番外編7:聖域の格付けアルゴリズム(スクリーニング)、そして全能のナンパ師が嵌る神の罠1
【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の人物、地名、特定の宗教団体、結婚相談所、および書籍・マッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の宗教婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての創作・風刺であり、特定の生き方や価値観、信仰を誹謗中傷する意図は一切ございません。あらかじめご了承の上、エンターテインメントとしてお楽しみください。
恋愛なんてものは、綺麗事のハートじゃない。ただの『 主導権 ( コントロール ) の等価交換』だ。
大岩山の頂上から放たれた悪魔の電磁波ウイルスが、東洋のバベルの塔・東京をわずか1週間で完品な絶望の更地へと変える、ちょうど1年前の令和のストリート。
神崎理央(31歳)は、都心の最高級タワーマンションの自室で、冷え切った高級コーヒーを口に含みながら、スマートフォンを手にフッと薄笑いを浮かべていた。
彼の隣のベッドでは、誰もが羨む美貌を持つ現役のハイスペックモデルの愛人が、熱い肉体関係の余韻に浸りながら心地よさそうに眠っている。
声をかけた女をマニュアル通りの確率論でホテルのバックヤードへとハックし、生身のオスとメスの生態データとして頂点に君臨してきた理央。一般の足軽(男たち)が一生かかっても届かない、極上のセックスと勝利の美酒を日常の 作業 ( プログラミング ) として貪る彼にとって、世俗の「結婚」という形式的な鎖は、自らの市場価値をドロドロの泥水に落とす無駄なコストでしかなかった。
「愛? そんな非効率なハリボテ、最初からどこにも存在しねえよ」
かつて自分の弟子から『非モテだった頃の方が、愛があった気がする』と背中から刺されるようなファクトを突きつけられた記憶すら、理央の傲慢な正義の前には1円の価値もないゴミだった。
だが、そんな無敗の合理主義者の脳細胞を、数日前に流れてきた比叡山の高僧・一真の報道記事が、なぜか激しくかき乱していた。
『泥にまみれた中を生き抜く、本物の利他の心と信頼を取り戻さねばなりません』
「ハッ、バカじゃねえのか。データに踏みつけられて這いつくばるしか脳のない坊主が、生きる哲学などと綺麗事でパッケージしてやがる」
裏のアカウントから徹底的な嘲笑の呪詛を打ち込み、自らの効率の正義を誇示してすかしてみせた理央。
そんな折、彼の防衛線をチクリと刺す、もう一つの「ノイズ」が舞い込んだ。
取引先のビジネスパートナーであり、敬虔なクリスチャンである知人が、理央の完璧な独身生活を見て、マニュアル通りの澄ました笑顔でこう言ってきたのだ。
『理央さんは、なぜ結婚なさらないんですか? 神様の導きによる、本当に素晴らしいご縁というものがこの世界にはあるんですよ。もしよければ、私がお手伝いしているクリスチャン特化型の結婚相談所のZOOM対談に、一度顔を出してみませんか?』




