第17話 クソ厄介なの来たなあ…
姉ちゃん達が女性寮を去った翌日。僕の朝は早い、締まらないけど普段は早いんだ。今の時刻が11時02分だなんて信じない、きっと時計がずれているんだ、その証拠に姉ちゃん達も寝てるから。姉ちゃん達こそ時間に…結構ルーズだった…!警察庁って緩いんだなあって思ってたじゃないか。うん、僕がダメだな。仕方ない、姉ちゃん達はお疲れてるので一人でご飯にしよう。ん?今日はシフト入ってたっけ?詳しい取り決めをしていないな、不味い。電話で聞いてみなきゃ、って僕は店の電話番号を知らない…なんてことだ、急な休みとかどうすればいいんだよ…!そんな初歩的なミスをするだなんて、僕史上3本の指に入るくらいの恥だ…父からは恥を恐れるなと教わり、兄と祖父からは恥はかいてこそでっかくなるもんだから色々経験しとけ!って言われてたなあ。でも恥ずかしいものは恥ずかしいんだ。恥を恐れず立ち向かえ、石川香!なんて結論をはじき出したときに携帯が鳴った、石島さんだ。ちょうど店の電話番号聞こうと思ってたんだ、ついてる。
「はい石川で」
「石川くん、お願いがあるの!」
かなり緊張した様子だ、緊急の用か?
「石島さん、まず落ち着きましょう、僕は断りませんから。トラブルですね?」
「ええ…ビッグトラブルよ…」
「そっちに向かった方が?」
「お願いするわ、車を寄こすから待っていてくれる?」
「承知です。あ、一ついいですか?」
「バイト先には今日お休みって伝えてあるわよ」
「抜け目ないですね、姉ちゃん達には?」
「聞かれてるでしょうから連れてらっしゃい」
「多分今ノンレムですよ姉ちゃん達、だから一人で向かいます。後で姉ちゃん達へフォローお願いできます?」
「もちろんよ、お願い聞いてもらうからには全力でバックアップするし、お願い以前に石川くんのバックアップをするのが男性保管省の役目ですからね」
「忘れてました、では」
しまった、どのくらいで到着するのか聞き忘れた。んー…昨日の帰ってきた感じと初めて警察庁本庁から男性保管省に移動した時とバイト先への送り、から考えると…うん、わからない。考えてもわからなければ考えるだけ無駄だ。ご飯は我慢するしかないか。せめてタンパク質だけ補給しておこう。タンパク質とブドウ糖は僕の支えだからね。昨日のバイト中に送ってもらっていたプロテインバーをもぐもぐしながら待っていると我が家の駐車場に車がやってきた。男性保管省の目印がないけど、うちは1棟まるごとなので用があるならうちしかない。つまり男性保管省所属ではない『イレギュラー』が発生しているって事だ。運よく姉ちゃん達はすやすやモードなので起こさないようにそっと部屋を出て、ベランダから駐車場へ直行する。傍から見たら迷惑な自殺だろうけど、今は緊急事態の可能性があるので石島さんにうまい事誤魔化してもらうつもりだ。23階から飛び降りる程度で怪我なんてしてたら姉ちゃん達を守り切れないからね。明日は美恵さんがうちに引っ越してくるんだし、火の粉は払っておかないと。さて、飛び降りたのはいいんだけど、このままだと文字通り飛び降り自殺に見られちゃう。僕としてはかすり傷一つ負わない自信があるけど、周りの警備さん達には、理解できないだろうしなぁ…うーんなんて考えていたら五体投地してしまった。馬鹿だなあ僕は、考えなしに飛び降りちゃうからこんな事になるんだよ。困ったな、アスファルトっていくらくらいかかるんだろう?まあ石島さんに何とかしてもらうとして、とりあえずこの不審車の中を確認しなきゃ。
「こんにちは、ご用件お伺いします」
あらら、ダメだ。恐怖の塊になってる。うーんでも急な事態だし仕方ないじゃない?あなた方が悪いんだよ?不法侵入なんだからね?
「あの、うちに用ですか?それとも僕ですか?」
反応は無し。戦意があったけど恐怖に呑まれた感じかな、ならば。
「立ちなさい!!」
こんな時は大声で命令、これ結構効くんだよ?ほら、立とうとして頭打って何が起こった?ってなってる、ってそれじゃダメだよ。改めてお話を伺わないとね。
「何か御用ですか!?」
「ひぃぃぃぃっ!!」
さっきのアレがこれが…確かに厄介っぽいなあ。男性がやってきたんだもの、ビッグトラブルだよなあ…




