おまけ第4話:『百合(ゆり)の散る夜 〜自己満足の承認欲求と、闇を照らす性の教育〜』1
【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の寺社、教会、特定の宗教団体、結婚相談所、およびマッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の宗教婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての創作・風刺であり、特定の信仰や職業を誹謗中傷する意図は一切ございません。
深夜2時40分。
大岩山の山頂に吹き付ける風は、百合の頬の涙を容赦なく乾かしていく。
彼女が口にした「男に抱かれて心から愛され、満たされたことが一度もない。私の身体がおかしいの?」という最深部の絶望に、ひややっこは綺麗事なしの冷徹な真理を突きつけた。
「お前の身体はな、1ミリもおかしくない。むしろ、極めて正常に機能しとる証拠や。お前が満たされんかったんは、お前が出会ってきた男たちの脳みそが、あいつらの作った『挿入(クリア条件)至上主義』のバグにハックされとったからや。
男っちゅう浅はかな生き物はな、セックスを『自分が中に入れて、射精して、ゴールテープを切るゲーム』やと思っとる。
あいつらにとって、お前を丁寧に愛撫したり、お前の生身の呼吸に合わせたりする時間はな、ゲームのクリアを遅らせるだけの『無駄なコスト』なんや。
自分の下らんエゴを押し付けとるだけの男に抱かれて、生身のお前が満たされるわけがないやろ」
ひややっこの怒号に近い覇気が、百合の胸の防衛線に突き刺さる。百合は唇を震わせながら、さらに誰にも言えなかった生々しい過去を絞り出した。
「ひややっこさん……! 実は、翌朝ブロックしてきた男たちとは別に、私の方から連絡を断ってフェードアウトした男もいたんです。
ベッドの中でずっと、しつこいくらいに『気持ちいい? 気持ちいい?』って聞いてくる男で……。
でも私、本当は痛くて痛くてたまらなかった。
その場を穏便に済ませるために、無理して『気持ちいいよ』って嘘をつくしかなくて……ホテルを出た瞬間、もう二度と会いたくないって、私から連絡を消したんです」
ひややっこは、腕を組んだまま、冷たい鼻笑いを漏らした。
「ハハッ、最高のハッキング(対抗策)やな、百合。お前、あいつを綺麗にロスカットしてやったんや。ええか、ネットの恋愛市場にはな、『セックスした後に女から連絡が来なくなった。なぜだ? 何がダメだったんだ?』って頭を抱えてバグっとる、哀れな男のゾンビが大量発生しとるんや。あいつらはな、お前が自分から消えた理由が一生分からんのやぞ」
「理由が、分からない……? あんなに私が痛がって、無理して合わせていたのにですか?」




