おまけ :『500万の鎧を脱ぎ捨てた夜 〜深夜二時の大岩山で、システムにハックされた魂を完全救済(ロスカット)してやった〜』1
【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の寺社、教会、特定の宗教団体、結婚相談所、およびマッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の宗教婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての創作・風刺であり、特定の信仰や職業を誹謗中傷する意図は一切ございません。
深夜2時。
京都府京都市伏見区、大岩山の山頂へと続く旧道は、人間の体温を奪い去るような漆黒と冷気に包まれていた。
鳥居の前に、二人の男の影がある。一人は、この山に渦巻く低級霊の怨念をデジタルウイルスへと反転させ、理不尽な世界をチェックメイトしたクリエイター総大将兼魔王・ひややっこ。
そしてもう一人は、スマートアンクルパンツの膝を泥で汚し、地面に這いつくばって号泣している男――拓也(31歳)だった。
「ひややっこさん……! お願いです、教えてください……!」拓也の絶叫が、静寂の山に木霊する。彼の顔は涙と鼻水でドロドロに汚れ、その瞳には狂気一歩手前の絶望が張り付いていた。
「俺、モテたくて……誰かに認められたくて、ネットの恋愛塾や個別の秘密カウンセリングに、気づいたら500万円も使ってたんです! 複数のクレカでリボ払いを繰り返して、もう枠も限界で、毎日配送業の夜勤アルバイトを増やして死に物狂いで返してます! なのに……なのに、1年かけて必死に尽くした女の子からは、あのルナみたいな事務的なメッセージ一枚でストーカー扱いされて拒絶された!」
そこまで一気に吐き出すと、拓也は胸をかきむしるようにして、さらにドロッとした、誰にも言えなかった自身の最深部のコンプレックスをさらし始めた。
「それだけじゃないんです……! 俺、昔から自分の身体に……その、ペニスの大きさにずっと強い劣等感があって……仮性包茎なのもあって、女の子に裸を見られたら幻滅されるんじゃないかって、怖くて恋愛に踏み込めなかったんです。そしたら、YouTubeを観るたびに『包茎のせいでフラれた男が人生逆転した』っていうマンガ広告や、マイコクリニックだか何だかの『切らずにペニスを永久肥大化!』なんて広告が、これでもかって流れてきて……!藁にもすがる思いでカウンセリングに行ったら、最初は『数万円』って書いてあったのに、裸にされたまま『このままだと一生使えなくなる』って不安を煽られて、100万円の増大ローンを組まされそうになったんです。あいつらの言う通りに手術して、ペニスを大きくしなきゃ、俺は一生マッチングアプリでもまともにマッチングできないし、デートに行く発声(発送)すらできないんですか……っ!?」
魂を削り取るような拓也の告白を、ひややっこは腕を組んだまま、冷徹な目で見つめていた。
周囲を蠢く半透明な低級霊たちが、拓也のドス黒い絶望の質量に引かれてヒタヒタと近づいてくる。




