最後のメッセージ
「おいライアン大丈夫か」
そう言って俺の目を覚ましてくれたのは、父さんだった。
隣を見れば、アリスが驚きのあまり気絶しそうになっていた。
辺りを見ればもちろんアルティアの姿はなく、いっそう静けさは増していた。なぜかここにアルティアがいなくてほっとしていた。
アルティアがまだ生きているかもしれないという希望が持てるからだ。
「おいライアン、アルティアはどこにいるんだ。部屋を見に行ってもいないんだがどこにいるか知らないか?」
父さんは一番聞いてほしくないことを尋ねてきた。
なんて言えばいいんだ、俺が見殺しにしてしまったとでも言ってしまおうか。
なんて言おうか考えてると、外から綺麗な鳥が飛んできた。
よく見ると手紙の魔法がかけてある。
俺はおもむろにその手紙をほどくと、光とともにアルティアの姿が現れた。
「お父さん、お母さん、そしてライアン、この手紙が届いているころには私はもう空からあなたたちを見ていることでしょう。
どうしても死ぬ前にみんなにお礼を言っておきたかったの。
今まで育ててくれてありがとう、そしてライアン、私に気づいてくれてありがとう。
あなたは弱くなんかないわ、私の見方をしてくれただけで十分だわ。だから絶対に自分のことを責めないでね、そしてもっと強くなりなさい。
次に会うのは雲のよね。 でもまだ会いたくはないわ、命を無駄にしてはだめよ。
まぁ私の言うことはこれだけかな、あっあともう一つだけライアンはあなたは私に操られてたことにしておきなさい、あのバカたちにも言っているから。
分かったわね、最後の私のお願いよ
それじゃあね、さよなら私の大切な人たち」
最後の言葉とともにアルティアの姿は光となって空に消えていった。
「アルティアおいていかないでよ、まだたくさん言いたいこともあるのに。
死んじゃうなんていやだよ、俺も死、、、」
最後の言葉を言うのは父さんに遮られてしまった。
「ライアンもういいんだ、もう、、い、い、ん、だ」
父さんを見ると、涙を流しその顔は絶望に満ちていた。
母さんは立つこともできず嘆いていた。
そうだ、つらいのは俺だけじゃないんだ。絶対にアルティアの敵はとってやる
俺がそう心に決めたとき外から一番聞きたくない声、一番見たくない人間たちが姿を現した。
「クリス様、アルティアさんは私たちに始末させてもらいました。あなた方が知っているのは本当のアルティアさんではなかったのです。すぐに忘れてください。
そうそう、ついさっきまで戦っていたのですが最後は潔かったですよ。
ちなみにライアン、お前はアルティアに操られていていたので罪はないものとする。
一応言っておくがアルティアはどちらにせよ死ななければいけなかったのだからな」
「それはどういうことなのですかキュロス様」
クリスはキュロスに尋ねていた。一見冷静そうに見えたがこぶしにはすごい力が込められていた。
「アルティアは黙示録の魔法を使ってしまいました。あなたもご存知でしょうがこれを使ったものは何があっても死ぬまで罪人として扱われます。
しかし驚きましたよ、数百年前の幻とも言われている魔法を使えるものがいたなんて」
そう聞いた瞬間、父さんは俺の方をむいた
「本当なのかライアン、アルティアが禁忌の魔法を使ってしまったというのは」
「俺の命を守るために『加護の黙示録』を使ってしまったんだ」
俺は否定することなく伝えた。
父さんは「そうなのか」と言って、俯いた。
それもそのはず、禁忌の魔法はどんなことがあっても使ってはいけない。それだけは覆すことができないのだ。
「これですべて丸く収まった、ライアンお前のことはエリスには伝えないでおいてやる。これでエリスも安心するだろうな。
それでは失礼します、行くぞお前たち」
キュロスの発言に俺は取り乱してしまいそうになっていたが、アルティアの言葉を思い出し何とか耐えることができた。
キュロスたちが帰った後、俺たちは何の会話もなく部屋に戻った。
父さんは明るく振舞おうとしているが、母さんはいつまでたっても泣いている。そんな姿を見ているのが辛かった。逃げ出そうかと思った、でもそれを止めたのはアルティアの残してくれた言葉だった。
そして俺は決心する。
「俺はまだアルティアが死んだなんて思わない、いつの日か見つけ出して、今まで言えなかったことを伝えよう」




