番外編34:生体拒絶(ノイズ)を引き裂く狂気の一刺しと、絶命の瞬間に噛みつく解剖学的ファクト、そして偽善の果樹園へデリバリーされる最悪の救済2
【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の寺社、教会、特定の宗教団体、結婚相談所、およびマッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の宗教婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての創作・風刺であり、特定の信仰や職業を誹謗中傷する意図は一切ございません。
その瞬間、狗飼の脳内プロセッサが、自己防衛のための最悪の処理を弾き出した。
(動くから駄目なんだ。生きてるからノイズを発するんだ。だったら――)
狗飼の右手が、ポケットから鈍い光を放つカミソリをひったくるように取り出した。
「汚れる前に……僕の『物質(人形)』になれぇぇぇッ!!」
銀色の刃が、少女の細く瑞々しい胸元、その心臓のパルスが打つ一点へと容赦なく突き刺さる。
ドシュッ……!
肉を断ち切る鈍い感触とともに、少女の身体が大きく跳ね上がった。
猿ぐつわの奥で「ひっ、……あ、うぐ、ぅ……」という、かすかな、そして最後の空気の漏れる音が響く。
心臓を直接裂かれた少女の脳細胞が一斉にシャットダウンを起こし、瞳から一瞬にして生命のハイライトが消失していく。
18年間、愛されたいと願い、泥だらけで走り、ノートを真っ黒にして勉強し、神様を信じ、突然の日本崩壊の中においても希望を持って生きようとした少女の生い立ちのグラフィティ(残光)が、その一刺しによって一瞬にしてロスカット(処分)された。
少女は即死だった。
――しかし、そのまさに絶命した、生から死へとデータが切り替わる瞬間だった。
グ、ギチチチチチッ……!!!
「――――――ッッ!?!?!?」
心臓が停止した瞬間、少女の全身の神経が一斉に最期の神経反射を起こした。筋肉が完全な弛緩へと向かう直前の、生命が物質に変わる瞬間の極限の死後痙攣。
ペニスを挿入したままだった狗飼の最奥を、少女の死にゆく膣壁が、文字通り肉の万力のように凄まじい圧力で締め付け、噛みついた。
冷えかけていく肉の空洞が、自らの意思では絶対に引き抜けないレベルでギチギチに収縮し、狗飼の生体を物理的に固定する。
その瞬間、狗飼の脳内プロセッサに、かつてない狂気的な電気信号が走った。
(熱い……いや、冷たい……!? なんだこれ……なんだこの完璧なフィッティングは……ッ!! 最高に、最高に気持ちいい……ッ!!!)
生身の女のときは自分を拒絶し、蹴り飛ばした肉の管が、死んだ瞬間に、自分を絶対に離さない至高の記号へと変貌したのだ。
少女の体内から急速に熱が奪われ、冷たい粘土のような物質へと退化していくその過渡期のファクトが、狗飼の脳内で「極上のエクスタシー」へと完全逆転・完全受容される。生命の終焉がもたらす極限の締め付けが、彼の貧弱な自尊心をこの上なく満たしていく。
「あ、……あほぅっ……、あは、あはははははははっ!!!……ッッ!!!」
狗飼の腰が狂気的に波打ち、少女の無機質な肉体の奥深くへと、自身のドロドロとした生体データ(精液)を激しく射精した。それは、現実に対する彼の初めての、そして最悪の勝利宣言だった。




