番外編39:市場価値ゼロの夜に響く、怪物たちの噛み合わないシステム論~放課後公園の暗黒で起動する、ウジ虫まみれの絶対聖母教育論と、精神的去勢を呑み込む快楽殺人鬼の擬似おままごとプロトコル~2
【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の寺社、教会、特定の宗教団体、結婚相談所、およびマッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の宗教婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての創作・風刺であり、特定の信仰や職業を誹謗中傷する意図は一切ございません。
(何よ、この男……。この、不潔で貧弱なスペックの『オス』は――)
インセクトフィリアの極上の解放感、誰の目線も気にしなくていい最高の母娘の楽園に、土足で踏み込んできた生身の男。その瞳に宿る「値踏みするような査定の目線」を感じ取った瞬間、彩香の脳の最深部で、平和な時代のすべての不条理ログ(抑圧)が逆流を始める。
自分を年齢や市場価値で査定し、女としての記号を剥ぎ取ろうとする男のファクト。それは彼女がこの世界で最も排斥すべき「汚物」そのものであった。
「……おい、ババア」
数秒間の噛み合わない静寂の後、幽二が呆れた声を冷たく放った。幼児の死体(物質)を指差し、鼻で笑う。
「それ、何が面白いの? ウジ虫なんか湧かせちゃってさ。そんなに汚くなったら、完全にクオリティが死んでるじゃん。死体ってのはね、もっとこう……生きてる時の可憐なまま、クリーンな状態で固定されてないと芸術としての意味が無いんだよ。そんなドロドロのゴミを抱いて叫ぶなんて、センスがなさすぎて笑えないんだけど」
幽二にとっては、自身の「クリーンな死体美学」に基づいた純粋な美学的苦情だった。
だが、その「男の基準による格付け(査定)」の言葉が、彩香の脳圧限界を激しく直撃する。
「センス……? 査定……? あなた、今、この私を、私たちのこの神聖な解放を……その薄汚い脳内で『値踏み』したの?」
彩香は手首のウジ虫を這わせたまま、ヒールを軋ませてゆっくりと立ち上がった。
その瞳の奥には、ウイルスのハッキングすら無効化している虚無の狂気が、どす黒く明滅している。
お互いに相手のやっていることが1ミリも理解できない。
性的にも標的としても1ミリも興味がない。
しかし、自分だけの完璧なエデン(天動説)を汚されたことへの、絶対的な拒絶。
「ちょうどいいわ、あなた――」
彩香が冷徹な笑み(エミ)を口元に浮かべ、一歩を踏み出す。その背後の闇から、彼女がコントロールしている「知能指数の高い迷える羊たち(元機動隊員などの武装した男たち)」の自動小銃の金属音が、ガチャリと静かに蠢き始めていた。
「そこに立ちなさい。そして、私のおままごとの『お父さん(役割)』を演じるのよ。私たちが外で言えなかった言葉を、死ぬまで一緒に叫び続けなさい」




