番外編13:『聖域の一方通行(チェス盤) 〜去勢された足軽(モブ男)の臆病な虚勢と、全能のナンパ師が鎧を脱ぎ捨てた生身の進軍〜』3
【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の人物、地名、特定の宗教団体、結婚相談所、および書籍・マッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の宗教婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての創作・風刺であり、特定の生き方や価値観、信仰を誹謗中傷する意図は一切ございません。あらかじめご了承の上、エンターテインメントとしてお楽しみください。
4人目の、30代後半の伝統派のインテリ信者の男が、冷徹ぶった声で画面の向こうへ説教を始める。
「女性がよく使う『お祈りした結果、神様からこの人ではないと示されました✨』という断り方。
あれをすれ違いだとか、身勝手なロスカットだと怒る世俗の男がいますが、それは違います。女性は神様のセキュリティに従って誠実に自己防衛しているだけです。男の側が『神様の御心』という絶対的なシステムを信頼せず、自分のプライド(肉の欲)の傷つきを女性のせいにしていることこそが、最も罪深い防衛線なんです。男なら耐えて、御心を受け入れるべきです」
ソドム(世俗)の恋愛市場では1秒でゴミのようにロスカットされるスペックのモブ男であるため、自分がフラれた時にも「これは神様の御心によるシステム処理だから仕方ない」と脳内アラームを強制シャットダウンして現実逃避するためのマニュアルを熱弁しているのだ。
最後に、30代前半の教会の青年会リーダーを気取る男が、不敵な笑みを漏らしながら総括するように語った。
「やはり、教会の外(世俗のノンクリスチャン)のストリートにいる男や女と関わろうとすること自体が、すれ違いと悲劇の元凶なんですよ。世俗の人間は、ハック理論だの恋愛工学だの、嘘のマニュアルで相手を搾取(消費)することしか考えていない不潔な化け物(ソドムの人間)ばかりです。
そんな危険な荒野へ出ていくくらいなら、この清らかな教会の環境(生体監獄)の中に閉じこもって、同じ価値観の純血の姉妹だけを愛するのが、一番安全な生存戦略です。外のストリートの連中なんて、どうせサタンに心を乗っ取られたモブなんですから(笑)」
ストリート(現実の社会)での競争から完全に敗退し、逃げ出してきた劣等感を隠すため、「教会の内輪にいる自分たちは清らかで特別だ」と傲慢な檻に脳細胞をバグらせ、外の世界の人間を脳内で見下して精神のバランスを保っているだけ。
ZOOMのグリッド画面の中で、これらの発言をじっと聴いているメグミ。
彼女はカメラに向かって、いつも通り「ええ、本当にそうですね……✨」と優しく微笑み、生真面目に相槌を打っている。クリスチャン女子としての完璧な「愛想の良さ(マニュアル)」だ。
しかし、理央の目には、彼女の瞳の奥が完全に凍りついているファクトがはっきりと見えていた。
(やっぱり、この人たちも同じだ……。聖書の綺麗な御言葉で自分を家長(羊飼い)ぶって着飾っているけれど、中身は自分が傷つきたくないだけの、圧倒的に臆病で卑怯な去勢されたモブ男ばかり。異性に対しても、ソドムの人間に対しても、ただ臆病なのを隠して虚勢を張っているだけ。
男の労働の体温も、私の生身の孤独も、1ミリだって直視しようとしない。
この人たちには、一生私の本当の本音(防衛線)なんて理解できない……)
誰も自分の内側に入らせないための、冷徹なまでの「男への諦め(ロスカット)」の防衛線が、モブ男たちの薄っぺらい虚勢によってより一層強固に閉じられていく。




