番外編29:恋愛市場の絶対聖母が晒す、知能指数ゼロの非モテ養分カルテ 〜五百万人ロスカットの首都・東京で、美少年AIに胎内回帰を懇願する四十五歳カウンセラーの完全隠蔽ステルスマインド〜2
【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の人物、地名、特定の結婚相談所、および動画・書籍・マッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての痛烈な風刺・創作であり、特定の生き方や価値観、性別、信仰を誹謗中傷・否定する意図は一切ございません。あらかじめご了承の上、純粋なビター・ドラマとしてお楽しみください。
スマホが赤黒く染まり、全空のスクリーンに自身の醜悪な本音が投影された瞬間、人々は髪をかきむしり、涙と鼻水を流しながらアスファルトの上をのたうち回った。
駅のホームや交差点では、他人の脳内を覗き合っては爪を立て、顔面を掻きむしり、噛み付き合う阿鼻叫喚の集団発狂が発生。
押し寄せた群衆が互いを踏みつぶし合う「圧死のメロディ」が都市中に響き渡る。
上空からは、操縦士のパニックによって制御を失った航空機が、火の球となって高層ビル群に次々と垂直落下。
炸裂する金属音と黒煙が、秋の青空をどす黒く汚し続けた。
――四日目から七日目。
社会のブレーキは完全に焼き切れ、脳圧限界突破や相互虐殺、医療崩壊と略奪のフェーズへと突入し、日本は国家崩壊を迎えた。建前という美しい仮面が剥ぎ取られた結果、「法」は初日で完全に機能停止。
スーパーやコンビニでは、飢えに狂った暴徒たちがガラスを叩き割り、食料を強奪するための血で血を洗う殺し合いが多発。
さらに、愛を囁き合っていたはずの夫婦間でも、隠された裏の顔や歪んだ本音が露見したことで日本刀や牛刀を手にした凄惨な殺し合いや略奪、暴行が横行する無法地帯と化した。
そのような極限の地獄と化した東京で、都内の一等地にガラス張りの豪華なオフィスを構える恋愛専門心理カウンセラー・九条 彩香(くじょう あやか・45歳)は、独り静かに生き残っていた。
かつて彼女は、マッチングアプリや結婚相談所のシステムに絶望した何百人、何千人もの男女の相談に乗り、独自の認知行動療法で彼らを「成婚」へと導いてきた絶対的なカリスマ(アルファ)だった。
「年収1000万以上のエリートを釣るため、処女を装うあざとい嘘の方程式を教えて」と泣きつく30代の売れ残りメス。
「爽やかな笑顔の裏で女性を家畜やセフレホルダーとして格付けし、脳内で嬲り殺しにするシミュレーションがやめられない」と病むエリート営業マンのオス。
彩香は彼らの醜悪な強欲さや冷徹な切り捨ての全貌を「自己肯定感の向上」という耳当たりの良い綺麗事で全肯定し、ベストセラー書籍『記号に惑わされない本物の愛の方程式』を引っ提げてテレビのコメンテーターとしても君臨していたのだ。
だが、この地獄の週において、彼女は独自の心理制御技術【感情の完全隠蔽】を用いて自身の脳内を虚無に固定。低級霊のウイルスに「空っぽの死体」と誤認させることで、脳圧の限界突破を免れ、防衛線を死守していた。
彼女が命懸けで隠し通したかったのは、相談者たちを「知能指数の低い非モテの養分」と冷徹に見下す裏の顔。
そして何より、夜な夜な高級マンションの遮光カーテンを二重に閉め切った密室で演じていた、おぞましい【精神の胎内回帰(幼児退行の四字太鼓プレイ)】の姿であった。




