選んだ道
「なかなかやるわねぇ、あなたたちがここまでやるなんて思っていなかったわ」
私は今バカ王子を除く三人と相手をしている。ライアンには互角に戦えるバカ王子と戦ってもらっている、ライアンには失礼だが見るからに押されているように見える。
ここで私の相手の能力を説明しよう。個人個人で使える魔法は髪の色に現れている。ほとんどのケースは親のどちらかの色と同じか、たまに全く違う色の髪の毛で生まれることがある。なかなかまれであるがその時は、親のどちらともの能力を受けつでいることになる。
簡単な話、あの嘘つき女のことだ。
もう一つ異例がある、王族はごくまれに光の魔法を使えるものが生まれるという。それが今ライアンの戦っているキュロスなのである。
不幸中の幸いと言ってよいのか、私の相手は一つの属性の魔法しか使えないのである。クロノスは髪の色が白なので雷の魔法、アリエスは髪の色が赤なので炎の魔法、エドガーは髪の色が青なので水の魔法。
まぁどちらにせよ私にはあまり関係ないことではあるが。
なぜなら防御魔法は魔法同士の相性がないからだ、どの属性にも強いわけでもなく力がすべてなのだ。
攻撃魔法の使えない私はとにかく自分の身を守りながら、ひそかに訓練していた剣術で応戦している。
「アルティアさんそろそろ限界なんじゃないですか、息が上がってきてますよ。じゃあそろそろたたみかけますね、みんな行くぞ」
クロノスの合図であとの二人が魔法を詠唱しだした。
「フォルサンダー 、 ドラゴニックフレイム 、 アクアサーペント」
三人から三つの魔法が繰り出されていた、相当魔力が込められていたので相当魔力を使っただろうと思い、顔を見ると少しだけ疲れている顔を見せたが、まだまだ余裕そうだった。
私も防御魔法を使おうとしたが思った以上に三人の詠唱が速かったので間に合わなかった。私はすぐさま今持っている剣に膨大な魔力を送り込み、その魔法をすべて一刀両断にした。
「はぁ、はぁ、なかなか手強いですね。もうこれでとどめを刺したと思っていたのですが。まさか剣に魔力を送るとは、びっくりしましたよ」
「あ、あなたたちも相当疲れているんじゃないさっきの魔力の大きさからするとこれ以上魔法を使えば意識を失うわよ」
「それはあなただって同じことです、もういい加減終わりにしませんか」
クロノス、相変わらず余裕そうね。ほかの二人は結構ばててるみたいだけど、まずこれをどうにかしない限り勝てそうにないわ。
私は少しばかりではあるが、勝てるかもしれないという希望を抱いていた。もしライアンがキュロスを倒してくれたらの話だけど。
もし相打ちでもライアンを担いで逃げるくらいの体力は残っているもの。
「こっちは終わったぞクロノス。ライアンの命はとらないでおいた。ところでお前たちまだ戦っていたのか」
今一番聞きたくない声が遠くから聞こえてきた。声の主は当然キュロスである。あのライアンが負けてしまったの、一気に状況が悪くなったわね。
キュロスは相当手負いではあるが、その瞳には年相応と思えぬ力がこもっていた。
そんなこと考えている暇はないわ。早くライアンのところに行かなくちゃ。
私は一時キュロスに時間をもらおうと頼んだ。
「キュロス、私に少しだけ時間をくれない。ライアンの命があるかだけでも確かめたいの。変な真似はしないわ、そんなことをしたらすぐ私を殺していいから。あともう一つライアンは私が操っていただけだから、殺さないでちょうだい。魔法を解けばライアンも元に戻るはずよ」
操っているなんて嘘だがこれでライアンは殺されないはず。
お願いよキュロス、あなたにもそのくらいの心は必ずあるはずよ。
「ふっ、いいだろう。ライアンの弱った姿でも見に行ってやれ。ただしそんなには待たないからな」
私は小さく礼をしてすぐさまライアンに駆け寄った。ライアンの体は傷だらけでいろんなところから出血している。このままではそう長く持たないだろう
私が駆け寄ると、さっきまで目をつむっていたライアンがうっすら目を開けて私に話しかけてきた。
「アルティア無事でよかった。ごめんね負けちゃった、守ってあげるって言ったのに。俺じゃあ仕方不足だったみたい、ごめんね。
俺のことはどうでもいいから早く逃げて、今なら隙をついて逃げれるはずだよ。必ず生きるんだよ」
「こんなになってまで私の心配しないでよ。あなたも生きるのよライアン、私が絶対に死なせないわ」
私はすべての魔力を集中させた。
「もしかしたら私の方が死んじゃうかもしれない、でもそんなのどうでいいわ私の大切な弟が生きてさえくれるなら」
「アルティア何してるの、そんなことしたら死んじゃうよ」
「何言ってるのライアン、私が死ぬはずないじゃない。今度は私があなたを守る番よ。 みんなよく見ておきなさいこれが私のちからよ。
属に存在するすべての精霊
この地に生きるすべての生き物よ 我の命に従え
聖なる加護 パーフェクトシールド 」
私が魔法と唱えるとライアンの周りに光の壁ができ傷が修復されている。
これは禁忌とされている魔法『加護の黙示録』。なぜ禁忌とされているかは名前のとうりで、どんなものを寄せ付けない絶対防御の魔法である。ただそれだけではない、本当に禁忌と言われている理由がある。
それは、加護を受けたものは死人であっても蘇るということだ。その昔偉大な魔法使いが一度だけ使ったといわれている。
この魔法は誰でもが使えるわけではない、防御魔法のみが使える魔法使いだけに使用することができる。
この世界には私以外に使えるものがまだいるだろう、しかし彼らは絶対に使わない。なぜなら、この魔法を使ったものは罪人として扱われ死刑にされるからである。
私がこれを使ったということは自ら死を選んだということになる。
実際のところ成功するかわからなかった。そしてまだ生きてここに立っていることすらびっくりしている。
当然今ここにいるほかのみんなも唖然としている。
「ね死なないって言ったでしょう。でももう私は罪人だわ、どこに行っても死は免れないでしょうけど。
さぁこれでライアンには手出しはできないわ。今から戦いたいところだけどもう私にはそんな魔力は残っていない方逃げさせてもらうわ。
さよならライアン」
私がそう言ったころにはライアンはもう眠っており、目からは涙がこぼれていた。 さぁ、これから逃げるわよもう馬鹿四人組が追いかけてきてるわ。




