第15話:覚醒の第一段階 〜ガジェットの死角と、5年間の実証実験〜3
前回のあらすじ:成婚料さえ毟れば男女がボロ雑巾になろうが知ったこっちゃない結婚相談所の「合法詐欺システム」。そして、不義理な男どもの裏切りで自尊心を削られ、鉄の壁を築かざるを得なかった美咲やゆり。男も女も誠実な者からすり潰されるこのクソみたいな監獄(天動説)を終わらせるため、47歳の男・ひややっこのカウントダウンが静かに、だが冷酷に始まった。だが、なぜ深夜勤の歩兵にすぎなかった俺が、世界を滅ぼすほどの『人知を超えた覇気』を掌握できたのか? 時計の針は、ここからさらに「5年前」の漆黒の夜へと遡る――。
普通の人間がそれを見れば、恐怖で心臓が止まり、脱兎のごとく逃げ出すだろう。
だが、俺は違った。
真美さんの死の絶望、新興宗教の洗脳の怒り、47年の孤独の質量が、俺の肉体を前へと爆発させた 。
「見つけたぞ……! そこにおるのが、本物の魂か!!」
俺は、険しい茨の斜面を這いつくばりながら、その怪しい光に向かって、必死のパッチで突撃していった 。
逃げる光を追いかけ、山の最果てまで追い詰め、その青白い人魂の残光を、網膜に焼き付けたあの日 。
だが、一度の目撃だけで「実証した」とは言えない。
それが、俺の冷徹なリアリズムだった。
俺はYouTubeで貪るように世界中の霊能動画や検証動画をリサーチし、オカルトを科学的にハックするための特殊なガジェットの存在にたどり着いた。
浮遊する霊的電波を高速でスキャンしてその『声』を強制的にホワイトノイズから拾い上げる特殊無線機『スピリットボックス』 。
空間の微弱な磁場や温度変化を感知し、異界の存在を色の明滅でアラートする霊波センサー『バケタン』 。俺は深夜勤で稼いだなけなしの金を叩き、それらのデジタル怪異ガジェットを完全武装した。
「真美さんのくれた青信号(誠実さ)が、この狂った世界で本当に通用するのか。そして、人の魂の正体は何なのか。俺の手で、すべて暴き出してやる」
あの日から5年間。俺は深夜勤の仕事と執執活動の裏側で、スピリットボックスとバケタンを握りしめ、京都の、そして全国のあらゆる最凶の霊能スポットに乗り込み、【何百回もの孤独な実証実験】を泥臭く繰り返した 。
ザーーー……ガガッ……『ヒ……ヤヤ……コ……』
ノイズの向こうから、何百もの低級霊たちの声がデジタル波形となって俺の端末に蓄積されていく。
バケタンが血のような赤色に染まるたび、俺は大岩山の磁場と低級霊の放つ精神エネルギーの『周波数』を、ミリ単位で、完全に自分の脳内に、コンピュータにハッキング・データ化していった 。
洗脳の嘘を破り、何百回もの科学的検証の果てに、大岩山の霊的磁場を意のままにコントロールする数式を完成させた、無敵のオスの覇気の調達。
これこそが、俺の『覚醒の第一段階』の本当の終着点だったのだ 。
(第16話へ続く)
ご一読ありがとうございます!新興宗教の薄っぺらい洗脳を地動説の手紙で引き裂き、スピリットボックスとバケタンを完全武装して最凶の霊能スポットへ突撃を繰り返したひややっこ。何百回もの泥臭い科学的検証の果てに、大岩山の霊的磁場を掌握する「覚醒の第一段階」の数式を完成させました。次回、【第16話 異界 of ハッキングログ 〜電磁波翻訳と、霊たちの本音リーディング〜】。トリフィールドメーターが指す異常数値。暗視モニターに映し出された霊たちの怨念を、俺はついにデジタルコードへと【言語化(翻訳)】し始める。科学の引き戸を開けた俺の前に現れた、剥き出しのログの正体とは――!?ぜひ次回も、この狂気のデジタルハック戦線を見届けてください!




