番外編35:完璧なエデンを汚す生存のノイズと、死の痙攣(ファクト)がもたらした至高のエクスタシー、そして希望を失った老婆たちへのロスカット〜3
【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の寺社、教会、特定の宗教団体、結婚相談所、およびマッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の宗教婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての創作・風刺であり、特定の信仰や職業を誹謗中傷する意図は一切ございません。
狗飼は老婆たちを冷酷に見下ろし、恍惚の笑み(エミ)を浮かべながら語りかけた。
「お腹が空いてるんでしょ? 食べなよ。せっかくあの子が作ってくれたんだしさあ……」
「いや、来ないで……! あんたがやったのね!?」
老婆たちが這いつくばって逃げようとするが、狗飼の動きは容赦がなかった。抵抗する力のない老婆たちの髪を掴んで無理やり仰向けにさせると、毒の入った煮物を、彼女たちの口内へと容責なく直接突っ込み、無理やり喉の奥へと流し込んでいく。
「がふっ……う、あぐ、ぁぁぁッ!!」
次々と血を吐き、白目を剥いて物質(死体)へとロスカットされていく老婆たち。
そして、ついに最後の1人となった。
「生きたい……生きたい、お願い、助けて、生きたいのぉぉぉ……ッ!!」
最後の一人となった老婆は、プライドも綺麗事もすべて焼き尽くされ、剥き出しの生存本能だけで、狗飼の足元にしがみつき、泥水と血反吐の中で必死に懇願した。
狗飼はその老婆の震える手を、世界の狂気に自らも怯えるような、ひどく悲しそうで、それでいて底知れない恐怖を孕んだ表情で見つめ返した。
「無理だよ。この世界では、あなたはもう生きていけないんだ。この世は強くないと生きていけないんだよ……」
狗飼はカミソリと、毒の入った煮物の椀を、冷酷に老婆の目の前へと突きつけた。
「だめだよ。いい年をしたおばあちゃんが、そんなわがままを言っちゃあ。……聖女にすがってないと生きられなかったあなたが、どうやってこの荒野を1人で生きるの? 先に逝ったあの少女に、『示しがつかないよ』」
極限の嫌味のログをデリバリーされた老婆は、絶望に顔を歪めた。狗飼は冷めきった手つきで、老婆の顎を掴み、その口内へ無理やり毒の煮物を突っ込もうと手を伸ばす――。
「いや……ひっ、……あ、あ、……」
しかし、煮物がその唇に触れるより早く。
極限の恐怖パニックと、少女の死、そしてコミュニティの完全崩壊という絶望のファクトの暴力に耐えきれず、老婆の心臓のプロセッサは完全に停止した。
老婆は股間から温かい排泄物をドロドロと地面に垂れ流しながら、ショック死を遂げ、口からは大量の泡を吹き出しながらそのまま泥の中に突っ伏した。
「――あ、なんだ。死んじゃったんだ」
狗飼は拍子抜けしたように、突っ伏した老婆の死体を見下ろした。
そして、フッと、またあの歪んだ、世界を完全にハックしたような全能感の笑みを浮かべる。
「そっかそっか……。でも、みんなよかったね。これでみんな、あっちの世界でまた、あの子に会えるね」
周囲を見渡せば、さっきまで醜く掴み合っていた老婆たちが、今は全員、嘘をつかないクリーンな物質(死体)となって静かに並んでいる。
死体愛好家にとっての完璧なエデン。
狗飼の脳内プロセッサは再び狂気的な電気信号を弾き出し、その場で衣服をはだけると、静まり返った老婆たちの死体を眺めながら、人生最高の恍惚感とともに再び精液を激しく射精した。
息を荒くし、涙を流しながらその絶頂の余韻に浸った狗飼は、やがて衣服を整え、カミソリをポケットに収めた。
「さて……次の獲物を探さなきゃ」
新世界の暗黒に適応し、生きた人間を標的にする本物のシリアルキラーへと完全進化した怪物は、死体の山を置き去りにしたまま、夕闇の消えた完全な漆黒の街へと、ふらふらと去っていくのだった。
番外編36へ続く




