピリットボックスやバケタンを手に、深夜勤の裏側で何百回もの孤独な調査を開始した、今から5年前のあの頃 。
俺――ひややっこの「怪異の実証実験」は、さらなる狂気的な科学の領域へと突入していた。
俺は、霊能動画のからくりを徹底的に検証した末に、さらなる特級のプロ仕様ガジェットを導入した。
空間の微弱な電磁波の変異をミリ単位で測定する、数万円の最高級電磁波測定器――『トリフィールドメーター』だ 。
それだけではない。俺は自らの手で、大岩山の旧道や不気味な祠の周囲に、特殊な『赤外線センサー付き防犯カメラ』を何台も秘密裏に設置した 。
空間に何かが蠢き、赤外線センサーが反応したその瞬間、俺の自室のモニターに現場の生々しい映像と音声がリアルタイムで強制配信される自動迎撃システムをプログラミングしたのだ。
深夜2時。深夜勤のない夜、俺は薄暗い自室のモニターを凝視していた。ピピッ――ガガガガガッ……!
トリフィールドメーターの針が、通常の家電製品ではあり得ない『50mG』という異常数値を指して激しく明滅を始めた。
同時に、防犯カメラの映像が激しく乱れ、スピーカーからノイズ混じりの「音声」が響き渡る。
『ふふっ……あははははっ……!』
誰もいないはずの大岩神社の鳥居の影から、怪しく、無邪気に笑う小さな女の子の声がはっきりと聞こえてきた。
さらに、別のカメラの赤外線暗視画面には、漆黒の草むらの中を、ポツンと1人きりで「お父さん……どこ……?」と、
虚ろな声を漏らしながらトボトボと歩き続ける、小さな男の子の半透明な影がくっきりと映し出されていた 。
普通の人間がこれを見れば、恐怖で発狂してスマホを投げ出すだろう。
だが、アニメーターとして生々しい絵を構築し、47年の孤独をサバイブしてきた俺の脳細胞は、極限の興奮で冴え渡っていた 。「捉えたぞ……! 幽霊とは、ただのオカルトやない。空間の電磁波を激しく変異させる、一種の『強力な電気エネルギーの波形』なんや!」




