最後のメッセージ
ここまで逃げてきたけどもう限界だわ。
私は今絶賛逃走中です。私は家で犯罪者になった後必死に馬鹿四人組から逃げているの。私は結構体力には自信があったのだけれど、まぁ所詮は女の体力ね男にかなうはずかなかったの。
後ろから四人組はすごい形相で追いかけてきている、あのバカ女の期待に応えようと必死なんだわ。
今はそんなことを考えている場合ではなかったわ、ここから生き延びる方法を考えなきゃ。でもどうするのよ私、さっきので魔力はなくなったし、私の自慢の足も悲鳴を上げ始めているしもうなすすべがないじゃない。
私がそう思いながら後ろを振り向くとキュロスが魔法の詠唱をしていた。
「ホーリサテライト」
その魔法とともに私の周りには光の壁ができ、とうとう私を閉じ込めてしまった。やばいわ、本当にやばい。どうやってここから逃げ出せっていうのよ、素手で壊せっていうの。大体、こんなレディに対して男四人で戦うこと自体まちがっているのよ、エリスあんたってどこまで卑怯なのよ。これじゃあ私の国外通報自由作戦が台無しじゃない。
今ここで一つだけ願いがかなうとしたら、あんたを呪ってやりたいわバカ女。
絶対いつか後悔することになるんだから。私が心の中で叫んでいると馬鹿四人組が不敵な笑みを浮かべて私の周りを囲んでいた。
「アルティア、もうここまでのようだな。まさかここまで手こずるとは思っていなかったぞ。これでエリスも安心するだろうよ」
一番に口を開いたのはキュロスだった。ほかの三人はきつそうでそれどころではなかったようだ。
もうここまでのようね、私の悪あがきも無駄だったみたい。死んだらどうなるんだろう、また生き返れるかな?そしたらみんなに好かれるものとして生まれたいな。
「おい、言い残すことはあるか。ライアンに伝えてやるぞ、まぁ今はお前の洗脳も解けているだろうがな。心配するな、お前の両親には本当のことを言っておく、禁忌の魔法を使ったとな」
キュロスは最後まで私に冷たい目を向け続けた。キュロスだけではないほかの三人もだ。私のあこがれていた王子様はどこに行ったの、漫画だけが私の楽しみだったのに。神様は非情よね、みんな平等なはずなのに時としてその秩序を乱してしまう。
でもこれが私の運命なのよね、生まれた時からの運命。
さぁ、最後のメッセージを言いましょう。
「じゃあ少しだけ話させてもらうわ。
その前に少しだけ私に協力してほしいことがあるの」
今更こんなことを頼んでも無駄でしょう
「何だ一応聞いてやろう。だが逃がしてなんて願いは聞かんぞ」
キュロスのかえてきた言葉は予想外のものだった、あなたにも人の心があったのね。
「これから私の家族に向けて最後のメッセージを送りたいの、ほんのひとかけらでいいから私に魔力を分けて頂戴。最後に元気な姉の姿を見せてあげたいじゃない」
「まぁ少しだけ分けたところでこの状況に変わりはないか。いいだろう」
私が今しようとしているのは、魔法使いならだれでも使える伝達の魔法。自分の姿を映して相手に贈るものなの。まぁ簡単に言えばビデオレターみたいなものよ。
私は今の気持ちを精一杯伝えた、これで何の悔いもない。あとはこの手紙が届けば終わりよ。
私はその魔法とバートン侯爵家宛に送った。
「もう終わったわ、これで何の心残りもなく死ねるわ。
あっ忘れてたわ、あなたたちに一つ言っておきたいことがあるの。聞くも聞かないもあなたたちの自由よ、真実の光はもう失われる」
「おいお前今のはどういうことだ」
キュロスがそう言ったときには、すでにアルティアの姿はなかった。このホーリーサテライトという技は、光の中に閉じ込めた相手を少しずつ蝕んでいく技。アルティアがメッセージを送り終わったころには、すでに体の半分が消えていた。
アルティアは深い眠りについた、これから覚めることのない永遠の眠りのようなもの。そうつくはずだったのだ、
「よし帰るぞ、まずはライアンのところによって安否を確認しよう。
おそらく両親も帰ってきているだろうさ」
キュロスの声とともに、四人は暗闇の中に姿を消していった。




