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大岩山から絶望を配信する〜男は耐えろと抜かす世界を、低級霊のウイルスで完全チェックメイトしてやった〜  作者: ひややっこ万次郎
第8章:『狂気の上演(おままごと)と、ヤコブソン器官の地動説~二重の檻を放尿パルスで爆破した絶対聖母と、意思疎通完全灰滅に自滅する泥人形どもの黙示録~』
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おまけ第5話:『百合(ゆり)の散る夜 〜正反対の身体と、受け止め合う魂のコード〜』1

【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の寺社、教会、特定の宗教団体、結婚相談所、およびマッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の宗教婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての創作・風刺であり、特定の信仰や職業を誹謗中傷する意図は一切ございません。

深夜2時50分。

大岩山の山頂を包み込んでいた漆黒の闇の向こう、東の稜線から、ほんの僅かに群青色の朝焼けの兆しが差し込み始めていた。

百合は、ひややっこから伝授された「男性側の試行回数ステータス」と「水槽のグッピーの同調実験」という冷徹な真理によって、現代の恋愛市場がいかに男たちの脳をバグらせているかを完全にハックしていた。

「キーワードは……『初心者歓迎』『技術研修』『セックス』『性の悩み相談』……」百合は震える手で、スマホの画面にその言葉を打ち込んだ。

「ひややっこさん。私、自分の身体が男の人の記号にハックされて冷え切っていた理由が、今やっと分かりました。

……正直、今でもすごく怖いです。

46歳になってそんな場所の門を叩くなんて、恥ずかしいし、震えが止まりません。

でも、あいつらのクソシステムにお人形として消費されて終わるくらいなら……私、少し怖いけど、勇気を出してやってみようと思います。

自分の生身の心と身体を、もう一度、全肯定するために」

涙の跡が残る顔を上げて、真っ直ぐにひややっこを見つめる百合の瞳には、かつて肉体労働を30年間実直に続けてきた女性ならではの、力強く気高い「生身の覚悟」が宿っていた。

ひややっこは、腕を組んだまま、そんな百合の姿をじっと見つめ、静かに、しかし地響きがするほど深い声で呟いた。

「……おう。それでええ、百合。怖くて当然や。お前が今、その震える足で一歩を踏み出しようとしとる生身の『怖さ』な……。ええか、よう聞け。それは、男も全く同じなんやぞ」

「男の人も……同じ?」

「そうや。お前ら女性にそういう『学びと救済の場所』があるようにな、実は男の側にだって、初心者向けに性の教育を施してくれる場所がちゃんと存在しとるんやぞ」

「男の人にも……そんな場所が?」

百合が目を見開く。

ひややっこは幾何学模様の鳥居に背を預けたまま、淡々と、しかし語りかけるように言葉を紡いだ。

「あいつら男もな、AVの歪な情報や、何人とセックスできたかを誇るクソナンパ塾のマニュアルに脳を焼かれて、本当の愛し方や向き合い方を誰一人教わってこんかった、可哀想な生き物なんや。

だから、男向けの性の教育に特化した店で、女性の身体の本当の仕組みや、正しい愛撫の当て方、心を通わせるアプローチを必死に学んどる奴らがおる。

自分のコンプレックスを全肯定してもらいながら、震える足で必死に打席に立とうとしとる誠実な男たちが、確かにおるんや」

ひややっこは、ポケットからゆっくりと両手を出すと、昇り始めた眩い朝焼けの光を真っ直ぐに見つめた。

「男と女はな、ちんちんの有無という構造から始まって、骨盤の形、生理の有無、それに伴う心の変化、何から何までそれこそ、身体の形も、快感の受け止め方も、本当に見事なまでに正反対や。

どれだけ分かろうとしても完全には分からんし、どれだけ経験を積んだって、一生、泥臭い学びの連続や」

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