番外編38:脳圧限界の絶対聖母が曝す、精神的インセクトフィリアの覚醒~美少年AIの虚像を剥ぎ取られた四十五歳絶対聖母が、ウジ虫の這う幼女のファクト(物質)とデュエット~3
【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の寺社、教会、特定の宗教団体、結婚相談所、およびマッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の宗教婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての創作・風刺であり、特定の信仰や職業を誹謗中傷する意図は一切ございません。
これまで男たちの視線を完璧にコントロールし、自身の肉体や生理データを支配下に置いてきた絶対聖母。
その「完璧なコントロール(拒絶)」の檻が内側から爆破され、人間以下の原始的な存在である「虫」に自らの肉体を這い回られ、侵食されていくことに、かつてない強烈な快感を見出していた。
蠢く虫の冷たい感触を通して、彩香は自らの皮膚から、その小さな女の子の純粋無垢なグラフィティ(残光)を直接ハックしていた。
そして、その皮膚を這い上がる虫の蠢きと完全に同期するように、彩香は頭の中の空想を、ついに路地裏の現実空間へ音声データとしてデリバリーした。
4歳児の物質(人形)を抱え、まるでブランコを推し進めるように前後に身体を激しく揺らしながら、彩香自身が狂った聖母の笑みで絶叫する。
「わーい!ま〇こ!ま〇こ!」
かつて文明社会のあらゆる母親たちが、世間体のロスカットを恐れて絶対に口にできなかった、引き裂かれるような禁忌の言葉。
それを、法律も世間も死に絶えた「市場価値ゼロの荒野」で、ウジ虫という媒介(共犯者)を通じて、死んだ娘の存在を感じ取りながら、ゾクゾク、ゾクゾクと全身の神経を震わせて叫び、笑い合う。
自分は一切の汚れもなく、冷徹な知性を保ち続ける女王などではない。
自分もまた、ただの有機物の塊(物質)に過ぎず、この子を侵食する虫たちによって、世界で一番嘘をつかない『クリーンな物質(死体)』へと一緒に還っていっているのだという、最悪の全能感の完成。
ウジ虫の這う腕を自らの顔へと近づけ、涙と恍惚の汗で顔をグシャグシャに濡らしながら、彩香は激しい脳内麻薬の余韻に身体を震わせていた。
読者が目撃すれば精神の脳圧限界を突破してひっくり返るような、狂気と生理的ファクトのデュエットが、暗い路地裏で克明に上演されていた。
「フフ……アハハ……!誰も私たちを値踏みしない。完璧な楽園は、ここにあったのよ――」
恍惚に満ちた声が路地裏のコンクリートに響き渡り、泥ドロとしたグラデーションの覚醒が極点に達した、まさにその時であった。
ガサリ、と瓦礫が鳴る。
静まり返った公園の闇から、唐突に一人の男がばったりと姿を現した。
その手には、鈍い銀光を放つカミソリが握られている。新世界の暗黒に適応し、お淑やかで可憐な「若い女の子」を生きたまま綺麗な人形(死体)へと変換することに人生最高の全能感を見出す連続殺人鬼――狗飼幽二であった。
幽二は、次のクリーンな生体データを求めて夜の闇を徘徊していただけだった。
カミソリを手に物陰から覗いた先、彼の網膜プロセッサが捉えたのは、自身の美学(クリーンな人形愛)のレーダーには1ミリも引っかからない、45歳の九条彩香という有機物だった。
しかもそのババアが、ドロドロに腐敗した幼女の死体とウジ虫を相手に、顔をグシャグシャに濡らしながら、意味不明な下ネタを絶叫している。
「……チッ。一体このババアは、夜中にこんなところで何をやってるんだ……?」
幽二の心には、賞賛も興奮も一切なかった。あるのは、ただただ呆れ果てた、不気味なものを見るような冷ややかな不思議そうな視線だけだった。
脳内最深部のバグを暴かれ、虫に侵食される快感に身悶えする絶対聖母・九条彩香。
そして、その狂気の上演空間に、呆れと冷徹さを孕んだオスの視線を突き刺す快楽殺人鬼・狗飼幽二。
漆黒の荒野と化した東京の片隅で、完全にすれ違った二人の怪物のシステム論が、最悪の形で交錯した瞬間だった。
番外編39へ続く




