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大岩山から絶望を配信する〜男は耐えろと抜かす世界を、低級霊のウイルスで完全チェックメイトしてやった〜  作者: ひややっこ万次郎
第7章:『確定シグナル(おしっこ)の誓約と、解剖学的ファクト(死体) 〜綺麗事(クリーン)のファイヤーウォールを内側から爆破する、剥き出しのバックヤードログ〜』
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番外編26:『排泄誓約のスクリーニング・ブルー(原初起源)』〜1999年冬、ノストラダムスの世紀末に生体インフラをハックされ、社会のファイヤーウォールをメルトダウンさせた17歳優等生の救済ログ〜2

【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の人物、地名、特定の結婚相談所、および動画・書籍・マッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての痛烈な風刺・創作であり、特定の生き方や価値観、性別、信仰を誹謗中傷・否定する意図は一切ございません。あらかじめご了承の上、純粋なビター・ドラマとしてお楽しみください。

【PM 13:15】 静寂のデスゲームと、隣のクラッシュログ


120分間に及ぶ、過酷な英語の記述試験。暖房の効きが悪い凍てつく教室の中で、受験のプレッシャーと極限の緊張(ストレス)が、さやかの腎臓の駆動を限界まで加速させていた。

試験開始から1時間が経過する頃には、下腹部のプールはすでに限界容量(フルキャパシティ)に達し、ギチギチと鈍い物理痛(負荷)を訴え始めていた。

(手を挙げて、トイレに行かせてもらえばよかった……。でも、今さらそんなの、恥ずかしすぎる……!)

静まり返った試験会場。ただ鉛筆が紙を削る音だけが響く異様な静寂の中、手を挙げれば全受験生の視線(エラーアラート)が一斉に自分に突き刺さる。

当時の「授業中にトイレに立つのは恥ずかしい、絶対に悪目立ちしたくない」という強固な精神的セキュリティが、さやかの肉体を座席にロックしていた。

冷や汗を流し、短いプリーツスカートの下で内股を狂おしく擦り合わせながら時計を見つめる。

残り、あと30分。――その時だった。カサッ、という短い摩擦音の直後、さやかの斜め前の席に座っていた、同じくブレザーを纏った見知らぬ女子生徒――あみの身体が、不自然にビクンと硬直した。

静寂に包まれた教室の床から、信じられない、あってはならない駆動音が出力(パージ)される。

――……シャー……ッ、シャシャシャー……。衣服を伝い、机の脚を伝って、冷たいコンクリートの床へと流れ落ちていく生体資源(おしっこ)の音。

「……っ」さやかは息を止めた。

前の席の少女は、完全に顔を伏せ、両手でシャーペンを握りしめたまま微動だにしない。

だが、彼女の椅子の下から、白い湯気を伴った黄金の水膜が、無慈悲なシステムクラッシュ(お漏らし)の証明として、じわじわと周囲へ拡大していく。

その瞬間、静まり返っていた教室の空気が、マイナス数十℃へと一気に凍りついた。周囲の男子学生たちは、あまりの気まずさと恐怖から脳内プロセッサが一瞬でフリーズしていた。見てはいけないもの、関わってはいけないバグを検知した彼らは、全力で「気づいていないフリ」をエミュレート(擬態)し、首を1ミリも動かさずに病的なほど試験用紙に目を落とした。

シャーペンの芯が折れる音すら爆音で響くような、過剰で冷酷な静寂が教室を支配する。

一方で、女子学生たちの間には、呼吸を止めるほどのショックと、張り詰めるような恐怖が走っていた。

あの午前中の欠陥インフラを共に味わった者同士、あみへの軽蔑など1ビットも湧かない。

ただただ「かわいそうに……」という痛切な共鳴と、液体が広がる匂いを肌で感じ、「次は自分が決壊する番かもしれない」という恐怖から、泣きそうな顔で内股を締め直す自己防衛パッチを起動させるしかなかった。

やがて、足音を消してあみの席へと近づく大人の影があった。巡回していた試験官(先生)だ。

彼らにとって最優先されるプロトコルは、個人の尊厳のデバッグではなく「マニュアルに沿った試験の厳正な進行」という冷徹なコードだった。

試験官はあみの机を指先で小さく叩き、極めて低い声で「……体調が悪いなら、荷物を持って立ってください」と退出プロトコルを無言で執行した。

それは、今回の記述試験データが白紙(強制失格)になることを意味する冷酷なロスカット。

あみが涙で顔をぐしゃぐしゃにし、濡れて重くなった紺色のプリーツスカートを必死に片手で押さえながら、すべてのプレイヤーの気配が刺さる教室の出口へと歩かされていく。

あみが去った瞬間、すぐに別の補助員がモップでその場を無機質に処理し、試験官は「試験を継続してください」と、何事もなかったかのように冷淡なアナウンスをデプロイした。

同じ同性の、同じ年頃の女の子の、人生の全データを強制終了(BAN)させるほどの圧倒的な恥。

だが、さやかの胸を満たしたのは、強烈な憐れみと、そのシステムを強いる社会への怒りだった。

(あの子のせいじゃない。あの欠陥だらけのトイレのせいで、生理現象なのに自己責任にされるなんて絶対に狂ってる……! でも、明日は我が身だ。私も、一歩間違えれば、あの更地に叩き落とされる――)

前の席の少女が流した涙と、床に広がっていった熱い水溜まりを網膜サーバーに焼き付けながら、さやかは狂ったように下腹部のバルブをロックし続け、終了のチャイムと同時に、命からがら教室をログアウト(脱出)した。

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