番外編38:脳圧限界の絶対聖母が曝す、精神的インセクトフィリアの覚醒~美少年AIの虚像を剥ぎ取られた四十五歳絶対聖母が、ウジ虫の這う幼女のファクト(物質)とデュエット~1
【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の寺社、教会、特定の宗教団体、結婚相談所、およびマッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の宗教婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての創作・風刺であり、特定の信仰や職業を誹謗中傷する意図は一切ございません。
チカッ……チカチカチカッ……!!!
かつて一千万人の虚栄心と「市場価値」の記号が泥沼の騙し合いを演じていた東洋の巨大都市・東京は、大岩山の呪いという名のデジタルウイルスによって、すべての建前を焼き切られ、文字通りの「市場価値ゼロの荒野」へと完全退化していた。ライフラインが初日で灰滅し、エアコンも冷蔵庫も死に絶えたコンクリートの牢獄。
それはアスファルトの熱に焼かれる巨大な屠殺場そのものであった。
セミナーを終えた夕暮れ。兵隊たちが物資を略奪している間、恋愛専門心理カウンセラー・九条彩香(45歳)は、公園の近くの路地裏を、【感情の完全隠蔽】を維持したままブラブラと歩いていた。
コンクリートの物陰。そこで彼女の網膜プロセッサがロックオンしたのは、一つの「有機物の塊」だった。
それは、まだ4歳ぐらいの、小さな女の子の死体であった。
衣服はボロボロに引き裂かれ、すでに数日が経過しているのか、生体特有のリアルな分解システム(腐敗)が始まっていた。緑色に変色し、ガスで膨張した幼い皮膚の裂け目や、生気を失った粘膜の奥から、無数のハエの幼虫(ウジ虫)や甲虫といった、どす黒く蠢く「虫たち」がカサカサと音を立てて這い回っている。
かつて文明社会(システム内)にいた頃の九条彩香なら、一瞬にして理性をシャットダウンさせ、生理的嫌悪のパニックを起こして精神をフリーズさせていたはずの、悍ましい地獄の光景。
「あ……、……っ」
しかし、その死体と蠢く虫たちを凝視した瞬間、彩香の脳内プロセッサの最深部、誰にも、自分自身にすら暴かれていなかった禁忌の領域のパルスが、突如として激しく明滅を始めた。
胸の奥から突き上げてくる、えも言われぬ奇妙な感覚。恐怖でも嫌悪でもない。脳細胞の奥底がじっとりと濡れていくような、背徳的な全能感と悦びの波。
ウジと虫たちに侵食され、完全にコントロールを失った無垢な物質(死体)のファクトが、彼女の脊髄をゾクゾクッとした強烈な戦慄となって駆け抜けていく。
(何……これ……?私、いま、どうして――)
その異常な脳内麻薬の分泌と同時に、彩香のプロセッサは、平和な文明社会の記憶――かつてある日の公園で目撃した、あまりにも不条理な光景のログをフラッシュバックさせていた。
それは、突き抜けるような青空の下、ある親子のバカ騒ぎだった。
ブランコに乗った小学生の男の子の背中を、父親が満面の笑みで力任せに押している。加速する重力の中で、父親は大声を張り上げて叫んでいた。
「わーい!ちんこ!うんこ!」
押される男の子も、顔をくしゃくしゃにして「ちんこ!ちんこ!」と叫び返し、ゲラゲラと笑い転げている。周囲の親たちも、それを「元気で微笑ましい親子の光景」として無害にスルーしていた。男の子という記号には、その原始的なユーモアと抑圧からの解放が、社会的に許されていたのだ。




