番外編7:聖域の格付けアルゴリズム(スクリーニング)、そして全能のナンパ師が嵌る神の罠2
【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の人物、地名、特定の宗教団体、結婚相談所、および書籍・マッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の宗教婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての創作・風刺であり、特定の生き方や価値観、信仰を誹謗中傷する意図は一切ございません。あらかじめご了承の上、エンターテインメントとしてお楽しみください。
焦りも動揺もない。トラブルが起きそうな女は即座に損切り(ロスカット)して乗り換えてきた理央にとって、その誘いはただの「最高にイージーな腕試しのステージ」に過ぎなかった。
「おもしろい。神の愛だのご縁だの、綺麗事の言葉の盾で着飾った聖域の男女どもが、画面の裏でどれほど醜く品定め(スクリーニング)し合っているか、俺の恋愛工学で丸裸にしてやるよ」
アローズのジャケットの襟をバシッと立て、ブルーシャネルの香水を空間に漂わせながら、理央はノートパソコンの画面を開いた。カチャリ、と接続されたZOOMの画面。
そこに並んでいたのは、白シャツを着て「他者を思いやる慈悲」を装った真面目そうな草食モブ男たちと、聖書の教えを免罪符に清楚な微笑みを浮かべるクリスチャン女子たちの顔、顔、顔。
だが、理央の冷徹な投資家としての目は、彼女たちがパンフレットに並べる「安心で清らかな出会い」という美麗な包装紙の裏に渦巻く、剥き出しの【神学スペック(換算レート)】を一瞬で見抜いていた。
「カトリックかプロテスタントか」「親も信者の純血か」「どこの教会の籍か」――。
画面の裏で行われているのは、神仏の教えなどどこ吹く風の、世俗のマッチングアプリ『みんなでペアペア』と1ミリも変わらない冷酷なスクリーニング(格付けの檻)そのものだった。
特にクリスチャン女性たちは、男に対して「命を懸けて自分を愛し、安全に守ってくれる男」という聖句のマニュアルを都合よく要求し、男の誠意や経済力を「神の愛」という言葉でタダで吸い尽くそうとする最高の搾取ツール(ATMホルダー)として男を品定めしている。
そしていざ男を切り捨てる時には、『お祈りした結果、神様からこの人ではないと示されました✨』という、国家のシステムすら受け付けない絶対的な『神の盾(大義名分)』を構えて被害者の顔で逃げ込むのだ。
「おいおい、世俗の売れ残り女よりタチが悪いな。だが、その抑圧された聖域の脳内アラームのバグ、俺の方程式なら一発でハックできるわ」
理央は不敵な笑みを浮かべ、ZOOMのチャット欄に、あえて女性たちの自尊心に小さな 傷 ( トゲ ) をチクリと刺す、短文の『揺さぶり(ネグ)』を滑り込ませるためのキーを叩いた。全能のナンパ師による、聖域のチェス盤の蹂躙が、今まさに開始されようとしていた。
しかし、傲慢な合理主義者はまだ気づいていなかった。そのハック理論こそが、大岩山から放たれる本物の怪異のウイルスの手の平の上であり、すべての嘘のシステムと共に自らも完膚なきまでに破壊される、最悪の因果応報のチェス盤の引き金であるということを――。
番外編8へ続く




