番外編11:『聖域の御言葉逆ハック(チェックメイト) 〜二の矢を放った牧師の全面降伏と、欺瞞の檻に結ばれた和解の同盟〜』1
【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の人物、地名、特定の宗教団体、結婚相談所、および書籍・マッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の宗教婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての創作・風刺であり、特定の生き方や価値観、信仰を誹謗中傷する意図は一切ございません。あらかじめご了承の上、エンターテインメントとしてお楽しみください。
理央との通信を切った後、ひややっこの意識は、数日前に体験したあの『牧師とのZOOM直接対決』の回想ログへと深く潜っていく──。
◇
それは、ひややっこがマッチングアプリ『みんなでペアペア』の海で、向こうから「よろしくお願いします✨」と声をかけてきたクリスチャン女性とトラブルになった時のことだった 。
最初は普通で、誠実で、対等なメッセージのやり取りだった。
だからこそひややっこは、彼女に1ヶ月近くの対話を投資した 。
だが、彼がごくスマートに「今度、カフェでお茶でもしませんか?」と生身の対面を提案した瞬間、女の態度が急変した。
突然「神様が……」「御心が……」とスピリチュアルな言葉を連発して対話を完全に拒絶し、あろうことか、自分の教会の牧師へ都合のいい被害者ログを垂れ流して逃げ込んだのだ。
そして、その『内輪の力』をバックにつけた牧師が、部外者であるはずのひややっこに対して直接介入し、ZOOMでの一対一の対決の席が設けられたのだった。
ZOOMの画面越しに、穏やかな笑みを湛えてひややっこを見下ろす牧師。
牧師が口を開いて滔々と説いてきたのは、キリスト教の恋愛において「定番」とされる『愛の賛歌(コリント人への手紙第一 13章)』の教理マニュアルだった。
『ひややっこさん。聖書にはこうあります。
「愛は寛容であり、愛は親切です。またねたみません。愛は高ぶらない。礼儀に反することをせず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない(コリント第一 13:4〜5)」と。主の御前において、人が一対一で、互いの魂と傷だらけの生身で真っ直ぐに向き合うこと。
それがいかに大切で、いかに素晴らしいことか、あなたも元クリスチャンならよくご存知のはずです。
神様が紡いでくださった男女の「縁(ご縁)」というものは、人間の浅はかな知恵や計算を遥かに超えて深く、尊いものです』さらに、牧師は憐れむような目を向けながら、マッチングアプリそのものを不潔な道具と決めつける説教を果てしなく続けた。




