ライアン視点
もう少しだけライアン視点が続きます。
「ライアン目を覚ませ、あの女をかばうなんてどうかしているぞ。お前は操られているんだ。気を確かにしろ」
戦いの最中、キュロスが俺に何度もそう言ってくる。エリスの本性を知らないからそんなことが言えるんだね。
でも今更聞いてくれるはずがない、キュロスは完全に俺が洗脳されていると思っている。
「操られているのはお前たちの方だ、アルティアは何も悪くなかったんだぞ。それなのになんでお前たちは信じてくれないんだ」
そんなこと俺が言える立場ではない、弟の俺ですら最近分かったことなのだから。でもどうしてもキュロスたちに伝えたかった。わかってもらえるとは思っていなかったけど、口に出さずにはいられなかった。
「目を覚まさないのなら俺が覚まさせてやる。命まではとらないが覚悟しろよ」
さっきまでの雰囲気とは全く違っていた。この顔はこれまでで何度か見たことがある、すごく殺気立っていてまるで獣のような眼。
さすがに俺も動揺してしまった。キュロスとの力は互角とはいえ魔法のちからだけで見ると少しだけだがキュロスの方が上だ。
どちらかというと俺は剣術の方が得意なので、剣の技だけで言うならば俺の方が少し上だ。
「ホーリボール」
最悪だまさか魔法で戦ってくるなんて、しかも高技術の魔法ではないか。
もしこのままキュロスと魔法対決にでもなったら、確実に負けてしまうだろう。
「ほらどうした、お前も魔法は使わないのか?
そう言えばお前、俺と魔法勝負を何度かしたが一度も勝ったことがなかったんだっけ。 しかも毎回俺は魔法はあまり使えないなんて言っていたな」
こんなところで過去の自分の発言が裏目に出るなんて。
でもどうしよう、キュロスはこのまま魔法で戦うつもりだしそうなれば必然的に俺は得意な剣術で勝負することになる。
剣と魔法ではとても力の差があるがそんなことは言っていられない、もし俺が負けてしまったら、アルティア一人では絶対に勝てないだろう。
アルティアの方を見ると、若干疲れが見えているみたいだがまだあの三人にやられることはないだろう。
「ホリーソード」
キュロスがまた新しい魔法を使った。何だあれは初めて見る魔法だ、勝負をしていた時はあんな技なかったのに。
俺はそう思いながらも、切りかかってくるキュロスの剣を止めようとした。
あれ何で?
どうなっている、確かに俺はキュロスの剣を受け止めている。だがなぜ俺は切られているんだ。
俺が驚きと戸惑いの表情を見せていると、キュロスがおもむろに口を開いた。
「どうだ驚いたか、俺の新しい技だ。
確かにお前は俺の剣を受け止めた、一本だけな。お前には一本しか見えなかったのか、俺にははっきりと三本の剣が見えていたんだがな」
どういうことだ、三本?キュロスは何を言っている。確かに俺は剣を受け止めたがそれが三本のうちの一つなのか。ということは俺一人で三人と戦っているようなものなのか。
「すまないなライアン、チェックメイトだ。
命まではとるつもりはないがことが合わるまで眠っていてもらうぞ。まぁそ の時にはお前も正気に戻っているだろうよ」
あぁ俺は負けたのか、ごめんなアルティア。俺じゃあお前を守れなかったみたいだ、守るなんて言っておいてかっこ悪いな。俺は今まで何をしてきたんだ、アルティアを恨み裏切り唯一の関係さえも引き裂いてしまった。
「お願い生きて、生きて俺お前にもう一度元気な姿を見せてくれ」
ライアンは、かすかな意識のまま言った一言は誰にも届くことなく一時の眠りについた。




