番外編33:生存データ(水)の調達システムが招いた完璧なドミノ倒し 〜羞恥と経血に濡れたワンピースをロックオンする狂気のレーダー、そして窓なき密室で執行される歪んだ救済ロジック(ノアの方舟)〜3
【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の寺社、教会、特定の宗教団体、結婚相談所、およびマッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の宗教婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての創作・風刺であり、特定の信仰や職業を誹謗中傷する意図は一切ございません。
「……っ……」
微かな排泄の音が、静かな路地裏に響く。少女の股ぐらから放たれた液体が、冷えかけたコンクリートの地面へと直接放流され、白く淡い湯気を立てながら、徐々に、徐々に、路地の傾斜に沿って広がっていく。
かつての文明社会(システム内)においては、どれほど大金を積んでも、どれほど裏の管理権限を使っても、決して視覚化されることのなかった「聖女の排泄データ(リアルな体温)」。
それが今、むき出しの土とアスファルトを濡らしている。
物陰からその光景を網膜の奥深くまでハックされた狗飼幽二の脳内には、かつてないほどの脳内麻薬が異常分泌されていた。
(あぁ……見ろ。これがファクトだ。文明の天動説がひっくり返ったからこそ、僕は今、本物のエデンの生態データを特等席で横領している……!)
生身の女を「汚物」として嫌悪していたはずの彼のペニスが、その湯気立つ生命のパルスを前にして、かつてない全能感で激しく猛り狂う(ギンギンに横領する)。
だが、おしっこが終わった後、彼女は10代の年頃の女の子として、より過酷で凄惨な生体データに直面せざるを得なかった。
「生理の出血」である。物資が完全滅滅したこの地獄の東京で、ナプキンなどの文明の利器(記号)は一枚も残っていない。
彼女は震える手でバッグから、図書館の跡地から破り取ってきた「手で限界まで揉みほぐしてクシャクシャにした、かつての純文学小説のページ」を取り出した。
かつて人類の知性の結晶(記号)であった美しい文学が、今や少女の生々しい経血(生存のファクト)を吸い取るためだけの物質へと退化している皮肉。
少女は、いくら同性のボランティアやおばちゃんたちの前であっても決して見せられなかった、凄絶な羞恥心に顔を赤く染め、涙を浮かべながら、指先を自分の血で汚して痛々しくワンピースの奥へと即席の紙をあてがう。
狗飼の狂気は限界突破していた。
(愛おしい……。今すぐ物質(死体)にしてあげれば、もう毎月こんな血のファクト(苦痛)に穢されることも、醜い排泄に自尊心を焼き焦がされることもないんだ……)
「ひっ……!」
背後の闇から音もなく這い寄った影。少女が立ち上がり、衣服を整えようとしたその瞬間、細く瑞々しい首筋にひんやりとしたカミソリの刃が押し当てられた。
人間の醜悪な本音を煮詰めたような、底知れない狂気を宿した狗飼の濁った瞳と目が合った瞬間、少女の脳内プロセッサは極限の恐怖パルスによって強制フリーズを引き起こし、そのまま意識を失った。
「ああ……今だ。今この瞬間、君は新世界の汚物に塗れていない、最高にクリーンな状態の物質(人形)だ」
狗飼は、泥に塗れていない完璧な「クリーンな記号」をその腕にしっかりと抱きとめ、狂った街のさらに奥深くへと連れ去った。




