第18話 お腹減ったので朝食兼昼食
「こ、これで勝ったと思うなよ!」
「捨て台詞吐くために不法侵入したんですか、そうですか…」
どうやらこのビッグトラブル、恐怖に呑まれた経験初めてだなあ。これを教育するのが僕の役目なのかな?面倒だからご飯食べてから考えたいんだけどなあ。
「い、石島様、ここは引くべきかと…」
「う、うううるさい!僕はこいつに」
「こいつではなく石川香です、お忘れなきようお願いします、無礼働くなら相応の返答をしますよ?」
ニッゴリ笑顔…悔しい事に僕の笑顔はこういう時『効く』んだよね…アンモニア臭が漂ってきてるよ…あーあー…
「…あー、1度着替えて出直すってのでどうです?」
「う、うるさ」
「君に聞いてない、僕は今護衛さんと話をしているんだ」
「な、な」
「黙れ、と言っているんだ。喋るなら容赦しないよ?」
「石島様、出直しましょう。寛大な御心に感謝いたします、石川様」
そう言って車が動き出そうとしているので物理的に停めた。
「ここのアスファルト、直してくれますよね?あなた方が起こしたビッグトラブルなんですよ、これは」
「…承知しました、手配致します」
「はい、ではお帰りください」
持ち上げた車を放り投げ、僕が開けた穴を避けて車が去っていく。…再び馬鹿な事したなあ。怪物だよ、映画とか仙人とかじゃないとこんなことしないんだって…あー、やっぱり引かれるよね。反省、猛省しなきゃ…部屋に戻ると姉ちゃん達が起きてて顔を洗っていた。ノンレムですやすやだったはずなのに、何が起きたんだろう?
「おはよう、カズ姉ちゃん、唯姉ちゃん」
「おはよう、じゃないでしょ香くん、見たわよ?」
「かおちゃん、あれはダメだよー」
見られてたー…化け物扱いされちゃうのか…あの時も周りがドン引きしてたもんね…
「すっごい地震でびっくりしたと思ったら車投げ飛ばすだなんて、重かったでしょう?あんな重たいものを持つ必要なんてないんだよ?」
「かおちゃん、車は投げる物じゃなくて乗る物なんだよ!重いんだから腰痛めちゃうよ!メっ!」
思ってたのと違う反応だ、姉ちゃん達は強いんだなあ。
「反省、いえ猛省します…」
「わかればいいのよ、さ、ご飯にしましょ」
「かおちゃん、腰を大事にだよー。ご飯のリクエストあるー?もうお昼時だしデリバリーでもいいかもねー」
「なら中華デリバリーがいいなあ。青椒肉絲50人前とレバニラ炒め40人前、炒飯大盛40人前に叉焼を6kgデリバ」
「「さすがに無理だから食べに行こう?」」
まあ確かにデリバリーでは不可能だよねえ…でも食べに行くって、僕は外食してもいいのかな?そんな顔をしていたのか、唯姉ちゃんが察してくれた。
「かおちゃん、男性保管省ってなんでも食べられる超高級お食事処でもあるんだよー?」
「そういえば引っ越し蕎麦、食べてないわね」
「それなら男性保管省で食べようか」
「決定ー、じゃあかおちゃん、連絡よろしくー」
「え、ああそうだね、僕が連絡しないとだよね」
不味いな、姉ちゃん達にバレるのは不味い。カチ合わせる可能性がある以上悪手だぞ、どう回避する…?知らんぷり、でいくか。無視してればいいでしょ。携帯電話で石島さんにこれからそちらに向かう事を伝えようとしたらちょうど男性保管省からの車が到着した…タイミングが良すぎる、いや悪すぎる。なのであえて電話をする。
「石川です、男性保管省に行きたいので車を手配お願いしたいのですが」
『ちょうど着いたところよ、今連絡が来たわ』
「ナイスタイミングです、ありがとうございます。カズ姉ちゃーん、もう下にいるってー」
『あー、そういう事ね、いいわよ、合わせるから適当に濁しといて』
「はい、では」
「随分タイミングがいいわね、ミヨさんってどこまで読んでるのかしら?」
そもそもこの部屋が監視されてるからじゃないかなあと思うんだけど、それは知らないほうがいいよね。防音必要ないからこそ1棟丸ごと我が家だけど両隣が護衛詰め所になってるなんて知らないので声が漏れてる、その声を聴かされてる私たちは何なの?って声を拾っちゃったからさ、そのうち両隣の護衛さん達にも挨拶しておかなきゃ。姉ちゃん達に内緒でね。引っ越し蕎麦か、美恵姉さんが来てからにしようか、後で改めて一緒に食べようか。後者だね、引っ越し蕎麦は何度食べてもいいと思うし。あとは懸念事項である石島さんの息子をどうするかだなぁ…相談できるかな?




