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大岩山から絶望を配信する〜男は耐えろと抜かす世界を、低級霊のウイルスで完全チェックメイトしてやった〜  作者: ひややっこ万次郎
第7章:『確定シグナル(おしっこ)の誓約と、解剖学的ファクト(死体) 〜綺麗事(クリーン)のファイヤーウォールを内側から爆破する、剥き出しのバックヤードログ〜』
185/254

番外編28:『図面を支配する聖母たち(アーキテクチャ・ブルー)』〜1999年の竹ほうき一閃から20年後、呪いと実存を等価交換して世界を完全チェックメイトした女たちのグランドフィナーレ〜2

【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の人物、地名、特定の結婚相談所、および動画・書籍・マッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての痛烈な風刺・創作であり、特定の生き方や価値観、性別、信仰を誹謗中傷・否定する意図は一切ございません。あらかじめご了承の上、純粋なビター・ドラマとしてお楽しみください。

20年が経った現在、彼女たちの闘いは社会の理解を確実にアップデートさせ、全国のインフラ図面を美しく書き換えつつあった。

だが、2人は知っている。

過酷な現実(ストリート)の檻で、今この瞬間も限界の尿意と戦い、恥の恐怖に怯えている女性はまだまだ無数に実存していることを。

「まだ終わりじゃない。すべての理不尽な行列を、私たちが完全にロスカットしてあげる」

建設家としての魂の幕開けから20年、実りつつある成果を抱きしめながらも、2人の目はまだ、未来のさらなるリデザイン(設計)を見据えていた。


【20年後の確定データ:パウダールームの静かななる同期】


そして、2019年前後のタイムライン。

30代後半となったあみとさやかは、今日、あの高校の同窓会にログインしていた。

会場となった高級ホテルの洗練されたパウダールームは、他でもないあみとさやかが「男性優先の欺瞞」を爆破して設計した、日本最高峰の救済型トイレだった。

その大きな鏡の前で、地味なスーツを着た一人の女性がひっそりと口紅を直していた。

同級生のマリカだった。夜の街で過酷な現実をやり過ごしている彼女は、普段のきらびやかな風俗嬢のオーラを消し、静かにそこに立っていた。

あみが隣に立ち、鏡越しに「使い心地、どうかな……?」と声をかける。

マリカは一瞬目を見張り、それから小さく微笑んだ。

「ここのトイレ、すごく安心する……。どれだけ過酷なパージ(感情の吐き出し)をしても、世界から完全に暗号化して守ってくれる気がするから」

さやかとあみは、マリカが夜のストリート(聖水風俗)で生きていることを知っていた。

しかし、1ミリも見下すことなどしない。

自分たちこそが1999年のあの冬、あみの部屋で一緒にハーフアップ・ツインを結び、おしっこの理不尽な不条理によって尊厳を等価交換し、血の涙を流しながら繋がった戦友だからだ。

「うん、あなたみたいな人が、一番安心して呼吸できる場所にしたかったの」

3人だけの秘密の通信プロトコルが、鏡の前で静かに締結された。

【同窓会中:バーカウンターでの呪いの答え合わせ】


賑やかなタイムラインから離れた会場の端、バーカウンターで3人はグラスを傾けていた。

遠くの方では、1999年にさやかから「一生女縁がない呪い」をかけられたあの男が、未だに恋愛経験0のモブのまま、他の女子たちから陰口を叩かれて完全に孤立している。

マリカがカクテルを小さく揺らしながら、信じられないアングラな確定データをささやいた。

「あいつさ……実は少し前、私が働いてる店(風俗)とも知らずに、客としてログインしてきたんだよね」

「えっ?」とさやかとあみが顔を見合わせる。

「私の顔を見ても、あいつ最初はぐちゃぐちゃ説教じみたこと言ってきたの。『お前こんな店で働いてるのかよ』とかさ。私は完全に無視して笑顔のパッチだけで流してたんだけど、そしたら急に態度を変えてさ。『おお、ションベンかけてくれるのかよ。やってくれよ』って、すごい生意気な態度で言ってきて。

私が黙って睨んだら、急に『お願いします』って情けなく頭を下げてきたんだよね」

マリカはプロの仕事として、その要求を淡々と執行したという。

「仕事だから、お腹の上にまたがる形で、シャーっておしっこをかけたの。そしたら……あいつ、20年間女縁がなかったせいで脳内プロセッサが完全に狂っちゃったみたいで。『こんなにあったかくていい気持ちなのか!』って異常に興奮して、いきなり私に襲いかかってきたの」


「最悪……!」

あみが顔をしかめる。

「でも、私が非常ボタンをプッシュする前に、バックヤードから乱入してきた店長(黒服)に速攻で押さえつけられてさ。あいつパンツ一丁で暴れ倒した挙げ句、そのまま警察に引き渡されて永久出禁。業界のブラックリストに暗号化登録されたから、もう日本中のどの夜の街にも二度とログインできないよ」

さやかとあみは、「ざまあみろ」と心底冷徹に、だけどどこか痛快に笑い合った。

「1999年に私たちがかけた『女縁がない呪い』は、20年経っても現実のストリートで永久に有効な、最強のセキュリティウイルスだったってわけね。おしっこの因果は巡るのよ」

「ほんとね。どこでどんな巡り合わせがあるか、ほんと

分からないよね。」

さやかも微笑んだ。

しかし、さやかは一生知ることはないだろう。

自分の命を差し出したあの日の駐車場でのおしっこが、

さやかは知らない高志とマリカを奇妙な縁で繋ぎ合わせていた事に。


【深夜:日常の檻とコーヒーの苦味】


二次会も終わり、喧騒を離れた深夜の静かな喫茶店。

さやかとあみがグラスを傾ける傍らで、マリカは静かに「コーヒー」を注文した。

お酒を一切ダウンロード(摂取)しないマリカ。

このコーヒーの深い苦味こそが、過酷な夜のストリートを生き抜く彼女の実存のログであり、のちに35歳になった高志がマイナス80℃の神殿(冷凍庫)に永続ホールドすることになる「再婚した花嫁」へと繋がる運命の味だった。

「お酒は夜の過酷な現実をやり過ごすためのものだから。まともな日常のタイムラインに戻ってきたときは、この大人の苦味だけでいいの」

マリカが呟いたその言葉の重さを、さやかとあみは真っ直ぐに受け止めた。

1999年のあの冬の理不尽を燃料にして、世界を美しく作り変えてきた女たち。

彼女たちの闘いは現在進行形で実を結び、これからもストリートの不条理をデバッグし続けていく。例えこの7年後に、ウイルスによる世界の強制終了(大災害)が冷酷に起動しようとも、彼女たちが図面に、そして社会に刻みつけた実存のログと、等価交換し合った魂の連帯だけは、瓦礫の底に眠る鉄の神殿とともに、永遠に証明され続けるのである。


番外編28・完

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