番外編17:『深層の格付け(マーケットシェア) 〜欺瞞の盾を構えた世俗の男女と、聖域で完成した二人の合意契約(リアル)〜』3
【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の人物、地名、特定の宗教団体、結婚相談所、および書籍・マッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中のデータ分析や心理描写はエンターテインメントとしての創作・風刺であり、特定の生き方や価値観、信仰を誹謗中傷する意図は一切ございません。あらかじめご了承の上、エンターテインメントとしてお楽しみください。
三、 結び ── 最強プレイ(1%未満の純愛)の進軍
「……おい、ひややっこさん。あんたの放った『環境の檻』の警告のおかげで、俺は最強の牙を捨てて、本当の愛にたどり着けた。感謝してるよ」
夜の冷たい静寂が明けていく比叡山のお堂の朝、自らの手で大八車の梶棒を力強く握り締めながら、理央は昇りゆく朝日の光の中で、心の中のすべてのノイズを消し去り、その絶対的な契りを自らの魂に刻みつけていた。
世間の大半の人間は、引かれることを恐れて本音を隠し、仮面を被ったまま生涯を終えていく。
だが、システムが崩壊してすべてのスペックがゴミ箱に損切りされたこの更地において、最後まで生き残ったのは、お互いの生命の最も重い排泄(業)すらも二人の合意だけで100%自給自足し、処理し切っている、わずか1%未満の「生き神級」の領域にたどり着いた自分たち二人だけだった。
(俺のすべてを等価交換で評価し、本当の男にしてくれた一真 ── 。
あの人は、この崩壊した世界の荒野を生き抜くための、俺の生涯の友であり、絶対的な魂の導き手だ。
そして、俺のすべての不潔さと傷痕を無条件で包み込み、天への感謝の祈りを捧げてくれたメグミ。
お前が俺を必要としてくれる限り、俺はどんな過酷が来ようが、この肉体のすべてを賭けて、お前の生活を支え切る『最強の家具(足軽)』であり続けてやる)
そして理央は、ふと、この極限のチェス盤を裏から動かした因果の糸に思いを馳せる。そもそも、俺がキリスト教の相談セミナーという全くの未知の海にエントリーし、こうしてメグミという本物の体温に出会えたのは ── あの夜、電話口でニヒルに笑いながら、俺のヤリチン工学を完跡に逆ハックしてくれたあの47歳の男、ひややっこの言葉のトゲがあったからだ。
神崎理央はまだ知らない。この世界を一瞬で更地へとハメた悪魔のデジタルウイルスの創造主こそが、他ならぬその「ひややっこ」であるという、驚天動地の裏ログを ── 。
(おい、ひややっこさん。あんたの放った警告のおかげで、俺は本物の愛にたどり着けた。
感謝してるよ。……だけど、このすべての通信も、中央システムも壊滅しちまった地獄のような世界で、あんたは一体どうしてるんだ?
あんたほどの圧倒的な知性と常識を持った男だ。
どこかのストリートで、ニヒルに笑いながら、この破滅した世界を誰よりも冷徹に生き抜いているんだろうな ── )
姿の見えぬ「同盟の主」の無事を祈る、神崎理央の剥き出しのパッション(体温) 。
スペックも資産もすべて消滅した更地の世界で、無敗のナンパ師だった男と、孤独だったクリスチャン女子は、比叡山の大行満阿闍梨という生涯の友の祝福を胸に。
外部のモブどもには絶対に理解されない、しかし嘘のない本当の「生命の体温」を響かせ、どこまでも対等に、この新世界の荒野をどこまでも力強く進軍し続けるのだった 。(番外編17 ── 完)




